ケーススタディ1

構法のメリット

 まずは、工期とコストである。大断面H形鋼は、住宅ではほぼ使われないものの、ビルなどの大規模建築には多用される規格材なので、早くかつ安く用いることができる。そして、後は現場に搬入されたH形鋼をクレーンで吊り上げ、順番に積み重ねていくだけで、骨格が出来上がる。鉄骨を積み重ねる工期は、わずか1日半。基礎工事以降の工期全体でも、約2カ月という短期間だったそうだ。単純な構成だが、これは、ある種のプレファブリケーションの建築である。しかも既存の規格材を用いているから、特別なシステムの開発をしていないにもかかわらず、プレファブのメリットの一部を獲得している。
 また、サステナビリティもある。H形鋼は、ボルトをはずすことで解体が可能な材料である。そのため、この住宅の材料はまるごと、どこかにリサイクルすることもできる。さらに、移築、増築、減築も比較的容易に行うことができるだろう。住宅のさまざまな未来に対応しやすいつくりである。
 このように、「鉄のログハウス」には生産上のメリットもある。おそらく、この構法は、美学とともに合理性があるからこそ、採用されたにちがいない。できる限り合理を求める姿勢が、美学の一部ということでもあるのだろう。


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