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ここに、建築は、可能か
 
ここに、建築は、可能か
著者=伊東豊雄、乾久美子、藤本壮介、平田晃久、畠山直哉
発行年月=2013年1月
体裁=B5判変型(210×168mm)、並製、184頁、和英併記
ISBN=978-4-88706-331-0

アートディレクション&デザイン=中島英樹

定価2,420円(本体2,200円+税10%)
建築は誰のために、そして何のためにつくるのか?
本書は、第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(2012年8月29日~11月25日)において金獅子賞を受賞した日本館の展示記録であり、また同時に岩手県陸前高田市で建設が進められた「みんなの家」が完成するまでの記録集です。

ここに、建築は、可能か?――陸前高田に「みんなの家」を建てるというプロジェクトを通して、同展のコミッショナーを務めた伊東豊雄氏より提示されたテーマと向き合った3人の建築家・乾久美子氏、藤本壮介氏、平田晃久氏が導きだしたものは何だったのか。

現地を訪れ、仮設住宅で暮らす人びとと交流することによる発見、伊東氏をはじめとするメンバーとの議論の中から共有されていったことなど、3人による協同設計のプロセスを、その過程でつくられた百数十という模型やスケッチ、そして同市出身の写真家・畠山直哉氏によって撮影された被災後の陸前高田とそこに「みんなの家」が立ち上がっていく様子をとらえた写真で紹介します。また、ヴェネチア・ビエンナーレの前後に行われた2回の座談会でも、その試行錯誤の過程が語られています。

今改めて、建築家の職能を、そして建築の意味を問う一冊となっています。
立ち読み
プロフィール
伊東豊雄 Toyo Ito
建築家。1941年京城市(現ソウル市)生まれ。1965年東京大学工学部建築学科卒業。1971年アーバンロボット設立。1979年伊東豊雄建築設計事務所に改称。 主な作品に「せんだいメディアテーク」(2001)、 「TOD’S表参道ビル」(2004)、「多摩美術大学 図書館(八王子キャンパス)」(2007)、「2009 高雄ワールドゲームズメインスタジアム(台湾)」 (2009)、「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」(2011)等。現在、「みんなの森 ぎふメディア コスモス」、「台中メトロポリタンオペラハウス (台湾)」他が進行中。日本建築学会作品賞(1986、 2003)、ヴェネチア・ビエンナーレ「金獅子賞」(2002)、王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤル ゴールドメダル(2006)、朝日賞(2010)、高松宮殿下記念世界文化賞(2010)等受賞多数。 著書に『風の変様体』『透層する建築』(いずれも青土社)、『建築の大転換』(筑摩書房、中沢新一氏との共著)、『あの日からの建築』(集英社新書)等。
乾久美子 Kumiko Inui
建築家。1969年大阪府生まれ。1992年東京藝術大学美術学部建築科卒業。1996年イエール大学大学院建築学部修了。青木淳建築計画事務所勤務の後、2000年乾久美子建築設計事務所設立。現在、東京藝術大学准教授。主な作品に「片岡台幼稚園の改装」(2001)、「ヨーガンレール丸の内」(2003)、「DIOR GINZA」(2004)、「アパートメントI」(2007、新建築賞受賞)、「スモールハウスH」(2009、東京建築士会住宅賞)、「フラワーショップH」(2009、日本建築士会連合会賞、2010グッドデザイン金賞)、「Kyoai COMMONS」(2012)等。著書に『現代建築家コンセプト・シリーズ3 乾久美子__そっと建築をおいてみると』(INAX出版)、『浅草のうち』(平凡社)等。
藤本壮介 Sou Fujimoto
建築家。1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年に藤本壮介建築設計事務所設立。主な作品に「House N」(2008)、「武蔵野美術大学 美術館・図書館」(2010)等。JIA日本建築大賞(2008)、World Architectural Festival─個人住宅部門最優秀賞(2008)、ベトン・ハラ ウォーターフロントセンター国際設計競技(セルビア)1等(2011)、台湾タワー国際設計競技(台中)1等(2011)、王立英国建築家協会(RIBA)インターナショナル・フェローシップ(2012)等受賞多数。著書に『現代建築家コンセプト・シリーズ1 藤本壮介__原初的な未来の建築』(INAX出版)、『藤本壮介読本』(A.D.A. EDITA Tokyo)等。
平田晃久 Akihisa Hirata
建築家。1971年大阪府生まれ。1994年京都大学工学部建築学科卒業。1997年同大学院工学研究科修了。伊東豊雄建築設計事務所勤務の後、2005年平田晃久建築設計事務所設立。現在、東北大学特任准教授、京都大学、東京大学にて非常勤講師。主な作品に「桝屋本店」(2006)、「alp」(2010)、「Bloomberg Pavilion」(2011)、「Coil」(2011)、「Panasonic “Photosynthesis”」(2012)等。SDレビュー朝倉賞(2004)、第19回JIA新人賞(2008)、Kaohsiung Maritime Cultural & Popular Music Center国際コンペ2等(2011)、Elita Design Award(2012)等受賞多数。著書に『現代建築家コンセプト・シリーズ8 平田晃久__建築とは〈からまりしろ〉をつくることである』(INAX出版)等。
畠山直哉 Naoya Hatakeyama
写真家。1958年岩手県陸前高田市生まれ。筑波大学芸術専門学群にて大辻清司に薫陶を受ける。1984年に同大学院芸術研究科修士課程修了。以降東京を拠点に活動を行い、自然・都市・写真のかかわり合いに主眼をおいた一連の作品を制作。国内外の数々の個展・グループ展に参加。2001年には中村政人、藤本由紀夫と共にヴェネチア・ビエンナーレ日本館にて展示(コミッショナー:逢坂恵理子)。 2011年東京都写真美術館にて、津波被災後の故郷陸前高田の風景を含めた展覧会「畠山直哉展 ナチュラル・ストーリーズ」を開催。同展覧会は、ハウス・マルセイユ写真美術館(アムステルダム)、サンフランシスコ近代美術館に巡回した。著書に『気仙川』(河出書房新社)等。
目次

序文 伊東豊雄
東日本大震災 震度と浸水域

ヴェネチア・ビエンナーレまで
ここに、建築は、可能か(2012 年5月) 伊東豊雄
設計プロセス
みんなで「みんなの家」をつくるということ
陸前高田の「みんなの家」図面
建設プロセス1 __ 上棟まで
陸前高田に建築は可能か 畠山直哉
建築そのものの力強さを再びとらえ直す「みんなの家」 乾久美子
陸前高田の「みんなの家」について 藤本壮介
信頼できる考えを編み合わせる 平田晃久
陸前高田2012年6月24日

ヴェネチア・ビエンナーレ日本館展示
ここに、建築は、可能か(2012年8月) 伊東豊雄
ヴェネチア・ビエンナーレ日本館2012
第13回 ヴェネチア・ビエンナーレ建築展審査員より
ヴィール・アレッツ
クリスティン・ファイライス

陸前高田の「みんなの家」竣工まで
建築家は誰のために建築をつくっているのか
――“社会の始まり”と“建築の始まり”をめぐって
建設プロセス2 __ 竣工まで

略歴
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展――日本参加の歩み 伊東正伸
クレジット

関連書籍
伊東豊雄
著者=伊東豊雄
ヴェネチア·ビエンナーレ
著者=北山恒、塚本由晴、西沢立衛
東日本大震災
監修=内藤廣、原研哉
編集=TOTOギャラリー・間
著者=内藤廣、原研哉、槻橋修、原広司、小野田泰明、青木淳、中田千彦、小嶋一浩、藤村龍至、妹島和世、隈研吾、山本理顕、伊東豊雄
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監修=多木浩二、伊東豊雄、坂本一成
写真=藤塚光政
伊東豊雄
著者=瀧口範子
伊東豊雄
責任編集・写真=藤塚光政
文=隈研吾
乾久美子
企画=TOTO株式会社
編集=Bath Views Project
協力=藤森照信、乾久美子、藤本壮介、石上純也、トラフ、永山祐子
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著者=平田晃久、藤本壮介、中村拓志、吉村靖孝、中山英之、倉方俊輔
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著者=平田晃久、藤本壮介、中村拓志、吉村靖孝、中山英之、倉方俊輔
藤本壮介
企画=TOTO株式会社
編集=Bath Views Project
協力=藤森照信、乾久美子、藤本壮介、石上純也、トラフ、永山祐子
ヴェネチア·ビエンナーレ
編者=山名善之+菱川勢一+内野正樹+篠原雅武
関連展覧会
関連講演会
2013年3月11日(月)|津田ホール
パネリスト=伊東豊雄、乾久美子、藤本壮介、平田晃久
モデレーター=内藤廣