第2話 考えさせるのではなく、
自然と大事にされるものをつくる
アッシュコンセプト株式会社 名児耶秀美さんに
お話をお聞きしました。

珪藻土の特性を生かし、伝統の左官技術を大切にした「soil(ソイル)」。
前回は、そのsoilを手掛けたアッシュコンセプトの名児耶秀美さんに
soilについてお話をお伺いしました。

今回お話いただくのは、名児耶さんが手がけるオリジナルブランド「+d」について。
作り手と使い手をマッチングさせる取り組みやモノづくりのこと、
そして環境のことをお伺いしました。

前回のお話:自然の恵みをぎゅっと凝縮 人にやさしいプロダクト"soil"

  • アッシュコンセプト

    モノを創る人と造る人を、そしてモノを使う人を、大切にしていきたい。モノづくりを通してデザインで世の中を元気にする会社「アッシュコンセプト」。オリジナルブランド「+d」からさまざまな製品を発信しています。

恋人みたいな商品をつくりたい

+dでは、どのように商品開発してるのでしょうか?

先ほども話に出ましたが、アニマルラバーバンドが僕たちの最初の商品です。実はこの商品、デザイナーがあるコンペに提案して賞をもらったものの、動物の形なので節々にテンションがかかって切れやすいからと商品化できなかったらしいんです。そのデザイナーの知人から「みんなから良いって言われるものの、誰も商品化してくれない。一度見てもらえない?」と打診されて。で、見た瞬間に「ああ、俺これ作りたい」って。

商品としてイケると想像できたんでしょうか?

一目見た瞬間に何が言いたい商品なのか分かったんです。そして、感動しました。輪ゴムにまだデザインの余地があったんだって。何の変哲も無い輪ゴムの枠組みをまだデザインできるし、これだと使い捨ての輪ゴムも大切にされる、という意図もすぐ分かった。

最初は普通の茶色い生ゴムの素材で試作したんですが、誤飲に対応するためにシリコーン素材にしたり、専門的な工場を巻き込んで変形でも切れない強い材料を配合してもらったりして、商品化にこぎつけました。

でも実はデザインって商品化するまでの形から素材、安全性など色々な角度のこと全てに目を配って作ることなんだと思うんです。それが僕の考えるデザインです。

じゃぁ、+dっていうのは・・

+dはオリジナルブランドですが、デザイナーが案をぶつけてきたり、展示会などで出会い、「面白い!」となったものを一緒に商品化に向けて進めていく。そんな風に作っています。

ただ、持ち込まれるアイディア案は面白いものの、だいたい荒削りで、商品というより”作品”。そこで「ここ、もうちょい使い手目線が必要だよ」とかいいながら、”商品”に落とし込む作業を一緒にやります。ユーザー調査やモニター調査をしたりしながら、実際に使う人の目線を確認する。そして、デザイナーに「あなたは良いっていうけど、使う人にはここが違うみたい」って伝える。すると、なるほど、とさらに案をブラッシュアップしてくれたりして。

工業製品の作り方と変わりませんね。

変わらないですよ。僕、工業製品が実は一番好きなんです。デザイナーは(実用的で大量生産の)プロダクトをデザインできないとダメだと思っています。ただ、心は(個々に対応する)クラフトのように、と考えています。何か一つだけつくるなら誰だってできるけど、より多くの人を幸せにしたい、というのがプロダクトの根本的な想い。だから、僕は心にはクラフトマンマインドを持ちながらも、工業的なプロダクトが好きなんです。

というか、単なるデザインバカ、モノ作りバカと言った方がいいかもしれないな(笑)。

商品って、実用一本でつまらないのも嫌だし、かといって、
面白いけど使い勝手イマイチなのも嫌。そのバランスって難しいですよね。

+dではいつも言ってるんですよ。「恋人みたいな商品つくりたいね」って。

恋人みたいに「好き」という気持ちから入ってくれると、買ってくれた人は大事にしてくれる。わざわざ「モノを大切に」と言わなくても、「好きになっちゃった」「欲しくなっちゃった」という要素があるから簡単に捨てたりしない。

だから僕は、これからの日本の製品は、心に訴えるモノづくりが大事だと思ってる。+dでは、そんなことを企業とか各産地の人と一緒にやっていきたいと思ってるんです。

色や形がかわいい“アニマルラバーバンド”やカラフルな色使いで持ち歩きが楽しくなりそうなレジ袋入れ “ポケット”。
さりげなくリユースを促す製品です。

エコカフェ企画による、暮らしの達人インタビュー。人と暮らしの間にある様々なモノ・コト。多種多様なジャンルで活躍されている方に、環境のこと、暮らしのこと、生活を豊かにする秘訣、などなど、様々な角度からお話をお聞きするコンテンツです。

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