地域に生きる会社 72

いい家づくりは、いい「人づくり」から

 2016年、ひまわりほーむは創業20周年を迎えた。3人で始めた小さな会社は、20年のあいだに70人を超える企業に成長。地元石川で知名度を高め、東京での展開も着実に進んでいる。ほかの会社が伸び悩むリフォーム事業でも好調だ。創業時に取引先の人たちから「つねに前向きで明るい集団に」という想いを託された社名のごとく、グングン伸びているといっていいだろう。しかし創業者でもある社長の加葉田和夫さんは、会社の成長を少し違う視点でみている。

ひまわりほーむ
代表取締役

加葉田和夫さん

取材・文/市川幹朗
写真/山下恒徳

  • 2階寝室。中央の畳リビングに座る、社長の加葉田和夫さん。

  • (株)ひまわりほーむ

自信をもって勧められる建材しか使わない

 加葉田さんと建築の出合いは、加葉田さんが庶務として地元の住宅会社に入社したことから始まる。小さな頃から建築に興味があった、ということもなく、たっての希望で入社したわけでもなかったが、お客さまとじかに接したことをきっかけに生来のポジティブ思考が目覚めたのだろう。庶務から営業への転身を希望し、移ってからはトップセールスを続ける。やがて恩師として慕う先輩とともに起業。さらに8年後、今度は自らが中心になって、ひまわりほーむを設立する。
 営業に転身したのは「家を売るなら、もっときちんと勉強して、自信をもって提案したい」という想いから。ひまわりほーむを創業したのは「小さな工事でも、大切に、真面目に取り組む姿勢をもちつづけたい」という想いから。共通するのは、お客さま第一主義だ。ひまわりほーむ石川本社では、10種類ほどの構造材を屋外に並べて経年変化を実証するほか、さまざまな建材を試している。実際に使用する構造材も、柱はすべてヒバ、ヒノキのムク材で4寸角、梁や桁は300㎜以上の太さで徹底している。自分たちが自信をもって勧められる建材・部材で、顧客満足度を高めたいという意気込みの表れだ。

  • 金沢・米泉(よないずみ)ニュータウン内の展示場。1階LDKは、小上がりの畳リビングで、動きのある空間。

  • 玄関前。アプローチは、飛び石をイメージしている。

社員のモチベーションを保つ経営方針

 しかし、お客さま第一主義は、ひまわりほーむを支える一方の車輪でしかない。加葉田さんがより目を向けているのは、社員たちだ。
 ひまわりほーむが謳う「全棟長期優良住宅」「全棟性能表示」「全棟ムク材使用」といった全棟主義は、他社との差別化が目的のようにみえるが、じつは社員へのメッセージ。「具体的なルールを決めることで、安易な妥協をしなくなる」
 また、新築でもリフォームでも、1件仕事をすると、担当した営業マンと現場監督がずっとその家の担当としてかかわりつづけるシステムは、「アフターの担当者を置くと、家ができたら知らない人が担当者としてやってくることになる。お客さまは知らない人より、なじみのある人に来てほしいはず」という一面のほかに、「アフターの担当者は喜んで仕事ができるのか」という想いがある。アフター仕事はクレーム処理。その部署に配属になった人は、はたしてモチベーション高く仕事を続けられるのか。
 つまり、いい家を提案・提供してお客さまに喜んでもらう目的のために、社員がつねに前向きに、高い意識で仕事に向き合えるように心を砕く。日常業務以外にレポートを課すなど、社員が自分を高めていくオリエンテーションもさまざまなかたちで用意されている。社員への期待は大きく、信頼は厚い。
「うちのような小さな会社には、学校でずっと一番だったような人は来てくれません。だから期待されて努力した経験があまりないんです。その分、伸びしろがすごく大きい」
 最初の担当者がずっとその家にかかわりつづけるのは、昔の「出入りの棟梁」がいるような状態に近く、ある意味理想的な関係だ。多くの会社が合理化、効率化の名目で切り捨ててきた人と人のつながりを重視しているともいえるだろう。ただ、仕事をすればするほど個人への負荷が大きくなっていくジレンマは残る。少しでも解消するには、人材育成を続けて人を増やしていくしかない。
 住宅会社を率いるものとして「きちんとした家を提供することで成功していかなければ、自分たちのような会社の存在価値がない」と言い切る。加葉田さんの家づくりは、「すぐれた技術者」や「すぐれた営業マン」ではなく、「すぐれた人」を育てることで未来へとつながっていく。

  • 玄関脇のトイレ。

  • 1階の浴室・洗面室。

  • 玄関ホール。扉奥はLDK。「通り土間」を再現した通路は、奥の部屋まで通じている。

(株)ひまわりほーむ
概要
本社所在地 石川県金沢市新保本4-66-6
電話 076-269-8100
代表取締役 加葉田和夫
会社設立 1996年
従業員数 74人
事業内容 建築工事の設計・施工・請負・管理、リフォーム工事の設計・施工
売上高 36億円(2016年3月期)
 
TOTO使用機器
キッチン CJシリーズ
浴室 サザナ
洗面所 システム・Jシリーズ
トイレ NJ2
Profile
加葉田和夫

Kabata Kazuo

かばた・かずお/1957年石川県生まれ。20歳で地元の住宅会社に入社、22歳で営業に転身した。96年にひまわりほーむを設立。「ひまわりのように前向きな企業でありたい」という想いのもと、社員全員で「全棟」にこだわる家づくりに取り組む。

購読のご案内はこちら