GALLERY・MA 25周年記念展 GLOBAL ENDS――towards the beginning
2010 11.19-2011 2.26
English



<本展 企画・監修者からのメッセージ>
身の廻りに溢れるメディア情報、そんな情報化社会の進行とともに世界は均質になり急速に狭くなった、と人は言う。しかし逆に、だからこそ気付く世界の圧倒的な広大さもある。今回東京に集まった建築家達は、そんな溢れるメディア情報の世界からは姿の見えてこない建築家かもしれない。しかし彼らの作品から見えてくるのは、そんな均質化情報の真只中にいる我々との差異と、そして思いもかけない共時性ではないだろうか。我々も世界の中心にいるのではなく、この東京も同じ"GLOBAL ENDS"であること、そんな当たり前の事に気付いて欲しい。

TOTOギャラリー・間運営委員   岸 和郎


世界の果て (global ends) のようなところから新しい建築の価値が始まる、という漠然とした予感のようなものを頼りに、企画コンセプトの文章を書きました。展示物が集まり、展覧会が始まってみると、予感は強固な確信に変わりました。今、建築の新しい地平が見えてきたような気がしています。

TOTOギャラリー・間運営委員   内藤 廣





ギャラリー・間は、TOTO株式会社の文化活動として1985年に活動を開始し、以来、建築とデザインの専門ギャラリーとして、133回の展覧会を開催してまいりました。本年11月、創設25周年を機に、名称を「ギャラリー・間」から「TOTOギャラリー・間」に改称するとともに、安藤忠雄氏(特別顧問)と、岸 和郎氏、内藤 廣氏、原 研哉氏、吉岡徳仁氏による新「TOTOギャラリー・間運営委員会」を発足し、新たな時代に向けてスタートをします。

この新運営委員会による初の展覧会企画として、世界の7カ所――東京、メルボルン(オーストラリア)、マデイラ島(ポルトガル)、サンティアゴ(チリ)、シアトル(アメリカ)、シンガポール、オロット(スペイン)――から7組の建築家を招き、25周年記念展「GLOBAL ENDS―― towards the beginning」を開催します。彼らは、均質的なグローバリズムの潮流に与することなく、それぞれの地域や文化、風土に根ざしながら設計活動を展開する建築家たちです。本展のタイトルには、「世界の果て(GLOBAL ENDS)」にこそ何かが潜んでおり、そこから多様で新たな価値観が生まれてくる、という期待が込められています。「GLOBAL ENDS」は、まさに、ここから世界に繋がり、拡がっていく「触手・先端」を意味しているのです。
また、本展のゲスト・キュレーターとして、ケン・タダシ・オオシマ氏(建築史家・ワシントン大学准教授)を迎えました。オープン初日から2日間連続で開催されるシンポジウムでは、世界の建築潮流を見続けているオオシマ氏が座長を務め、7組がそれぞれの地域、文化、思想、実践について語り、互いの価値観を共有する場をもちます。

時代はモダニズムが実現した均一性から脱却し、多様な価値の存在を探し出し、その意味を問うことを求めています。本展で示そうとする「GLOBAL ENDS」の価値とはどういうものなのか。そして、それは世界に対してどのような強度をもち、影響を与えうるのか。本企画を通して、21世紀を切り拓く、新しい建築文化の価値観を提示することができれば幸いです。

TOTOギャラリー・間

展覧会趣意文

GLOBAL ENDS――始まりに向けて

20世紀を牽引したモダニティは、世界をすっかり変貌させました。しかし、広がりをもつ一方で、その精神は薄まりすっかり変質してしまったかのようです。千変万化する建築表現の氾濫は、その内的な精神の荒廃の裏返しの現象のように見えます。
もし、寂寞たる荒野のような世界の果てで、世界を知りながらも世界に依存せず孤立し得る場所が存在するとしたら、そこにこそ新しい価値が芽生えると信じます。現代において求められているのは、世界と私とをどのように関係づけるかです。そのためには、若者が何かを求めて旅に出るように、「世界の果て(GLOBAL ENDS)」に立って世界を見渡す必要があります。しかし同時に、一人で「GLOBAL ENDS」に立つには、孤立を畏れぬ強靭な精神が求められます。そこに立つ勇気のある者こそ、現代の真のヒーローと言えます。
以上のような趣旨から、「GLOBAL ENDS――towards the beginning」というテーマを掲げて、21世紀を切り拓く価値を提示する企画展を催します。TOTOギャラリー・間運営委員会では100を超える作品を討議の対象として採り上げ、次の時代を予感させる作品を生み出している作家を選出し、展覧会に参加していただくべく要請いたしました。
本展覧会は、時代を画するものとなると信じています。

TOTOギャラリー・間運営委員会
特別顧問 安藤忠雄
運営委員 岸 和郎/内藤 廣/原 研哉/吉岡徳仁

展示解説文

GLOBAL ENDS――始まりに向けて

建築文化における21世紀の転換は、デザインの根本的な原理の再考をうながしています。9.11同時多発テロ、そしてリーマン・ショック以降、世界規模のグローバライゼーションと均質な世界の建築が有していた主導権は、世界の果て(GLOBAL ENDS)から出現しつつある潮流に、取って代わられつつあるのではないでしょうか。ワールド・ワイド・ウェブ(www)の影響もあり、これまでの世界の文化的中心地は、新たなローカル/グローバルの潮流、個人の感性、そして固有の気候と地形が活き活きと混ざりあって育まれた、新しい場所に移行したとみることができるでしょう。

TOTOギャラリー・間25周年記念展として企画された「GLOBAL ENDS――towards the beginning」には、ローカルな拠点に根差しつつ、より広範囲な世界で可能性を追求する個性ある5大陸、7カ国の注目すべき建築家たちが参加します。このグループは、東京から広がり、メルボルン(オーストラリア)からマデイラ島(ポルトガル)、サンティアゴ(チリ)からシアトル(アメリカ)、シンガポール、そしてオロット(スペイン)を結ぶ多様な軌道の一群を代表しています。ここで各建築家のデザインのローカルな標準を並置することによって、その建築家特有の豊かな特徴が浮かび上がります。彼らの実作における感触や素材感は、本展覧会のために特別に準備された大小の立体作品、図面、写真、ビデオによって表現されます。1800mm角の台に展示される大きな模型では自身の精神と現在形を表明し、300mm角の台に設置される小さなオブジェでは、「GLOBAL ENDS」から想起される自国の言葉を具現化します。さらに中庭では、この新たに姿を現しつつある建築文化の概念的理解をうながすために、近・現代の識者によって書かれ、また語られてきた言葉と文章、そしてTOTOギャラリー・間のこれまでの出展者達に投げかけた質問に対する回答が、投影されます。

近代化に対する盲目的な忠誠から抜け出して前進へと導くことを目指し、本展覧会では、7つの異なる視点による違いはありながらも、日々の生活における経験を通して批判的な目で現在の可能性を検証するために、原始からの過去と未来の両方に目を向けている建築家たちに参加を呼びかけました。本展覧会は、世界の果てへのヴァーチャルな旅を提供しながら、究極的には、豊かで、近い将来に実現可能なデザインの可能性を照らし出すことを目指しているのです。

ゲスト・キュレーター
ケン・タダシ・オオシマ
(建築史家/ワシントン大学准教授)

出展者
パウロ・ダヴィッド(ポルトガル)
ショーン・ゴッドセル(オーストラリア)
ケリー・ヒル(シンガポール)
石上純也(日本)
トム・クンディグ(アメリカ)
スミルハン・ラディック(チリ)
RCRアランダ・ピジェム・ヴィラルタ・アーキテクツ(スペイン)

ゲスト・キュレーター
ケン・タダシ・オオシマ

後援(予定)
(社)東京建築士会/(社)東京都建築士事務所協会/(社)日本建築家協会関東甲信越支部/(社)日本建築学会関東支部

特別後援
アメリカ合衆国大使館/オーストラリア大使館/シンガポール共和国大使館/スペイン大使館/チリ共和国大使館/ポルトガル大使館

特別協力
エプソン販売(株)

会場デザイン
木下昌大/佐久間 悠

映像・音響制作(中庭)
スギモトトモユキ

GLOBAL ENDS -- towards the beginning

■開催時間
11:00−18:00
金曜日は19:00まで
■休館日
日曜・月曜 ・祝日
冬期休暇:
12月23日(木)〜1月5日(水)
■入場無料



Back to Top