けんおんくんは、以前に主流だった細長い水銀体温計に比べ、形状だけでなく、使い勝手が大幅に向上しています。平たく大きな液晶パネルでは、数字をひと目で読み取れます。体温を測る先端部分は丸みを帯びた平たい形になっており、舌下でも、脇の下でも30秒間楽にホールドできます。
デザインしたのは、デザイナーの柴田文江さん。子供のころに経験した水銀体温計の冷たさや、体温を測るときの注射をされるかのような緊張感をなくし、体調の悪いときのストレスを軽減できないだろうか。そんな思いから、まったく新しい形の体温計を生み出したといいます。「‘マザーズラブ’とテーマを決め、ほっこりしたお母さんの優しさ、賢さ、愛情を形にしました」と柴田さん。同時に、家庭用医療機器としての精度や信頼感、清潔感も表されています。愛着を持って使い続けられる、次世代の体温計といえるでしょう。

婦人体温計のけんおんくんは、0.01度単位で体温を計測。
予測式と実測式で検温できる。オートパワーオフ

2009年に経済産業省が主催するキッズデザイン賞で金賞を獲得し、
再び注目が集まっている

このマップを発明したのは、ナビットの社長、福井泰代さん。きっかけは、やはりご自分の子育てのときの経験だといいます。子供をベビーカーに乗せて買い物に行ったとき、駅のホームのどこにエレベーターがあるのかよくわからず、ホームの端から端まで歩いてしまったのだとか。暑い日だったので、ご自身はもちろん、子供もぐったり…。
「そのあと、それぞれの駅のホームのどの位置に入口やエレベーターなどがあるのか、東京の地下鉄の256駅（13年前当時）を5カ月かけて自分で調べました」と福井さん。現在、使用されているマップは改良が重ねられ、女性専用車両やトイレの情報などが加わっています。英語をはじめ、さまざまな言語での表記バージョンも増えつつあり、ユニバーサルデザインとしてますます進化していきそうです。

企画販売元であるズームティー代表の河合とも子さんは、自らの子育ての経験から、米国の医学博士、アレキサンダー・テオドール氏が説く「理想的な授乳姿勢」の重要性と、彼が考案したドクターベッタ哺乳びんに着目。すぐに現地に飛び、輸入販売のライセンス契約を結びました。1995年のことです。 当初、ボトルはポリカーボネート製でしたが、環境ホルモンなどの恐れのない、ガラス製やほかのプラスチック製などに換え、日本国内で新たに製造・販売することにしました。2002年以降、ガラス製のボトルは、東京下町のガラス職人が1本1本手で作っています。
ポップなデザインは、ママにもっと育児を楽しんでもらいたいという思いで、河合さんが自ら手掛けたもの。この色合いはパパたちにも好評で、男性雑誌にもたびたび取り上げられています。ドクターベッタをきっかけにパパが授乳を手伝えば、ママも赤ちゃんもますますハッピーになれそうですね。

哺乳びんのカーブには、授乳時にびんの中に出てくる気泡をボトル底部に逃す役目も。赤ちゃんの空気の飲み込みを減らし、げっぷを軽減できる　撮影/ノザワトシアキ

パパとママどちらが装着しても様になるデザイン。写真のパパが使っているのは、通気性の高いメッシュタイプのベビーキャリア　エアー

日本で販売されている同社のベビーキャリアは、全４種類。いずれも、対面抱っこするときも、首が据わってから前向き抱っこするときも、赤ちゃんの背骨や背中をサポートする形状です。股関節への負担もなく、脚を自由に動かせるよう工夫をこらしています。一方、一般的なベビーキャリアで抱っこしたとき、赤ちゃんの重みはパパやママの肩やわき腹に集中。同社では肩のベルトを幅広にしたり、ランバーサポートという機構を加えたり、その重みを腰周辺に分散させて負担を軽減しています。
ベルトと赤ちゃんを支える本体はセパレートなので、赤ちゃんが眠っているときには、本体ごとベルトから外せば起こす心配もありません。また、ベルトは、すべて体の前面で調整できます。
「特に生後の半年間、赤ちゃんと密接に触れ合うことはとても大切。その手助けになれば嬉しい」と同社の広報担当アニカ・サンダーさんは話します。