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タッチストン 大橋晃明の家具
 
タッチストン 大橋晃明の家具
監修=多木浩二、伊東豊雄、坂本一成
写真=藤塚光政
発行年月=2006年9月
体裁=A5判(148×210mm)、並製、320頁
ISBN=978-4-88706-273-3

ブックデザイン=赤崎正一

定価=本体2,800円+税
イメージを喚起する家具
様々なスタイルの家具を試行錯誤をしながらつくり続けた家具デザイナー大橋晃朗氏。大橋氏は篠原一男に師事し建築を学び、以降、多木浩二、伊東豊雄、長谷川逸子、坂本一成等と親交を結び、建築や家具に関する思考を発展させました。

初期には伝統的な素材や形式から「もの」の存在感を追求した箱型の家具、素朴で実用的なシェーカー家具の複製を手掛け、1976年「代田の町家」(設計:坂本一成)のためにつくった「椅子または台のような椅子」を機に、「もの」であることを超えた「概念」としての家具を試みるようになります。その後、歴史の引用からかたちを導いた金属椅子の連作、量産を考慮した組立式の「ボード・ファニチュア」(1979~83)の制作へと移行したときには、一般の人でも買うことができるような、社会における家具であることを強く意識したデザインをするようになりました。その後一転して作風が変わり、後期の代表作といえる色鮮やかで自由奔放な「ハンナン・チェア」(1985)以降は、一連のフレームと布を使った皮膜家具、スティール材を用いたベッドや椅子、黄色いフレームとカラフルな座面とのバランスが美しい「ドナルド・ダック」(1989)など、精神的にも身体的にも解放された踊り出すような家具を次々とつくり出しました。1990年「八代市立博物館」(設計:伊東豊雄)のために設計した家具は、オリジナルなデザイン性と実用性とのバランスに優れ、大橋氏のさらなる活躍が期待されましたが、その後間もない1992年に急逝しました。

時代を超えて今もなお我々に新鮮な驚きをあたえてくれる、不連続とも言える作品の変遷は、氏の最後のインタビュー(初出『SD』8505、補遺として本書に掲載)となった次の言葉に表れています。

「家具とは何か、と問い続けて、では解答といわれても、それはひと言でいえない。今もいわれたようにいろいろな脈絡が錯綜している。しかしあえていえば得体の知れないものだと思うんです。曖昧で他愛もないものに取りまかれて人間が生きている。たとえばそれを生活術と呼べばそんなマイナーだと思われていることのなかに、得体の知れないものが人間をつき動かし、その結果、物が逆に人間を使っていたりするように見えてきます」

機能を超えて、かたちを超えて、デザインの臨界に至った珠玉の家具を初公開を含む写真、スケッチ、ドローイング、図面で網羅します。監修者である多木浩二、伊東豊雄、坂本一成の各氏による書き下ろしテキストも収録。もう巡り遭えない家具たちがここにあります。
プロフィール
大橋晃朗/Teruaki Ohashi
1938年愛知県生まれ。1962年桑沢デザイン研究所卒業。
同年~69年東京工業大学工学部篠原研究室(文部技官)。篠原一男に師事し、建築を学ぶ。
以降、多木浩二、伊東豊雄、長谷川逸子、坂本一成等と親交を結び、建築や家具に関する思考を発展させる。
1965~69年桑沢デザイン研究所非常勤講師。1969年東京造形大学助手、翌年同大学専任講師。
1972年アトリエ設立。初期には建築設計とともに「木地箱」「車箱」等、箱物家具を中心に活動を始め、1976年「代田の町家」(設計:坂本一成)のために設計した「台のような椅子」から本格的に家具デザインに専念する。
1979年からは家具の社会性を考慮した一連の「ボード・ファニチュア」を制作。
1984年「シルバーハット」(設計:伊東豊雄)の家具として作った「フロッグ・チェア」を経て、「ハンナン・チェア」以降、解放的で色鮮やかな皮膜家具シリーズを生み出す。同年、東京造形大学教授。
1992年逝去。1990年「八代市立博物館」(設計:伊東豊雄)のための家具が遺作となった。
目次

■作品
◇1973-1983
「木地箱」、「小椅子」、「椅子または台のようなイス/ミリ」、「ピト」、「オマ」、「トゥム」、「ハピ」、「テム」、「ファイブ・ボードレッグ・テーブル」、「ボード・テーブル#3、#4」、「クローズド・ボードレッグ・チェア」、「オープン・ボードレッグ・チェア」、「ボード・テーブル#2」、「バード・バッド#1-4」、「ボード・テーブル#2」、「バード・ローズ#2-4」、「トリンキュロ」、「パック」、「フェステ」、「タッチストン」、「ミラー・キャビネット#1」、「スタッカブル・ストゥール」
◇1984-1990
「フロッグ・チェア」、「フロッグ・テーブル」、「ハンナン・チェア」、「ハンナン・チェア・ロング」、「リムブ・チューブ」、「スマル・チェア」、「リーフ・テーブル」、「デイ・ベッド」、「トーキョー・ミッキー・マウス」、「ドナルド・ダッグA、B」、「カフェ・チェア」

■テキスト
「概念とイマジネーションの重奏」 坂本一成
「大橋晃朗さんについて想うこと」 多木浩二
「パイプによる表情の回復」 伊東豊雄
「歴史を映し出す〈シルエット〉の意味」 伊東豊雄
「官能と概念の臨界点―ハンナン・チェア以降」 伊東豊雄
「大橋晃朗のドローイング」 坂本一成
補遺 「家族ゲーム、文化ゲーム―文化の錯綜体としての家具」 大橋晃朗×多木浩二

■ドローイング
■家具作品データ/建築作品データ
■略歴

関連書籍
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関連展覧会
2006年9月16日―11月18日