ケーススタディ4

つくる人たち

 では、施工者はどのように関係しているのだろう。「つくる人がリアリティを感じ、どれだけのポテンシャルをもつかにかかっている」と岡田さんは言う。
 前述の木造2作については岐阜の木造加工業者・翠豊が大きくかかわった。「清里アートギャラリー」の敷地は避暑地にあり、7月と8月は現場作業ができない。そこでその期間にモノコックの箱を工場でつくり、現場では強靱な特性を生かしてそのまま吊り込んだ。また「若葉台の家」では、間伐材のログが安価に入手できるという情報がこの構法につながっている。
 そして「海光の家」では、鉄でつくることが決まった時点で高橋工業に声をかけた。岡田さんが初めて協働したのは「富ヶ谷アパートメント」(05)の駐輪場とゴミ置き場だった。10㎜厚のコールテン鋼がメビウスの輪のように曲面を描き自立する空間。模型しかつくれなかった、まさにイメージだけの状態から、高橋工業は模型をスライスするように図面化し、卓越した造船技術でつくりあげた。
「海光の家」では、前記の理由で地下1階よりさらに4m下にある生活道路から資材を搬入するほかない。幅約2m、長さ約10mに分割した複雑な形状のサンドイッチパネルを気仙沼の工場で製作し、車から吊り上げて現場溶接で接合した。建て方は2〜3カ月におよんだものの、工事現場を訪れた建築構法の大家・内田祥哉さんもその精度には驚かれたそうだ。


>>岡田哲史さんによる、そのほかの構法的なアプローチを見る
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