ケーススタディ2

環境負荷を
考える姿勢

 これらふたつの構法に加えて、「木のカタマリの家」には、環境負荷低減を目指す工夫が散見される。たとえば、平面形は外気の影響を最小限とするため、外壁面積が最小になる正方形になっている。北側に台所や浴室といった水まわりを集中させると南北で大きな温度差が生じることから、居室を南北に連続させたのもその工夫のひとつで、南側のハイサイドライトは、冬至の日には北側の居室いっぱいまで日光が届くよう計算されている。外壁には断熱材が入るが、これは実験に基づくものである。屋根の上にはソーラーパネルがのり、そこで得られた熱が平面中央のタンクに1トンのお湯をつくる。キッチンで発生した熱もタンクへ回収される仕組みで、普段の給湯や冬場の床暖房に使用される。こうした工夫の数数をみると、環境負荷を考える姿勢へ自然と襷をつなぐところにも、この構法の魅力を認めたい。

 吉田五十八は、「柱ばかりの家」と題して、真壁からの脱却と大壁の普及を主張した。今日の住宅を概観すれば、それは成功したといってよい。一方、網野さんの構法は、集成材の需要を認め、デッドストックの活用を求めるが故に主流とはならない。しかし、「平角マッシブホルツ」と「間柱ブレットシュタッペル」は、日本における製材所、さらには木材流通の現状の一端を露わにしており、高い汎用性をもつとともに、今後も求められる環境負荷を考える姿勢にもスムーズにつながる。デッドストックがたまたま平角材や間柱材であったとすれば、応用性も高いだろう。そこで、この構法は、無駄の少ない木材流通や、生産される木材の多様性を担保する、バランサーとして広まりが期待される木造構法である。そしてその日本第1号が、すなわち「木のカタマリの家」となろう。


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