核家族の家のように

 敷地は円山(まるやま)川と山陰本線に挟まれ、周辺には田んぼが点在する住宅地。各ユニットの共用スペースは明るく開放的で、敷地の南に面した開口部から美しい山並みと田園風景が目に飛び込んでくる。ゆう建築設計伊藤健一さんは、「初めて敷地に立ったとき、この景色を眺めながらご飯を食べてほしいなあと思いました。ここはこの地域で暮らしてきた方たちが入る施設なので、今まで見ていたのと同じ山が見えることが安心につながりますから」と振り返る。
 その一方で、共用スペースを囲むように配した個室の入り口は雁行させてあり、壁面沿いに同じ扉が並んだ従来型施設とは趣が異なる。コンセプトは「家」。施設を運営する社会福祉法人あそうの足立崇宏さんいわく、「施設に入るのではなく、家から家への引っ越しやと思えるようなものにしたかった」。「しかも足立さんは、囲炉裏を大家族が囲む家というよりは、必ずしもみんなで集まらないでも過ごせる核家族の家みたいなイメージだと言わはった。それを突き詰めたのが今のプランです」と伊藤さん。足立さんも、「職員には死角があって大丈夫かと言われますが、家にも死角はあるし、いつもみんなに見られて暮らすのは落ちつかへんよねと話しています」と語る。
 入居者の平均年齢は90歳を超え、車いす使用者が大半のため、ユニット内は手すりもなくしており、より施設くささが払拭されている。


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