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にほんの建築家 伊東豊雄・観察記
 
にほんの建築家 伊東豊雄・観察記
3刷
著者=瀧口範子
発行年月=2006年3月
体裁=四六判(128×188mm)、並製、432頁
ISBN=978-4-88706-264-1

アートディレクション&デザイン=ASYL

定価=本体1,800円+税
『にほんの建築家 伊東豊雄・観察記』
刊行記念トークイベント
伊東豊雄に今を聞く
出演=伊東豊雄 司会=瀧口範子
イベントレポート
ジャーナリスト瀧口範子によるトップランナーの解体新書
ゆらゆらと揺らめくメッシュの柱が7層の床を貫く「せんだいメディアテーク」(2001年)。コンクリート壁を樹木パターンにくり抜くことで構造と意匠を一体化してみせた「TOD’S表参道ビル」(2004年)。メビウスの輪のごとく内と外が連続した有機的形態をもつ「アイランドシティ中央公園・中核施設 ぐりんぐりん」(2005年)。近年の伊東豊雄氏は、新しい構法を盛り込んだデザインによって、従来の建築の概念をうち破るセンセーショナルな作品を次々と生みだしてきました。昨年末には、台湾の「台中メトロポリタンオペラハウス」の設計コンペで、自在に伸縮するチューブの構造を提案し、ザハ・ハディドら世界の強豪建築家を抑えて見事1等を勝ち取っています。固定したスタイルをもたず、私たちの予想のはるか先をいく新しい建築を常に実現し、成功をおさめてきた伊東氏は、今日本でもっとも熱く、目が離せない建築家といえるでしょう。

その伊東氏を解体しようと密着取材を敢行したのは、建築界、デザイン界、経済界、IT業界など各界の第一線で活躍する人々を取材してきたジャーナリスト・瀧口範子氏。東京、パリ、シンガポール、チリ、ヴェネツィア……と世界中を飛び回る伊東氏を精力的に追いかけ、その創造力の源がどこにあるのかを探っています。著者の視線は、日常何気なく発せられる言葉やふるまいに向けられ、一見穏やかで静的な印象を与える伊東氏の内面には、意外にも体育会系の闘志がみなぎっていることを解き明かしていきます。

「建築家は少しでも緊張感をなくすと、あっという間に300メートル遅れをとってしまう」

「建築はサバイバル・ゲームだ」
「時間は常にないんだよ。僕らもいつも、もう1日あったらなあと思う」
妥協を許さない建築家からこぼれてくる言葉の数々はその穏やかな口調とは裏腹に熱く、職業のジャンルを超えて、現代社会に生きるすべての人々の胸に深く響いてくるでしょう。

また著者は、伊東氏の修行時代にもさかのぼり、当時をよく知る人々の証言を数多く集めています。今でこそ世界中でプロジェクトを進める建築家にも、建築の仕事にありつけず思索を深めるしか手だてのなかった日々があったこと。その鬱憤を同世代の建築家たちと激しくぶつけ合ったこと……。そこには誰もが経験した覚えのある、悩み、焦り、もがきながらも理想を追い求めた、若者特有の姿が浮かび上がってきます。

本書は、60代半ばを迎えてなお進化し続ける建築家の、等身大の人間像に迫った貴重なドキュメンタリーです。同時に、分野を問わず、日々悩みを抱えながらも自分の仕事の中で何かを成し遂げようとしているすべての人々に、大いなる活力を与えるものでもあります。「走りつづけていれば、必ず何が問題か見えてくる」と語るトップランナーの熱い思いを、ぜひ受け取っていただきたい一冊です。
伊東豊雄 略歴 ■Toyo Ito
建築家。1941年京城市(現ソウル市)で生まれた後、父親の郷里の長野県へ戻る。65年東京大学工学部建築学科卒業後、66-69年菊竹清訓建築設計事務所勤務。71年アーバンロボット(URBOT)設立。79年事務所名を伊東豊雄建築設計事務所に改称。主な作品に、八代市立博物館、大館樹海ドーム、せんだいメディアテーク、サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2002、まつもと市民芸術館、TOD'S表参道ビル、アイランドシティ中央公園・中核施設「ぐりんぐりん」などがある。日本建築学会作品賞、毎日芸術賞、芸術選奨文部大臣賞、日本芸術院賞、グッドデザイン大賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ「金獅子賞」、王立英国建築家協会(RIBA)ゴールドメダルなど受賞。主な著書に『風の変様体―建築クロニクル』『透層する建築』(ともに青土社)など。
プロフィール
瀧口範子 Noriko Takiguchi
ジャーナリスト、編集者。テクノロジー、ビジネス、建築・デザイン、文化一般に関する原稿執筆を行ない、またテレビ番組制作、展覧会、会議などのコーディネーションに携わる。上智大学外国語学部卒業。1996-98年フルブライト奨学生として(ジャーナリスト・プログラム)、スタンフォード大学工学部コンピュータ・サイエンス学科にて客員研究員。現在、シリコンバレーと日本を往復して活動する。著書に『行動主義 レム・コールハース ドキュメント』(TOTO出版)、『ピーター・ライス自伝-あるエンジニアの夢見たこと-』(鹿島出版会、共訳)、『ソフトウェアの達人たち』(ピアソン・エデュケーション)がある。
コンテンツ

プロローグ
東京1/コンペを闘う
東京2/文房具
東京3/アルミ
施主
東京4/ガーデン
東京5/議論
事務所はじめ
東京6/火葬場
松本へ
諏訪/上京/建築家になる
1970年代/若い建築家の頃
シンガポールへ
ヴェネツィア/ミラノ
パリ1/現場訪問
東京7/カーテン
八代
アンチ多数決
京都へ/学生
所員
パリ2/病室
バルセロナ/トレビエハ
福岡/伊東塾
東京8/年末
伊東スクール
チリ/サンチャゴ/マルベラ
東京9/フランス人/群馬へ
エピローグ

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文=隈研吾
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監修=榎本了壱
著者=榎本了壱、伊東豊雄、コリーヌ・ブレ、日比野克彦、シー・ユー・チェン、内田春菊、鈴木慶一、伊東順二、林海象