Vol.12 節水&節電を極めたアクアオート(自動水栓)の 進化がすごい!

Vol.12水栓が「水力発電機」で事故発電!?節水&節電を極めたアクアオート(自動水栓)の 進化がすごい!Text:Yayoi Okazaki Photo:Hiromitsu Uchida

手を出せば水が出て、遠ざけると自動で止まる。
いまやパブリックな施設では常識となった自動水栓をTOTOが日本で初めて開発したのは1984年のことでした。
水の止め忘れが防止できて、洗面台まわりも汚れにくく衛生的だとずっと右肩上がりで普及していきましたが、約30年がたったいま、自動水栓は驚くほど進化しています。
いかに節水・節電できるかというecoな進化はもちろんのこと「使い勝手」や「洗い心地」も格段に良くなっています。
今回は「アクアオート・エコ(自動水栓)」開発のストーリーをお届けします。

中尾仁(なかお・ひとし)

機器水栓事業部 機器水栓開発部
アクア電温商品開発グループ
1995年TOTO株式会社入社

2001年からアクアオートの商品企画に携わる。
インドネシア2年半の赴任をはさんでアクアオートの企画・開発ひとすじ。


Chapter 1

必要な電力を自分で作る自動水栓が作りたかった。

必要な電力を自分で作る自動水栓が作りたかった。

いまの自動水栓って、自己発電しているのをご存じですか? 意外と知られてないですよね。実は、吐水時の水流で羽根車を回転させて発電。手の動きを察知するセンサーや吐水/止水する電磁弁の開閉など、必要な電力を全部自分で作る、驚くほどエコな商品なんです。この自己発電水栓「アクアオート・エコ」が発売されたのが2001年。僕も企画時から関わりましたが、これは本当に画期的な商品で大変話題になりました。自動水栓では業界初のエコマークも取得したんですよ。なぜ「画期的」かというと、まず電源が不要になること。電源不要がなぜ凄いかというと、節電に効果的なのはもちろんのこと、取り換えが簡単だから世間の「節水需要」にもすぐに対応できるんです。古い施設だと洗面所に電源がないので電源工事が必要。費用も時間もかかって大変でした。たとえば震災後のいま、特に需要が増えているのは学校ですが、電源不要だと停電でも使える。避難所にもなる公共施設ではとても大事なことですよね。しかもメンテナンスも容易。ごく初期の自動水栓は電池式だったのですが、電池をいちいち取り換えるなんてナンセンス。そんな悩みが「自己発電」で一挙に解決する。まさに夢の商品じゃないかとワクワクしながら開発したのを覚えています。

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Chapter 2

30年の歩みは節水&快適さへの挑戦そのもの。

30年の歩みは節水&快適さへの挑戦そのもの。

「アクアオート・エコ」の凄さは自己発電だけではありません。そもそも自動水栓をTOTOが開発したのは節水のため。単に自動というだけでも節水に効果的なのは、既に過去の商品で実証されています。その水の量をもっと減らしたい。そのためには、手の動きをより正確に感知してムダを省きたかった。本当に必要なときだけ水を出す。この作動をより機敏に行うには、センサーの位置と感度が大問題。吐水角度との兼ね合いやデッドゾーンをなくすなど、数えきれないほど試行錯誤を重ねたうえでの結論が、吐水口にセンサーを付けるのがいちばん効果的だということ。ただ既存のセンサーだと吐水口に入るほど小さなものがない。だからセンサーの小型化も独自に取り組みました。その成果の「コンパクトセンサー」を日本で初めて搭載したのが「アクアオート・エコ」。きっと使う人は見えないから、センサーの存在自体を意識していないでしょうね。でも何も知らなくても、手を出せばサッと水が出て、使い終わればすぐ水が止まる。出ない!止まらない!とイライラすることがないからストレスも少ないはず。さまざまな人が使う自動水栓は、こういう基本的な快適さが大事。節水と同時に「使い勝手の良さ」も格段に向上したんですよね。

節水しながら快適といえば、「泡まつ吐水」もそうです。節水できても洗い心地が悪くなったら意味がない。そこで考えたのが、水を泡状にして、たっぷりの洗い心地なのに水量を激減させること。たとえば2006年に発売した「ハイパー泡まつ」だと、水に多量の空気を含ませて、初代アクアオートの半分以下の水量で快適な「洗い心地」を実現した。手に当たる感触が非常にソフトで水はねもなくたっぷり感も味わえる。昔から「泡まつ」っぽい吐水はありましたが、これはただ水を網に通しただけで洗い心地が悪い。「ハイパー泡まつ」は非常に複雑な模様の整流板に水を通すことで、空気をたっぷり含ませている。模様や穴のひとつひとつに深い意味があるんです。少ない水量、つまり勢いのない水でいかにたくさんの空気を上手に巻き込むか。その設計には非常に苦労しましたね。ただ「アクアオート」の変遷は、つねに節水と快適さの追求の歴史です。新製品が出来たから、これでもう満足ってことがないんですよね。

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Chapter 3

自己発電ユニットも内蔵しロボットのような水栓に!

自己発電ユニットも内蔵しロボットのような水栓に!

もちろん開発する側は大変ですよ(笑)。2011年に発売した最新型「オールインワンタイプ」だと、なんと水栓内部で自己発電しているんです! そう、蛇口のなかで羽根車が回っている(笑)。それまで洗面台の下に取り付けていた発電機を水栓本体に内蔵するためには、とにかく小さな発電ユニットを作らなくてはいけなかった。これは相当苦労しましたね。何とか約3分の1の大きさにできたものの、他にも「吐水口センサー」「サーモユニット」「ハイパー泡まつ」などさまざまな機能を詰め込まなきゃいけないから、蛇口のなかはもうキチキチ! 150個近い部品をいかに美しいデザインとサイズに収めるか。すべて同時進行で開発しましたが、設計には悩みまくりでしたね。断面を見てもらえばわかりますが、まるでロボットみたいでしょ。そんな努力が認められ、TOTO最高傑作の「アクアオート」と評価されているのはうれしいです。実は自動水栓は海外でも10年以上前から販売していて、昔の日本と同じように右肩上がりで普及しています。水不足のアラブやシンガポールでも売れている。「快適で衛生的、しかも使い勝手のよいecoな水栓」を世界中で実感してもらいたい。そして、昔に比べて進化して使いやすくなっていることに気づいてもらえたら、僕たちの苦労も報われますね。

この技術を搭載している商品は・・

自動水栓
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編集後記

編集後記by Yayoi Okazaki

まさか10年以上前から自動水栓が自己発電しているとは! まったく知りませんでした。それとセンサーの進化。たしかに最近は手を何回もかざしてイライラすることもないですもんね。そういえば昔は水栓のお腹の部分に大きなセンサーがありました。自動水栓が登場し始めた頃は、どうすれば水が出るのかわからなくて、あちこち引っ張ったり叩いたりもしましたっけ。今ではどこに行っても当たり前のように見かける自動水栓にも歴史あり。本当に進化しているんだなと実感しました。お話を聞いた後に隣の工場で「アクアオート」の生産現場を見学しましたが、こちらで驚いたのは、女性従業員の方々が組み立てから検査、包装まで1人で担当していること。各自が責任を持って「自分のアクアオート」を世の中に送り出しているんですよね。流れ作業を想像していたので、この光景にはかなり感動しました。これからは外出先で自動水栓を使うときの意識が変わるかも。そういえば、トイレから出ていっても水が止まらない海外の自動水栓の話をしたら「それはどこのメーカーですか?」と、ものすごい勢いで聞いてきた中尾さん。その気持ちもいまならよくわかります。

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