special #1

星のやバリ

撮影/新建築社写真部(特記・ポートレートを除く)

バリの文化・芸術の中心地であるウブドの大自然の中に、オープンした「星のやバリ」。
「星のや」流のバリ文化が存分に味わえる、極上のリゾートホテルです。

  • 客室に囲まれた運河プール。

今年1月、インドネシア・バリのウブドに「星のや」として海外初の「星のやバリ」が開業した。バリ島中部に位置する高原リゾート地域であるウブドでは、いわゆるビーチリゾートとは異なる、バリ文化や芸術に触れることのできる環境が好まれている。
「星のやバリ」の敷地は、平らな土地が谷底を流れる聖なる川と呼ばれるプクリサン川に向かって急激に切れ込む地形が特徴的で、このあたりには世界文化遺産の景観を支えている「スバック」というバリ特有の水利組合システムによる水路や棚田が広がっている。このようなバリの環境や、バリ・ヒンドゥーの信仰がベースとなっている人びとの「水」に親しむ暮らしというものが、「星のやバリ」では、大きなプールが中心となる構成として実現されている。
全体は、平坦なエリアに運河のようにゆったりと流れるプールが渓谷へ向かうように設けられ、それぞれを囲むように客室が並ぶ宿泊ゾーンと、深い渓谷へと続く斜面に展開されたレストランやカフェ、スパなどのパブリックゾーンからなる。

  • プールに面して設けられたアウトサイド・リビング。運河プールを介して、向かいの客室が見える。

  • 客室リビング。奥にガゼボが見える。

  • 客室はすべて個室型のトイレ。

  • 洗面所からバスルームを見る。バスルームは外部から直接出入りができる。

バリ文化を「星のや」流に表現

「星のや軽井沢」以降、これまでの「星のや」と同様に、今回の「星のやバリ」も、建築設計は東 環境・建築研究所、ランドスケープデザインはオンサイト計画設計事務所が手がけている。東氏は、現地でのバリ文化や豊かな環境との出会いから導き出した設計コンセプトについて以下のように語る。
「宿泊客みんなが利用できるパブリックな運河プールを囲むように客室を配置し、プライベートな客室とパブリックな運河プールの間に客室専用のアウトサイド・リビングを設けました。バリ・ヒンドゥーの水に近い暮らしを意識しながらも、日本特有のプライベートとパブリックが曖昧な緩衝空間を設け、『星のや』流の表現を試みています。このように、現地で実際に出会ったさまざまなバリの文化や伝統・宗教などをそのまま表現するのではなく、日本人であるわれわれがどのように感じ、どのように表現し、『星のや』の空間として発信していくかを大切にしています」。
客室は独立型のヴィラで3タイプあり、客室棟とガゼボと呼ばれる東屋で構成されている。リゾートにとって客室の水まわり空間は非常に重要であり、客室と周辺環境との関係に配慮したプランと、製品選びが重要になったと東氏は話す。
「客室は3タイプそれぞれのかたちでプールに接続していますので、バスルームは外部から直接出入りできるようにし、プールとバスルームをなるべく近い感覚にして、水着の抵抗感をできるだけなくすように工夫しています。また、海外のホテルでは、バスルーム空間にトイレが一緒に設置されていることが多いですが、すべてのトイレはバスルーム内にあっても必ず個室型とし、ウォシュレット一体形トイレ(ネオレスト)を入れています。トイレはリラックスする空間ですから、やはり日本製の性能のよいトイレで、ゆったりとしたトイレ空間を実現してアピールしたいと思いました」。

  • スパ・スイートのバスルーム。渓谷の豊かな緑を見ながらくつろぐことができる。

  • スパ・トリートメントのバスルーム。

  • スパ・トリートメントのトリートメント室。スパの建物は渓谷のいちばん深いところに設けられている。

  • スパ・トリートメントの洗面器。

日本クオリティの「安心感」と「星のや」ブランドの「非日常」で世界へアピール

開業してから数カ月が経過し、日本だけでなく、世界各国から注目が集まる「星のやバリ」。今後の展開について「星のやバリ」総支配人の伊藤靖兼氏に伺った。
「初めての海外進出で、日本の『星のや』ブランドが他のリゾートと比較して、どんな違ったものをお客様に提供できるのかということが常に問われていると感じています。その期待されているもののひとつが『安心感』です。日本独自の細やかなおもてなしや、施設が清潔で衛生的であることによるものですが、その点で、ウォシュレット一体形トイレのお客様からの反響は非常に大きく、わたしたちのブランド価値の担保に繋がっていると嬉しく思っています。加えて、わたしたちが『星のや』ブランドとしてお客様にお約束しているのは、圧倒的な『非日常』の世界です。それは、日常では味わうことのできない、その地域に昔から根ざしている文化をお客様に体感していただくことにあると考え、わたしたちスタッフはお客様のニーズに応えるだけでなく、お客様にどういう文化を体験していただきたいか、スタッフ自ら趣向を凝らしサービスを生み出すことでそれを実現しようとしています。そこが、いわゆる西洋型のリゾートと異なる、わたしたち『星のや』ブランドのアピールポイントとなると思っています。この『星のやバリ』が、今後さらに星野リゾートが世界各国で広がっていくための、足がかりになれればよいなと考えています」。

  • カフェ・ガゼボ。4面が格子状で、自然の中でお茶を楽しむことができる。
    (写真提供:星野リゾート)

  • 渓谷に浮かぶように設けられたカフェ・ガゼボ。

  • 風の通るガゼボの下に設けられたレセプションゾーン。

  • レセプションゾーンの壁に施された石のカービング。

  • レストラン・ラウンジ。壁面にはバリの伝統的なカービングが施されている。

「星のやバリ」
  • 建築概要
    所在地 Br. Pengembungan, Desa Pejeng Kangin Kecamatan Tampaksiring, Gianyar 80552 Bali, Indonesia
    主要用途 宿泊施設
    事業主 星野リゾート
    設計 東 環境・建築研究所(建築設計)、オンサイト計画設計事務所(環境設計)
    設計協力 ICE都市環境照明研究所、PT Pasagi、Oemardi Zain Landscape Consultant
    施工 分離発注
    敷地面積 約25,620㎡
    延床面積 5,286.48㎡
    階数 地上2階 地下1階
    構造 鉄筋コンクリート造、木造
    竣工 2016年9月

  • TOTO使用機器
    〈客室〉
    トイレ CES9683 AJ
    洗面器 LW316 CJ
    〈スパ・スイート〉
    浴槽 RKZ1800 A
    トイレ CES9683 AJ
    〈スパ・トリートメント〉
    浴槽 PJY1814 PW
    トイレ CES9683 AJ
    水栓 TX605KES

※商品及び品番は海外仕様です。日本発売品とは異なります。

  • 東 利恵

    東 環境・建築研究所
    代表取締役

  • 伊藤 靖兼

    星のやバリ
    総支配人

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