TOTO
にほんの建築家 伊東豊雄・観察記
 
3刷
著者=瀧口範子
発行年月=2006年3月
体裁=四六判(188×128mm)、並製、432頁
ISBN=978-4-88706-264-1

アートディレクション&デザイン=ASYL

定価=本体1,800円+税
イベントレポート
伊東豊雄に今を聞く
『にほんの建築家 伊東豊雄・観察記』の刊行を記念して、著者の瀧口範子さんとゲストの伊東豊雄さんをお招きして、東京の青山ブックセンターにてトークショーを開催しました。1年半にわたり伊東さんに密着した瀧口さんが、本書に書ききれなかったこと、もっと聞きたかったことなどに迫る「伊東豊雄・観察記 延長戦」となりました。

伊東さんの過去・現在・未来を縦断しながら、「海外でのプロジェクト」「公共建築」「せんだいメディアテーク以降の転換」「空間としての建築、形としての建築」「農業的建築」「コンペ」「ファッション」などのテーマについてトークを展開。作品に関するウラ話などを挙げながら、伊東さんご自身の建築に対する考え方、取り組み方を披露してくれました。会場は、語られる言葉を全部吸収したいと耳を傾ける熱い空気に包まれました。

“観察”の対象となった伊東さんが、瀧口さんへ抗議する場面も。
伊東さん「僕が寝てばっかりいるって10回くらい書いてあるんです。これに抗議しようと思って……。プロローグの一番最初に“寝ていた”って書いてあるんだよ!」
瀧口さん「うそじゃないですよ。寝たのを10回くらい目撃しました」
伊東さん「うん……(沈黙)」
(会場爆笑)

そんな爆笑シーンも飛び出し、リラックスした雰囲気の中、終盤は会場との質疑応答へ。まさに伊東さんがこれまで向き合ってきたテーマでもある「“個”をどこまで通していくか」といった鋭い質問も寄せられました。一つひとつの質問に注意深く耳を傾け、意見を述べる伊東さんのコミュニケーションに対する真摯な姿勢は、本書で観察され、語られている“建築家・伊東豊雄”の姿そのものでした。

ご自身の“観察記”である本書についての感想は?という質問には、関係者一同がドキリ。
「この本が面白いなと思ったのは、僕がどういうふうに寝てるかっていうのもいいんだけど(笑)、うちの事務所でどういうかたちで設計が進行するのか、現場を見てどういうかたちで設計が立ち上がっていくのかっていうことが、すごくよく分かると思いました。そういう本って、今までなかった。設計というのはどういうふうに進行していくんだろうっていうことが、この本よりよく分かる本はないなって」と伊東さん。観察されたご本人のお墨付きを頂いて、一同ホッと胸をなで下ろしました。

この日、玄関を出るときにふと思い出して、本書の表紙写真と同じ青のスニーカーを履いてきてくださったというサービス精神旺盛な伊東さん。その後、自然発生的にミニサイン会が行われるなど、終始アットホームな雰囲気に包まれたイベントとなりました。

イベント情報
イベント名
『にほんの建築家 伊東豊雄・観察記』刊行記念トークイベント
伊東豊雄に今を聞く
出演
伊東豊雄
司会
瀧口範子
日時
2006年2月25日(土) 17:00〜19:00
会場
青山ブックセンター本店 カルチャーサロン青山
主催
青山ブックセンター