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UD Style TOTOのユニバーサルデザイン

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TOTOと日経デザインが見つけた、身近なユニバーサルデザインを紹介するサイト「ホッとワクワク」。第21回からは再び、お出かけのときに利用するいろいろな施設のユニバーサルデザインにフィーチャーしていきます。

暮らしのUD

ホッとワクワク

TOTO×日経デザイン

第22号
子供連れでも自由自在にショッピング 1

第22回と第23回は、東京・銀座の老舗百貨店「銀座三越」。2010年9月、増床と全面リニューアルを終え再オープンした後は、「以前よりスムーズに品物選びができる」、「友人同士やファミリーで休憩をはさみながら楽しく買い物できる」などの理由で、30代、40代の女性、幼い子供連れのお客様が増えています。性別、年齢、国籍など多様なお客様すべてが買い物を楽しみ、快適に過ごせる「マイデパートメントストア」を目指して、心と身体への様々なユニバーサルデザインを空間に取り入れた成果でしょう。そういった中から、第22回は子供連れのママに嬉しい工夫を取り上げます。

老舗百貨店「銀座三越」リニューアル後間もない、銀座三越の外観。エントランスはメインストリート沿いの1階のほか、地下鉄の通路に直結する地下1階にある
(写真:三越伊勢丹)

アイデア1 ベビーカーを押したままで入れる、フィッティングルーム

多くのフィッティングルームは、大人ひとりが入れるほどの広さです。子供を連れて入るわけにもいかず、「ゆっくり試着できないので、洋服選びが億劫になりがち」と嘆くママは少なくないでしょう。銀座三越では、約3畳の広さ、間口が102cmある、ゆったりサイズの「ユニバーサルフィッティングルーム」をファッションフロアに設けています。ベビーカーを押して入り、そばに置いたまま試着して、その後にはルーム内でベビーカーの方向を自由に変える・・・など終始スムーズに動けます。中にはソファが置かれ、一緒に入った幼児が座って待つこともできます。ソファや壁面に設置された手すりは、お年寄りがスムーズに試着できるようにとの工夫でもあります。

フィッティングルーム 内部フィッティングルーム 出入り口ベビーカーを入れても、内部はゆったりしている。機能が強調されがちなユニバーサルフィッティングルームを、内装を工夫して百貨店にふさわしいおしゃれな雰囲気にした(写真:特記以外は山田愼二)

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アイデア2 通路幅はベビーカー同士もすれ違える、約180cm

余裕のある通路幅ベビーカーを押して通路を歩いても、端を歩くと十分な余裕がある。大きめのショッピングバックを肩から下げていても周囲の邪魔にならない

以前の銀座三越は、正面玄関付近などで通路が狭くなっている個所があり、混雑しているとお客様は歩きにくそうだったといいます。そのため、店舗のリニューアルでは、お客様がストレスなく歩けるように通路の幅をおよそ180cm以上を目安に変更しました。ベビーカー同士でも余裕を持ってすれ違えるようになり、最近では朝の開店直後から、赤ちゃん連れでショッピングを楽しむお客様が多く訪れています。ベビーカー使用時など、状況にかかわらず周囲に気遣いなくリラックスして移動できることは、ショッピングに不可欠なユニバーサルデザインの条件といえそうです。

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アイデア3 子供と一緒に気軽に休憩できる「銀座テラス」

カフェなどで少々休憩しながらゆっくりと店内を回るのも、ショッピングの楽しみ方のひとつ。でも、じっとしていられない年齢の子供と一緒では、席の周囲のお客様に気を遣う場面もありますね。そんなママたちが着目したのが、9階に設けられた「銀座テラス」。無料で利用できるうえ、豊かなグリーンと青空の広がるこのテラスには、カフェ同様の心地いい空気が流れています。ウッドデッキ周辺は段差が抑えられていて、ベビーカーでの移動も安全。ママたちは店内で食べ物や飲み物などを買い、ここで子供たちと一緒にのびのびと休憩するそう。都心では希少な、あらゆる人が憩えるくつろぎのユニバーサルデザイン・スペースです。

広々としたウッドデッキテラスウッドデッキ周辺のテーブル&チェアは、いつでも自由に使える。同階にある一部の飲食店から、食べ物や飲み物をテイクアウトして楽しむ人も多い

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(日経BP社「日経デザイン」 介川亜紀 フリー記者)2011年8月29日掲載
※『暮らしのUD ホッとワクワク』の記事内容は、掲載時点での情報です。

次回予告
第23回も、引き続き「銀座三越」を紹介します。
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