特集/ケーススタディ

 光を直接扱う面以外にも、この空間には光や色について細やかな配慮が見られる。たとえば、カウンターの壁面にはさまざまな色やテクスチュアの塗料を重ねて、壁に光の影がまわり込んでいるような陰影をつける特殊塗装が施されている。カウンターの下部には既存のレンガ積みと、それに合わせて色を補正したレンガタイルを使用。床のモルタル金ごてならしの面とともに、落ち着きのあるトーンを保っている。客席テーブルの上には、スチールの角棒とワイヤーで張り出したシンプルな照明器具を製作して設置。再生後に始まった夜間の営業時にも、必要にして最低限のあかりが得られている。
 なお、昭和喫茶の雰囲気を伝える黄色い看板や椅子、食器などは以前のものを引き継いで使用している。店主の住居として使われていた2階は、スチール板の本棚や照明器具を新設し、壁を漆喰で塗り直したほかは、和室の続き間をそのまま残した。再開当初は打ち合わせスペースとして使われていたが、現在では床座の客席にされている。日差しの多く入る明るい座敷は、1階とは別世界といってよい。畳が置き換えられたアクリル板を通して、1階とのつながりが感じられる。


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