ケーススタディ4

イメージを
共有する構造

 陶器浩一さんとは2003年、滋賀県立大学に同時に赴任したことで出会う。日建設計で超高層を手がけていた陶器さんに、「清里アートギャラリー」(05)の設計にあたって木造の構造家を紹介してもらった。しかしうまくいかずに困っていると、「僕が考えてみましょうか」と陶器さん。岡田さんが考えていた模型を見せたら、「これはモノコックの構造でいきましょう」という返事だった。そして、合板でつくった4つの湾曲箱型構造体に、薄い屋根を架け渡したCSS(コンテナ・ストラクチュア・システム)が実現する。
 陶器さんとのコラボレーションが成立するのは、このようにまずイメージを共有できるからだという。そこで形を決めず、フレキシブルに思考していけば、いろいろな可能性に対してフィードバックができる。そして「もの」に落とすスピードが速い。「陶器さんがいつもリラックスして見えるのは固定観念をもたないからだろう」と岡田さん。状況はつねに変わるから、その先でベストの解を求めればいい、という感覚はふたりに共通している。構法はどのようにでもできるという陶器さん、どんな空間でもつくれるという岡田さん、両者の自信が建築により大きな自由度をもたらしてきた。
若葉台の家」(06)では、木造による多面体をつくる。一般には、鉄製のボールヒンジでトラスのフレームをつくり、面材を貼っていく。しかしボールヒンジの製作費は総工費の半分にも達してしまう。そこで、ログヒンジという細い丸太を介してパネル枠材をラグスクリューで縫いつける方法を考案。寸法をコンピュータでシミュレーションし、さまざまな角度に対応させた。
 これも構法ですよね、と岡田さん。なるほど、「構法ありき」ではないつくり方が、確かにある。


>>岡田哲史さんによる、そのほかの構法的なアプローチを見る
>>「海光の家」の図面を見る
>>「海光の家」の鋼板の詳細図を見る

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