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建築への旅
著者=廣部剛司
発行年月=2006年7月
体裁=四六判(128×188mm)、並製、280頁
ISBN=978-4-88706-268-9

デザイン=徳田祐司

定価=本体1,800円+税
ある日、すべてを捨てて旅に出ようと決めた。求めていた〈建築〉を探すために――。
本書は、建築家を目指した若き設計者の、8カ月におよぶ旅の記録です。著者は、現在新進の建築家として住宅設計を中心に活躍している廣部剛司(ひろべたけし)氏。

現在30代の廣部氏は、20代最後の年、修行時代の最後の締めくくりとして、勤めていた設計事務所を辞め、世界の建築を訪ねる巡礼の旅に出ることを決意します。古典から現代まで、名作と呼ばれる数々の建築作品を訪ね、建築家がどのような葛藤と努力を経てそれらの素晴らしい空間を実現してきたのか、その創造の源を探る――。それは、ひとりの「創り手」として生きていくことを決意した者が一度は経験しなければならない、理想の建築家像を探し求める旅でした。

ル・コルビュジエ、ガウディ、ルイス・カーン、F・L・ライト、ルイス・バラガンなど近代の巨匠から、カッパドキアの岩窟住居やル・トロネ修道院といったアノニマス(作家不詳)の傑作まで、建築好きなら必ず訪れたい数々の建築の素晴らしさとその誕生の物語、著者と建築との対話の様子を、瑞々しい文章で綴っています。また、「マラパルテ邸」を舞台とした映画『軽蔑』やマーク・ロスコ、ジョージア・オキーフの絵画との出会いなど、音楽や芸術に造詣の深い著者ならではの話題も随所に織り込んでいます。加えて、全編に散りばめられた撮り下ろしの写真や旅のスケッチブックから取られたスケッチが、旅の臨場感を再現しています。何よりも、道程を経るごとに建築への愛情の深さと建築家として生きていく覚悟が強まっていく、等身大のひとりの若者の成長が生き生きと描かれています。そして、旅の最後にたどり着いた時、彼は……。

建築ファンには必読の書であるとともに、旅のエッセイとしても楽しめる、爽やかな一冊です。
著者プロフィール
廣部剛司 Takeshi Hirobe
建築家。1968年神奈川県生まれ。日本大学理工学部海洋工学建築学科卒業後、芦原建築設計研究所に勤務。1999年廣部剛司建築設計室設立。現在、日本大学理工学部、明治大学理工学部非常勤講師。日本建築家協会(JIA)登録建築家。
受賞歴に、エス・バイ・エル住宅設計コンペ「エリック・サティの家」佳作入選(1994年)、第7回空間デザインコンペティション佳作入選(2000年)、JCDデザイン賞入選(2002年)、東京建築士会住宅建築賞奨励賞(2005年)、日本建築家協会優秀建築選入選(2005年)等がある。主な作品は「諏訪の家-Casa Suwa」(1999年)、「Sentimento MARK」(2002年)、「Barcarolle」(2002年)、「茶畑の家」(2004年)、「桜並木の家」(2005年)、「南青山の家」(2005年)、「黒箱―渋谷H」(2006年)など。

廣部剛司建築設計室 Takeshi Hirobe Architect
URL: http://www.ne.jp/asahi/hirobe/architect/
目次

はじめに
春風 ――「旅人」になるまで
岩に切り取られた空――トルコの大地から
深い蒼の向こうには――エーゲ海
『軽蔑』――カプリ島マラパルテ邸
建築は詩たり得るか――ブリオン墓地
それぞれの時を刻む水――ヴェネツィア
音楽的空間――ラ・トゥーレットの修道院
目を射る光と静寂の中で――ロンシャンの礼拝堂
粗い石――プロヴァンスの三姉妹
未完の形――ガウディの建築とバルセロナ
アンダルシアの太陽――グラナダ・セヴィリア
封じ込められているものは――ウィーン
低い太陽――デンマークとスウェーデン
手の痕跡――アルヴァ・アアルトのフィンランド
人の居場所――ニューヨーク
ハレーション――マーク・ロスコの芸術
そこに建築があること――フランク・ロイド・ライトの落水荘
夕焼けの美しさは――キンベル美術館
オキーフの見た色――ニューメキシコ
ここにしかない光――ルイス・バラガンとメキシコ
次の始まりに向かって――あとがきに代えて
主要参考文献リスト
スケッチ・写真リスト

関連書籍
建築旅行記
著者=中谷俊治