ホッとワクワク+(プラス)

ユニバーサルデザインの「今」がわかるコラムホッとワクワク+(プラス)

TOTOx日経デザインラボのコラムです。

ホッとワクワク+(プラス)

Vol.4Vol.4
高齢者向け住宅 ユニバーサルデザインが融合した優しい住まい パブリックスペース編 東京都シニアレジデンス・グランクレール成城高齢者向け住宅ユニバーサルデザインが融合した優しい住まい パブリックスペース編東京都シニアレジデンス・グランクレール成城

地階ホール

日本では仕事などのリタイア後、時間にも心にも余裕ができるためか、年齢が高くなるほど生活を楽しみたいと感じるようです(グラフ参照)。身体が衰えはじめてからも、趣味に講じたり、友人と気軽に交流できる環境を整えることが大切といえるでしょう。


vol.03とvol.04では快適な住まいづくりのヒントが満載の高齢者向け住宅を紹介します。伺ったのは、東京の小田急線・成城学園前駅近くに位置するシニアレジデンス、「グランクレール成城」。リゾートホテルにも似た優雅な佇まいが印象的な建物です。1階はレストランを中心としたセミパブリックスペース、地階にはシアタールームなどのパブリックスペースを設け、2階から5階には60歳以上の方向けの居室と、要介護の高齢者向けのケアレジデンスを併設しています。
vol.04でご覧いただくのは、同施設のパブリックスペース。レストランのほかシアタールーム、ライブラリー、ティールームなどが用意され、外出しなくても食事や趣味を気軽に楽しんだり、居住者同士の交流に活用することができます。いずれもホテルライクな洗練されたインテリアコーディネートですが、実はvol.03で紹介した居室と同様に、使いやすさやケガ予防のためのユニバーサルデザインがいたるところに溶け込んでいます。
それでは、毎日の生活に潤いを与えてくれる素敵なインテリアと、そこで見つけたさりげない配慮をご覧ください。

生活を充実させて楽しむことを重視する人の割合(平成23年のみ)

レストラン全景 丸みを帯びた室内の柱

右/安全性とデザイン性を兼ね備えたコーナーガードを採用

着席しやすさ、食べやすさを配慮

着席しやすさ、
食べやすさを配慮

間口いっぱいの窓から光が注ぐ、開放感あふれるレストラン。歩いても車いすでも通りやすいように、ダイニングテーブルと椅子がゆったりとレイアウトされています。移動の最中にケガを防ぐため、室内の柱や家具類の角には適度な丸みを設けました。家具類は、着席や離席のときにつかんで力を入れやすい、背もたれと肘掛けの形状や高さも特徴です。視力が弱ってもテーブル上の食事がはっきり、おいしそうに見えるよう配慮し、照明器具の位置や、光の強さと色みも工夫しました。


廊下沿いのライブラリー 廊下付近の壁

右/廊下付近の壁の様子。高さのある幅木を採用して車いすの接触から壁をガード

ラクに本を手に取れる廊下沿いのライブラリー

ラクに本を手に取れる
廊下沿いのライブラリー

入居者が集うティーラウンジ付近の廊下沿いには、写真のようなコンパクトなライブラリーがあります。通りがかりに気軽に本を手に取ることができ、好評を得ています。そばにはソファが置かれているので、座ってゆっくりページをめくることも。本棚の各段は、百科事典を置いたときにも上部に十分な空きのできる高さです。本を取り出しやすいうえ、ディスプレイとして美しく見えます。


シアタールーム全景 ソファーとオットマン

左/ソファの座面や背もたれは固めの方が姿勢を維持しやすく、疲れにくい
右/ソファの座面とオットマンは同じ高さ。クッションも常備している

ソファの使い勝手に注力したシアタールーム

ソファの使い勝手に
注力したシアタールーム

シアタールームは画像のクオリティや音響、防音にこだわるだけでなく、高齢者が長時間リラックスして過ごせるように検討を重ねました。1人がけソファの使い勝手にも、重点を置いています。長時間ラクに座り続けられる形状や固さにしたほか、脚を伸ばせるオットマンを配置。キャスターを取り付けたので、見やすい場所への移動も可能です。同時にケガを防ぐため、キャスターが安定するよう、カーペットは、毛足が適度に柔かく、表面に凹凸のあるデザインを選んでいます。


お話をうかがった方
東急不動産株式会社シニアライフ事業本部 西田恵介さん

1993年入社。2000年より高齢者向け住宅の事業立ち上げと企画開発に携わった後、東急不動産の運営するシニアレジデンスなどのインテリア設計や各施設で使用される家具類のデザインを手がける。一級建築士、インテリアコーディネーター。グランクレール総合サイト


【編集後記】

各種サービスやデザインともに、先駆的な高齢者向け住宅を取材させていただきました。ホテルライクなおしゃれなマンションといった第一印象ですが、話をうかがってみると居室、パブリックスペース、それぞれの場に使われている家具など、施設全般に渡って高齢者が安全に使いこなせるサイズや部材が取り入れられていました。このような意匠と機能が両立したデザインに囲まれていると、長く、心地よく暮らし続けられるのではないでしょうか。 介川亜紀


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写真/山田愼二 構成・文/介川亜紀 監修/日経デザイン 2012年7月27日掲載
※『ホッとワクワク+(プラス)』の記事内容は、掲載時点での情報です。

次回予告
vol.05では、アクティブシニアの住まいのリモデル事例をご紹介します。
2012年9月下旬公開予定。

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