全室に「ベッドサイド水洗トイレ」を設置できるように

 ところで、この施設はTOTOが2013年9月に発売した「ベッドサイド水洗トイレ」を接続するための配管を特養29室とショートステイ10室のすべてに完備している。全室内の壁の各2カ所に、専用の配管ボックスを壁裏に仕込んだ点検口を設置。「ベッドサイド水洗トイレ」は床に固定されておらず、移動できるため、そのメリットを生かし、ベッドの位置によってトイレも動かす可能性があるからだ。
 特養のなかで個室内にトイレブースがあるのは1ユニットに対して各3室で、ブースの間仕切り壁は取りはずしも可能。残りは自力で外の共用トイレが使えるか、寝たきりでトイレに行けない入居者を想定している。
 施設としては、入居者の身体の状況によって、トイレのあり方を段階的に変えていきたいと考えている。自力で歩いて行けるうちは外の共用トイレか室内のトイレブースを使ってもらう。室内ブースを使っている人の歩く距離が限られてきたら、壁を取り払ってベッドをトイレに近づける。それでも無理になったら、「ベッドサイド水洗トイレ」を使ってもらう。室内にブースがあっても配管を備えた理由がここにある。オープン後すぐ「ベッドサイド水洗トイレ」を使う予定の入居者はまだ数名だが、寝たきりでおむつになるまでの時間を少しでも長くしたいと願う施設にとっては、どの部屋でもこの製品がすぐ使えるというワンクッションが備わっていることに意義があるというわけだ。
「これまでの施設では、せっかく個室内にトイレがあっても、ベッドからトイレまでの距離が遠いために使えず、結局ベッドのそばにポータブルトイレを置いてある例が珍しくありませんでした。ポータブルトイレの臭いや使用後の片づけは、介護者の負担になるばかりか、介護される側の自尊心にもかかわる問題ですし、ほかの入居者が生活するリビングの横を通って汚物処理室まで持って行くという行為自体もなんとなく嫌でしたね」と足立さん。これらをすべて解決した「ベッドサイド水洗トイレ」の果たす役割は大きいと語る。
 オープン後、ここで働く主任介護士の山崎真樹子さんは初めてこのトイレを見た感想をこう話す。
「画期的だなと思いました。においもしないし、便座もあたたかいし、介護士の負担も軽減されるし。ポータブルトイレは不安定で、移乗の際におしりをついてけがをする方もいますが、これは動かないのもいいですね」 


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