Vol.09 進化したウォシュレットに注目!トイレが自分で省エネ~瞬間暖房便座編

Vol.09進化したウォシュレットに注目!トイレが自分で省エネ~瞬間暖房便座編Text:Yayoi Okazaki Photo:Hiromitsu Uchida

「用を足すための空間」から「くつろぎの空間」へ。
1980年に発売されたTOTOウォシュレットはトイレ文化を画期的に変えました。
この功績を受け、初代ウォシュレットは社会に貢献し歴史的に意義があるとして
家庭用機械としては初となる「機械遺産」にも認定されています。
そして発売から33年たったいまも「人と環境にやさしい機能」を搭載して進化し続けるウォシュレット。
今回は「節電」に効果的な「瞬間暖房便座」開発のストーリーをお届けします。

服部浩暢(はっとり・ひろのぶ)

ウォシュレット開発第二部
商品開発第一グループ
1992年TOTO株式会社入社

入社から18年間バスタブの開発に従事。2009年からウォシュレット開発グループに転籍。「瞬間暖房便座」の素材と構造の開発に携わる。


Chapter 1

「6秒29度」への挑戦は「電気がもったいない」から始まった。

「6秒29度」への挑戦は「電気がもったいない」から始まった

トイレの1日の使用時間合計はどのくらいだと思いますか?実は4人家族で考えるとわずか50分程度。残りの23時間10分も便座を暖め続けているのはもったいないですよね。これをなんとかしたいと思ったのが開発のスタートでした。TOTOのウォシュレットには「タイマー節電」や「おまかせ節電」機能がありますが、僕が取り組んだのは便座自体の素材や構造をまったく新しく変えてしまうこと。そして人が座った時だけ便座を暖めて、冷やっと感じさせない「瞬間暖房」という考え方です。

まず目標にしたのが「6秒で29度まで上げる」という数値でした。人がトイレに入って便座に座るまでが約6秒。また便座に座って「冷たくない」と思える温度が29度なんです。すぐに便座の温度を上げるためには、便座の素材を薄くしたい。安全性を確保するために強度も必要です。いわば温感と強度のバーターなんですが、これが実は難しい。いろいろ検討した結果、素材をFRP(繊維強化プラスチック)に変更して厚さを3mmから1mmに。そして裏にガラス強化繊維を貼る二層構造にしましたが、この薄さと素材の組み合わせを決めるのは本当に地道な作業でした。約2年間、テストピースと測定器とのにらめっこでしたからね。ただ僕はそれまで18年間、バスタブの保温開発をしていましたので、なじみ深いFRP×ガラス強化繊維の組み合わせがベストだとわかったときは、ちょっとした運命みたいなものを感じましたよ。

↑ page top

Chapter 2

省エネ性能アップの決め手は「お尻ライン」の解析から。

省エネ性能アップの決め手は「お尻ライン」の解析から。

素材の開発と同時に、便座ヒーターのパターンも改良しました。ウォシュレットの便座の内側には熱線を這わせているのですが、「6秒で29度」を実現するためには、必要な箇所を重点的かつ効率よくカバーできるように工夫しなければならない。温度ムラをつくらずに省エネ性能も向上させるには、どういうパターンで這わせればよいか。そのためには、まず便座のどこに肌が触れるかを調べる必要がある。そこで、スタッフみんながお尻に粉を付けて座り、それを僕はひたすら確認し続けました(笑)お尻の肉付きは人によって違うので「お尻ライン」は千差万別なんですね。しかも、男性と女性では便座に座る位置が違う。「前の方が冷たい」と試作品を女性スタッフに叱られて、そのことに気付きました。僕たちは男性スタッフだけで「お尻ライン」を調べていたので、男性が後ろ座りで女性は前座りだということがわからなかったのです。

こうしてようやく「瞬間暖房便座」が完成したのですが、実はウォシュレット30年以上の歴史のなかでも、便座の素材や構造を変えたのは今回が初めて。ずっと変わっていないものに手を加えることは大変でしたが、一方でワクワクもしましたね。2008年に商品化されている、便蓋にも断熱材を入れた「ダブル保温便座」と、必要な瞬間だけ暖められる便座を組み合わせれば、省エネ効果は格段にアップする。それが実現すると、近年高まっている「節電」のニーズに応えることができる。その思いだけで頑張ってきましたから、外で「瞬間暖房便座」を見かけると本当にうれしいですよ。これからは、この「瞬間暖房便座」をTOTOウォシュレットのスタンダードにしていきたい。エコという観点から見ると、今回の「便座の変化」は大きな一歩だったと思います。

技術についてもっと詳しく知る

この技術を搭載している商品は・・

キレイが長持ちネオレスト詳細ウォシュレットアプリコット詳細

↑ page top

編集後記

編集後記by Yayoi Okazaki

「お尻ライン」に爆笑したり、男女の座り方の違いに「そうそう」と思ったり。いちばん驚いたのが、便座の構造だけが30年以上変わっていなかったこと。裏を返せば、それ以外はすべて改良されているということもスゴイんですが。また「ウォシュレット」は電化製品だということも改めて認識しました。いや、もちろん頭ではわかっていましたが、実感がなかったなと。あの便座の内側には、驚くほど緻密な熱線が這っているんですよね。それを見てTOTOの人たちがなぜここまで安全性にこだわるかが本当に理解できました。なのに使う側は「ウォシュレット」、特に便座を電化製品だとは思っていない。私もいままでの「乱暴な扱い」を深く反省いたしました。だからTOTOの製品はものすごく長持ちしますが、時期が来たら取り替えた方がいいですよ。いまの「ウォシュレット」は本当に進化しているし、省エネ効果も高い。「瞬間暖房便座」機能を持つ最新機種だと、なんと1年間の電気代は約4300円もお得だとか。ウチの長年の相棒にも、そろそろ引退勧告する時期だなぁと強く思った次第です。

↑ page top

今回のストーリについて、感想をお聞かせください。

その他のストーリー


Enquete

グリーンストーリーについてお聞きします。

グリーンストーリーについてお聞きします。

↑ page top

GREEN STORY TOPに戻る