ケーススタディ2

山を豊かにしよう

 そんな潮流や流通が抱える課題に取り組んだのが、この「木のカタマリの家」である。網野さんは、設計に際してまずいくつかの製材所をまわり、そこで割れの発生した平角材、製材時に木の皮を含んでしまった間柱材の大量のデッドストックを発見した。そして、これらの低質木材を直接製材所から購入して住宅をつくることにした。
 平角材というのは、梁や桁に用いる大断面の木材であるが、今日では集成材で代用することも多い。集成材は、細かな木材を接着し、安定した品質や自由な形状が得られる魅力的な製品である。一方で、代用された規格材を淘汰してしまう可能性や、木材を原料として買い叩く一面ももつ。それは、山を貧しくすることにもつながりかねない。網野さんが、低質木材を製材所から直接購入したことは、製材所での歩留まりを改善しつつ直接お金を落とす、つまり山を豊かにしようとする意思の表れである。その結果、「木のカタマリの家」で使われた木材の総量は一般住宅の約3倍、45㎥にも及ぶ。そして、このことが「木のカタマリの家」の室内環境を決定付けることになった。


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