特集1/インタビュー

窓の設計

——「躯体の窓」はどのような経緯で依頼がきたのでしょうか。

増田 鉄筋コンクリート造2階建てのアパートを週末住宅、平日はロケーションスタジオとして貸し出すという、複合的なプログラム内容でした。設計段階の紆余曲折のなかで、窓を設計することになりました。

——窓だけ設計する、というのは不思議な話にも思えます。

大坪 内装の仕事の依頼だったのですが、設計と同時にヒアリングを進めていくと、設計の真意は建物と庭の境界にあったため、われわれがそこを設計し、お施主さんが内装をデザインする、協働というかたちになりました。双方にとっての立ち位置を、自然に考えた結果なんです。
増田「躯体の窓」の場合ははっきりしているのですが、ぼくらが仕事として担うべきことはなんなのか、ということをいつも考えています。ぼくらはアイデアと設計計画でお金をもらっているつもりなので、お施主さんの希望を図面に起こす仕事ではないと思っているんです。アイデアに価値を見出していただきたいと思っています。その場合、撮影スタジオのことはやはりプロに任せるべき領域ですから、ぼくらが特化して設計するべきところは自然に絞られていきました。
大坪 その分、請け負う立ち位置への責任は大きいです。「躯体の窓」でも、窓まわりの標準仕様を集中的に勉強して、アルミサッシやスチールサッシの歴史も勉強したうえで考えています。
増田 絞れば勉強しやすいです(笑)。ただ最初は、ガラスのはめ方もわからない状態でしたから、一歩一歩慎重に進めました。自分たちがわかるまで勉強したりエスキスを繰り返しているので、教えてくれる師がいない分、間違いなく効率は悪い(笑)。それでも、じっくり考えてつくったおかげで、納得できるものになったのではないかと思っています。


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