TOTO
スミルハン・ラディック 寓話集
 
スミルハン・ラディック 寓話集
著者=スミルハン・ラディック
発行年月=2016年7月
体裁=B5判変型(250×190mm)、並製、312頁、和英併記
ISBN=978-4-88706-360-0

デザイン=色部義昭、本間洋史(株式会社日本デザインセンター色部デザイン研究室)

定価3,960円(本体3,600円+税10%)
アーティスティックでミステリアス。チリ人建築家スミルハン・ラディック氏待望の作品集
TOTO出版は、TOTOギャラリー・間にて2016年7月8日(金)より開催する「スミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集」に併せて、氏の日本初となる作品集『スミルハン・ラディック 寓話集』を7月7日(木)に発行しました。

スミルハン・ラディック氏は、2016年のプリツカー賞受賞者であるアレハンドロ・アラヴェナ氏と並び、現代チリ建築界、ひいては南米建築界を牽引する建築家のひとりです。

ラディック氏の作品は、氏が親しみ、影響を受けた童話や絵画、チリの気候や風土など、氏に内包する非常に個人的な原風景を着想の源として生み出され、その特長は、巨石や膜といった素材を巧みに駆使している点にあります。時に難解とも評されるその作品は、建築でありながら、まるで彫刻やインスタレーションといったアート作品にも見える大胆な形態にあり、個人的な内面性から生み出されるにもかかわらず、多くの人々の共感を喚起します。

「寓話集」と名づけられた本作品集では、代表作である「サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2014」(2014年)をはじめ、最新プロジェクトのひとつであり、2010年のチリ地震によって、そのファサードを残してほぼすべてが倒壊した集合住宅の再生プロジェクト「NAVE――パフォーミング・アーツ・ホール」(2015年)などを含む18の作品を収録。それぞれの作品の特徴から、〈テント/膜屋根/隠れ家/タワー/石/近作〉の5つのカテゴリーに分けて紹介します。本文では、氏による解説、また参照したさまざまな図版、自身によるドローイング、模型、図面、竣工写真など、豊富なビジュアルで思考のプロセスを紹介します。巻末には、今や日本を代表する建築家のおひとりである藤本壮介氏との往復書簡を掲載し、建築の本質に迫る藤本氏の問いかけにより、ラディック氏の深い建築思想があぶり出されます。

決して多くを語ることのない氏の、詩的でアーティスティック、時にミステリアスでさえある世界感を存分に味わっていただきたい一冊です。
立ち読み
プロフィール
スミルハン・ラディック Smiljan Radić
1965年、チリ、サンティアゴ生まれ。1989年チリ・カトリック大学卒業後、ヴェネチア建築大学で学ぶ。1995年にSmiljan Radić Arquitectoを開設。2009 年よりAIA名誉会員。2001年チリ建築家協会35歳以下の最優秀国内建築家賞受賞。2015年Oris ACO Award受賞。主な作品に「サーぺンタイン・ギャラリー・パヴィリオン 2014」(イギリス、ロンドン/ 2014年)、「直角の詩に捧ぐ家」(チリ、ビルチェス/ 2012年)、「NAVE—パフォーミング・アーツ・ホール」(チリ、サンティアゴ/ 2015年)など。展覧会に、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(2010年)、TOTOギャラリー・間25周年記念展「GLOBAL ENDS」(2010年)、銀座メゾンエルメス「クローゼットとマットレス」展(マルセラ・コレアと協働)(2013年)などがある。
目次

序文 寓話集

〈テント〉

NAVE―パフォーミング・アーツ・ホール
ルーム
ビオビオ市民劇場

〈膜屋根〉

チリ・プレコロンビア芸術博物館の拡張
ミーティング・ポイント
グアダラハラ環境科学博物館計画案

〈隠れ家〉

直角の詩に捧ぐ家
魚に隠れた少年
卵に隠れた少年
わがままな大男の城
サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン2014

〈タワー〉

サンティアゴ・アンテナ・タワー計画案
フラジャイル
ランプの塔

〈石〉

メスチーソ・レストラン
レッド・ストーン・ハウス

〈近作〉

木の家
ルッソ・パーク・プロジェクト

藤本壮介との往復書簡
作品データ
クレジット
略歴

関連書籍
スミルハン・ラディック
著者=ケン・タダシ・オオシマ
登場建築家=トム・クンディグ、石上純也、ケリー・ヒル、ショーン・ゴッドセル、スミルハン・ラディック、パウロ・ダヴィッド、RCRアランダ・ピジェム・ヴィラルタ・アーキテクツ
関連展覧会
関連講演会
2016年7月8日(金)|イイノホール
講師=スミルハン・ラディック