TOTO
日本の庭
 
日本の庭
ことはじめ
5刷
著者=岡田憲久
発行年月=2008年5月
体裁=菊判(220×148mm)、上製、328頁
ISBN=978-4-88706-292-4

デザイン=緒方裕子

定価2,750円(本体2,500円+税10%)
日本の庭園の変遷と空間構成を説いた一冊。庭入門といえる教養書です。
本書は、庭園デザイナーの岡田憲久氏が、日本の庭園デザインに影響を与えてきた数々のテーマを採り上げ、庭園がどのような背景によって生まれ、そして現代に生きているかを分かりやすく解説します。ありそうでなかった、日本の庭園の変遷と空間構成を説いた、まさに「日本の庭の入門書」ともいえる一冊です。

本書ではまず、日本人が古来愛でてきた自然が、どのように「庭園」として残されてきたか、その独特の環境と庭文化の流れを解いています。そして、庭園の源流をひも解きながら、中国と韓国の庭園との比較や、歴史的遺産となっている江戸以前の名園から、明治以降の近・現代の庭までの、庭の形や様式の変遷をカラー写真を豊富に交えて紹介しています。 さらに作庭に関する書物や、庭園史に名を残す作庭家についての解説、日本人が自然を愛でてきた姿が伝わる工芸品や絵画を紹介するなど、庭にまつわる文化史にも迫ります。また、今後ますます都市化が進む中、将来的に、日本の庭はどうあるべきかを考える視点も私たちに与えてくれています。
立ち読み
著者プロフィール
岡田憲久(Okada Norihisa) 作庭家
名古屋造形大学大学院教授、景観設計室タブラ・ラサ主宰
1950年4月大阪生まれ。74年信州大学農学部林学科伊藤精晤造園研究室卒業。
74年より5年間京都にて作庭修行。80年より名古屋にてランドスケープの設計事務所勤務。
89年より景観設計室タブラ・ラサ主宰。92年より名古屋造形芸術短期大学助教授を経て
現在に至る。

作品に、清洲城庭園、蓑虫庵庭園、中部大学工法庵洞雲亭庭園、
中部大学25号館中庭「花鏡の庭」、「瓦の庭 かい(海)」、
中部国際空港アクセスプラザガーデン瓦の庭、アルペン丸の内タワー公開空地などがある。
2003年 第10回愛知まちなみ建築賞「高嶺下住宅」
2003年 第12回甍賞造形賞「瓦の庭 かい(海)」
目次

はじめに

一章 近現代の庭   
庭の魅力
 北村美術館「四君子苑」庭園/朝倉彫塑館/
 植治・七代目小川治兵衛の庭/飯田十基の雑木の庭/
 重森三玲の庭/吉兆高麗橋店の庭/武相荘の庭/
 深谷光軌の外空間 京王プラザホテル四号街路空間/ 
 何必館・京都現代美術館 /京都、森に隠れた廃墟の庭/ 
イサム・ノグチ 

二章 自然を造形する 
庭の主役、本の自然 
 日本の植生環境 
神を迎える造形 
 磐座/環状列石/鎮守の森/神池/神籬/禊の場/古墳/ニワ 
農における自然の造形 
 里山/棚田/水の制御と利用/屋敷林など/農の習俗、遊びに見られる自然とのかかわり
都市の自然
 生きている都市/都市の土木構造物/都市の中での自然の楽しみ、遊び 

三章 大陸から伝わったもの 
中国、朝鮮半島の庭文化の影響 
 中国の庭/朝鮮半島(韓国)の庭 

四章 日本庭園の変遷 
日本庭園の歴史を通観して 
 飛鳥時代/奈良時代/平安時代/鎌倉・室町時代/安土桃山時代/江戸時代
庭園のつくり方を著した書物 
 作庭記/山水並野形図/築山庭造伝/日本庭園入門
作庭者たち 
 石立僧/山水河原者/夢窓疎石/小堀遠州/明治以降の作庭者

五章 庭園の様式 
池庭 
 平城京左京三条二坊宮跡庭園/平城宮東院庭園/
 平等院庭園/浄瑠璃寺庭園/毛越寺庭園/永保寺庭園/
 西芳寺庭園/鹿苑寺(金閣寺)庭園/
 慈照寺(銀閣寺)庭園/北畠氏館跡庭園/
 旧秀隣寺庭園/一乗谷朝倉氏庭園/桂離宮庭園/
   修学院離宮庭園
枯山水庭園 
 西芳寺庭園 洪隠山/大仙院書院庭園/龍安寺方丈庭園/
 金地院庭園
露地 
 妙喜庵待庵露地/表千家不審庵露地/孤篷庵庭園 
坪庭 
農の景 

六章 時間・骨格・ディテール 
時間概念のデザイン化
庭園の骨格 
 敷地の選択/囲い/地割/動線の配置 
庭園のディテール 
 石垣/苑路/石組み/流れ、曲水、池/添景物/塀・垣/建築のディテール 自然、庭園とのかかわりについて/植栽 

年表/おわりに/写真・図版クレジット/著者略歴
監修者

正誤表

●80ページに誤表記がございました。謹んでお詫び申し上げますとともに、初版第6刷以降修正いたします。
誤)四条原町
正)四条原町

●142ページの写真「四神相応の地、平安京」が左右逆版となっておりました。
謹んでお詫び申し上げますとともに、初版第5刷以降修正いたします。

●本書第一章「庭の魅力」内77ページ上段写真は深谷光軌氏の作品ではなく、陶芸家 會田雄亮氏の作品でした。
謹んでお詫び申し上げますとともに、以下のとおり訂正させていただきます。

75ページの16行目~18行目
誤)
この京王プラザホテルには、三階のティーラウンジの外につくられた水の庭と屋上庭園もあり、深谷がその後展開させていく要素すべてがここにあるように思われる。
正)
この京王プラザホテルには屋上庭園もあり、深谷がその後展開させていく要素すべてがここにあるように思われる。

76ページのキャプション
誤)
水の庭(左頁上)
方形の石が組み合わさることにより陰影がリズムをもちその間を水が流れる。
正)
大きな岩盤のように表現された斜面(左頁上)
公共の歩道に接するところは、石の荒々しい肌合いが面の構成として柔らかな緑の間に見え隠れする。

77ページの上段写真

●第二章 「神を迎える造形」内

114ページ下段写真キャプション
誤)
伊勢神宮の神籬
正)
伊勢神宮、外宮の三つ石

116ページ1段落3行目~
誤)
両宮共に降神の装置である「心の御柱」がもっとも神聖なものとされ、一三〇〇年 前から、御柱の覆いである神明造りの神殿が二〇年に一度建て替えられ、
正)
両宮共に降神の装置である「心御柱」がもっとも神聖なものとされ、一三〇〇年前 から、神鏡をお祭りする神明造の神殿が二〇年に一度建て替えられ、

116ページ1段落7行目~
誤)
神への捧げものとしての織物、漆器、絵画、そのほかあらゆる工芸品と共に、
正)
神への捧げものとしての織物、武具、楽器そのほかあらゆる工芸品と共に、

116ページ16行目
誤)
六一回目の遷宮によって建てられた黄金に光り輝く棟木を掲げた神殿が垣間見える。
正)
六一回目の遷宮によって建てられた黄金に光り輝く棟木を掲げた正殿が垣間見える。

116ページ下段写真キャプション
誤)
伊勢神宮の心の御柱覆屋(左頁)
正)
伊勢神宮の心御柱覆屋(左頁)

本修正は2刷以降に反映しております。

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デザイン画=白井温紀
写真=小林庸浩