特集4/ケーススタディ

付加と対比で建て売り住宅を変える 納谷建築設計事務所 ホームページへ

 横浜郊外の住宅地。ゆったりとした起伏に通る道路の両側には高い擁壁。その上に、大きめの戸建て分譲住宅が並び立つ。この地域一帯でよく見る光景のなか、上り坂の途中に「センター北の住宅」は立っていた。白と黒のボリュームが組み合わされた外観は、周囲と同じようでいながら「何か違う」と思わせる空気が漂っている。
 白いほうは真っ白。
「建て売り住宅というにぎやかなデザインの既存建物を、まず白地のキャンバスのように、プレーンな状態にしたかった」と納谷学さんと納谷新さんは語る。
 既存部分の外装は、すべて真っ白に塗りつぶされた。コロニアル葺きの屋根も、モルタルリシン吹付けの壁も、雨樋までも白い。すべてアクリル樹脂塗装によって既存の仕上げの上から塗られている。
 一方、西側の庭方向に付け足された増築部分の外装は、すべての面が黒くされた。これは「白に対して黒というのはシンプルな対比なので。既存の建物と増築部分とは素直な対比関係で見せたかった」という理由から。切妻型のボリュームの外装には、黒色のガルバリウム鋼板が一文字葺きで施されている。
 既存北面の壁のラインと揃えた増築部分は、擁壁から最大1.5mはみ出すことになったが、キャンチレバーで持ち出してその底面までガルバリウムがまわり込んでいる。「付加されたかたまり」であることが強調され、既存との対比をより明確にするデザインとなっている。
 道路の反対側、つまり高台の上側にまわって住宅の正面アプローチに向かう。まず目に入るのは、黒いボリューム側の大きな窓。この窓を通して、白く明るい小さなスペース、その向こうにダイニングらしき部屋が垣間見える。

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