別冊UD style

02 高齢者向けのユニバーサルデザインに
家づくりのヒントあり!

サービスつき高齢者住宅(サ高住)をはじめ、さまざまなバリエーションの高齢者向けの住宅が見られるようになりました。
身体の状態に合わせた使いやすさが配慮されているのはもちろんのこと、
快適に楽しく暮らすためにインテリアに力を入れたり、レストラン、シアターなどの施設を取り入れていたりする住宅もあります。
使いやすさと楽しさの双方が配慮されることは心身にバリアのない、快適な家づくりのお手本でもあります。
そこで、今回はこれまでの記事の中から高齢者向け住宅をご紹介します。

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UD Story コミュニティ形成

“暮らしのユニバーサルデザイン=人の繋がり”を
生み出す、サービス付き高齢者住宅

  • 長屋
  • 路地
  • まち
  • 見守り
  • 車いす

「これまでにない革新的な施設」を目指してつくられた、サービス付き高齢者住宅「わかたけの杜」(横浜市青葉区)。それは施設というより、小さな「まち」のよう。それぞれの住戸は路地とブリッジでつながり、下町の長屋のように、住む人たちが普段の生活の中でほどよく関わり合えるつくりになっています。福祉での「見守り」にありがちな一方的なイメージではなく、職員の方々も含め、住む人や使う人がお互いに支え合いましょう、という気持ちが込められています。それぞれの住戸は車いすや介助を意識したバリアフリー仕様、ブリッジの段差部分には車いす用のリフトも設置。心地いいコミュニティと暮らしやすさが両立しています。2015年にグッドデザイン賞金賞を受賞しました。

UD Story 老後の充実

毎日が楽しい。
使いやすさも趣味も大切にする高齢者向け住宅

  • シニア
  • 要介護
  • ケア
  • インテリア
  • シアタールーム

小田急線の成城学園前駅ほど近くにあるシニアレジデンス、「グランクレール成城」(東京都世田谷区)は、リゾートホテルのような優雅な佇まいです。こちらは60歳以上の方向けの住戸と、要介護の方向けのケアレジデンスを併設しています。住戸はインテリア性を重視しつつ、リビングダイニングと寝室をつなげて使えるようにするなど、夫婦での暮らしとケアが両立しやすい間取りです。この施設はほかに、趣味や他の入居者との交流を楽しめるスペースが充実しているのが特長。これらのスペースは柱の角に丸みを持たせてケガを防いだり、立ち座りしやすいテーブルやいすを置いたり、入居者を配慮したさまざまなユニバーサルデザインを取り入れています。

多くの人が使いやすい公共トイレのデザインコンペ、行われる

2016年11月8日~14日、渋谷ヒカリエ(東京都渋谷区)で「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」が開催されました。これは、従来の福祉の枠を超えたデザインやテクノロジーで、障がい者やLGBTなどのマイノリティの方々や福祉そのものに対する「意識のバリア」を取り除くことを目指すイベントです。この中で行われた、「トイレ」が主役のコンペについて、審査員をつとめたTOTOデザイン本部の迎義孝さんに話を伺いました。

ロゴマーク&サインデザイン 空間イメージ 平面プラン
コンペのテーマは「超福祉の日常のためのトイレ」。どういった提案が求められていたのでしょうか?
東京都渋谷区では、日本初のLGBT(※1)に関するパートナー条例(渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例)が成立しました。このコンペでは、その渋谷区にある実際のトイレ空間を提案の対象としていたので、多目的な要求への配慮に加えて、LGBTの方々への配慮、そのほかに様々なカルチャーが融合する渋谷らしさを感じる提案を期待しました。
(※1)性的少数者を限定的に指す言葉
応募作品には、何か傾向がありましたか?
提案を考えるうえでいくつかのキーワードがあったわけですが、LGBTの方々への配慮などひとつのキーワードに特化した提案は少なかったですね。大きく言うと、「ひとりでも多くの方が使いやすくなる」という視点でまとめられているアイデアが多かったことが今回の傾向です。
優秀作品は2点あります。
それぞれ、どういったところが評価されたのですか?
1点目(左図)の鈴木 竜也さんの案は、トイレ空間をメディアと捉えて、人が集う場、発信する場として空間の目的自体を大胆に変えたことが評価されました。2点目の案は、使用する前後に人に会うと気まずいという、男女共用トイレ利用時の課題を、空間の動線を一方通行にするシンプルなアイデアで解決していることが評価されました。
それぞれの優秀作品の特長から、今後、公共のトイレにはどのような工夫や配慮が求められるべきでしょうか?
まずは、トイレについての多様な価値観を知ること、理解することが重要だと思います。多様な価値観への配慮があたり前になったとき、「ひとりでも多くの方が使いやすい」公共のトイレは、「すべての人への気遣いに満ちた」トイレとなると考えます。