特集/ケーススタディ

民家改修の標準事例として

 この家屋の形状は淡路島ではごく普通だという。そうであれば、薄暗く、埃っぽく、ほとんど使われることがない屋根裏の空間が残余のスペースとしてそこらじゅうに存在することになる。それらをこうして改修し、利用すれば、いたずらに外側に増築を重ねては本体の価値を損なうという愚を避けながら、利用価値の高い空間を内部に抱え込むことができる。空間を無駄なく使い切るという意味でも、材料の節約という点でも、経済性の向上に、さらにはCO2の削減にまでもつながるだろう。何よりも、これまでの空間の質とは異なるスペースであることが、住み手の意識の覚醒をもたらすにちがいない。
 ところでこの連続窓は、外観においても著しい効果がある。重量感あふれる入母屋の瓦屋根のすぐ下方に帯のようにまわるガラス窓は、光線の具合によって透過性が強まって見えると、まるで上方の屋根が切り離されて飛んでゆくような錯覚に陥り、反対に透過性が弱まって反射性が強く見えると、ガラスの硬質とぬめりとした瓦のテクスチャーとの対比が際立ち、シュールな光景が現出する。この改修の美学的な側面の最大の特徴はこの光景にこそある。

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