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WHAT IS OMA
 
WHAT IS OMA
レム・コールハースとOMAについての考察
編者=ヴェロニク・パテヴ
翻訳=橋本啓子
発行年月=2005年5月
体裁=四六判(128×188mm)、並製、292頁
ISBN=978-4-88706-254-2

造本=小阪淳
本文設計=HOLON

定価=本体2,200円+税
OMAとは何か? レム・コールハースとは何者なのか?
今、彼のプロジェクトを語らずして、建築を語ることができないと思えるのはなぜか?
コールハースの建築理論の視座、概念的装置、アーバニズムと現代都市についての構想、「OMA」により実践されたデザイン、リサーチ・プロジェクトである「AMO」シンクタンク――これらはすべて、建築と多分野の曖昧な接点上に存在している。(ヴェロニク・パテヴ)

レム・コールハースが率いるOMAは近年完成したシアトル公立図書館、プラダの一連のプロジェクト、そしてこれまでにない特異な高層建築であるCCTV:中国中央電視局(2008年の完成予定)など今建築界の話題を独占しています。なぜ目が離せないのか? 本書では現代社会における彼らの位置付けが解明されています。

本書は、OMAとベルリン国立美術館が共同で企画した展覧会「コンテンツ」(世界各地巡回予定)の開催にあわせてオランダ建築博物館出版(Nai Publishers)から発行された書籍の邦訳版です。建築分野のみならず、文化哲学、現代美術、SF小説などの多分野から選ばれた国際的に名高い執筆陣が、社会的・経済的発展の視点からOMAの仕事を分析することによってレム・コールハースとOMAが担っている役割と意義を明快に洞察した評論集です。

1章「軌跡(Orbit)」ではコールハースが付与した建築家の新しい意味、彼とオランダの伝統との関わりについての考察、2章「方法(Method)」ではOMAの作品の視覚的・美学的役割を現代文化の視点からの分析、3章「領域(Area)」ではOMAの作品を現実との概念との関わり、OMAの分身AMOの活動についてが検証されています。

原書は、ヨーロッパではすぐに増刷になるほど大好評を博しています。その理由を「本書は一見ばらばらな断片のように見えるコールハースの建築や陳述、リサーチを体系的に把握する手引きとなり得たためであろう」と訳者である橋本氏は語っています。
プロフィール
アーロン・ベツキー(オランダ建築博物館ディレクター)
建築家、建築史家、建築批評家。現在、オランダ建築博物館 (Netherlands Architecture Institute, 略称NAI)のディレクターを務める。1995─2001年、サンフランシスコ近代美術館にて建築・デザイン・デジタル・プロジェクトのキュレイターを務める。主著:Landscapers(Thames and Hudson, 2002), Architecture Must Burn(Thames and Hudson, 2000), The Houses of Max Palevsky(Rizzoli, 2002)
イアン・ブルマ(小説家)
ニューヨークのバード・カレッジ教授。オランダ人の父とイギリス人の母の間にオランダで生まれる。オランダと日本で教育を受け、長年アジアに滞在した。過去にワシントンのウッドロー・ウィルソン人文科学協会フェローを務める。主著にGod's Dust: A Modern Asian Journey, Behind the Mask, The Wages of Guilt: Memories of War in Germany and Japan(邦訳は、石井信平訳『戦争の記憶──日本人とドイツ人』筑摩書房、2003年), The Missionary and the Libertine : Love and War in East and West(邦訳は、石井信平訳『イアン・ブルマの日本探訪──村上春樹からヒロシマまで』TBSブリタニカ、1998年)がある。小説家としても活躍し、Playing the Gameは、イギリスでクリケットの選手となったインドの王子の人生を描いた伝記フィクションである。最近の小説にBad Elements, Inventing Japanなどがある。
オクウィ・エンヴェゾー(ディレクター)
「ドクメンタ11」のアーティスティック・ディレクター、第2回ヨハネスブルク・ビエンナーレ・ディレクター、シカゴ美術館現代美術部門副キュレイターを歴任。Nka: Journal of Contemporary African Art(Cornell University, Ithaca)の発起人および発行者でもある。主著にUnder Siege: Four African Cities, Freetown, Johannesburg, Kinshasa, Lagosがある。現在、ピッツバーグ大学建築・美術史学部客員教授。
H・J・A・ホフランド(コラムニスト)
NRC Handelsblad, De Groene Amsterdammerに寄稿するコラムニスト。アメリカのジョーンズタウン、ペンシルヴァニア、ニューヨークのマンハッタンに長期間滞在した。主著に、長文のエッセイ(Tegels lichten, De elite verongelukt, Het voorgekookt bestaanなど)、紀行文(De wording van het Wilde Oostenなど)、小説(De Alibicentrale, Man van Zijn eeuwなど)を刊行したほか、ハンス・ケラーとともにテレビのドキュメンタリー番組(Nederland 1938-1948, Vast-beraden maar soepel en met mateなど)を制作。2001年にマーストリヒト大学から名誉博士号を授与された。
ニール・リーチ(建築家、理論家)
ロンドンのAAスクール、ニューヨークのコロンビア大学をはじめ多数の機関で教鞭を執る。主著にThe Anaesthetics of Architecture(MIT, 1999), Millennium Culture(Ellipsis, 1999), The Politics of Space(刊行予定), Forget Heidegger(Paideiaより刊行予定), Marspants(共著、Architecture Foundation, 2000), Rethinking Architecture(編者、Routledge, 1997), Architecture and Revolution(編者、Routledge, 1999), The Hieroglyphics of Space(編者、Routledge, 2002), Designing for a Digital World(編者、Wiley, 2002), Digital Tectonics(共編、Wileyより刊行予定)などがある。
マシュー・スタドラー(小説家、編集者)
アメリカ、オレゴン州アストリア在住。オランダに2年間滞在し、同地でWiederhall誌に寄稿したほか、デルフトとロッテルダムで開催された会議において研究発表を行う。1994年の論文 ‘I Think I’m Dumb’ は、アメリカ西海岸および、レム・コールハースのマニフェスト「ビッグネス」についての考察であり、ウェブ・ページThe Raven Chronicleで閲覧できる(http://www.ravenchronicles.org)。また、Clear Cut Pressの発起人のひとりでエディターでもあり、Nest Magazineの文芸エディターでもある。
マイケル・ブルース・スターリング(SF作家、ジャーナリスト)
最初のSF小説Man-Made Selfは1976年に刊行された。1980年代には、ウィリアム・ギブスン、ジョン・シャーリィ、ルーディ・ラッカーとともに、「サイバーパンク」の旗手となる。当時、コピー機を使って作成したSFの同人誌Cheap Truthを執筆、編集していた。最近の著作としては、政治と生物工学を扱った小説Distraction(1998)、短編集A Good Old-Fashioned Future(1999)(邦訳、小川隆訳『タクラマカン』早川書房、1999年)、ミレニアムを舞台にしたポストモダン・ファンタジーZeitgeist(2000)などがある。最新作Tomorrow Now: Envisioning the Next 50 Yearsは、未来主義者の思索を扱ったノンフィクションの作品である。
バルト・フェルスハフェル(美術史・建築史家)
ゲント大学建築学部都市計画科およびアントワープ大学教授。美術史、建築史、文化哲学の分野で著作を出版しており、主な学術論文に、De Glans der Dingen(1989), Architecture is (as) a gesture(2001)などがある。
訳者プロフィール
橋本啓子(はしもと・けいこ)
デザイン史家、美術史家。1964年大阪府生まれ。慶應義塾大学文学部文学科英米文学専攻卒業、英国国立イースト・アングリア大学美術史音楽学科修士課程修了(専攻は、19-20世紀英国建築史、デザイン史)。前東京都現代美術館学芸員、前兵庫県立美術館学芸員。現在、神戸大学大学院総合人間科学研究科コミュニケーション科学専攻博士後期過程に在籍。
主著、主訳書に、坂本満他編『世界美術大全集第17巻 バロック2』(共著、小学館、1995年)、高階秀爾編『美術史における日本と西洋』(共訳、中央公論美術出版、1995年)、ジューン・ローズ著『モディリアーニ』(共訳、西村書店、1997年)、V・M・ランプニャーニ他監修『世界の美術館 未来への架け橋』(共訳、TOTO出版、2004年)。
目次

序文
第1部 軌跡(Orbit)
レム・コールハース:モダニズムの氷山の内部にあるマンハッタンの炎
──アーロン・ベツキー
多少の組み立てが必要です(ダイジェスト)
──マイケル・ソーキン
ハンディキャップというアイデンティティ
──H・J・A・ホフラント
プランとディテール:建築と都市の哲学(ダイジェスト)
──ジャン・アタリ
やろうと思えば何でもできる
──イアン・ブルマ
第2部 方法(Method)
C〈AMO〉UFLAGE-:カムフラージュされたAMO
──ニール・リーチ
不気味な建築(ダイジェスト)
──アンソニー・ヴィドラー
モダニティの終焉:レム・コールハースによるエントロピーの言説
──オクウィ・エンヴェゾー
未来都市(ダイジェスト)
──フレドリック・ジェイムソン
Kの物語
──マシュー・スタドラー
閾の世界、近代の経験と都市の公共性(ダイジェスト)
──ルネ・ボームケンス
第3部 領域(Area)
レム・コールハースの生き残りの倫理:OMAの最初の住宅
──バルト・フェルスハフェル
OMAのベルリン:都市における論駁の島(ダイジェスト)
──フリッツ・ノイマイヤー
AMOの使用手引き
──ブルース・スターリング
公開(ダイジェスト)
──サラ・ホワイティング
レム・コールハース略歴
プロジェクト歴
執筆者紹介
訳者あとがき

私が推薦します!
僕は、何かがクリシェになってしまうことが嫌いなんだ」。 レム・コールハースは、こう私に言い放った。「あなたは○○である」とか「あなたは○○なアプローチをする」と決めつけたがる世間の目から逃れ続ける彼は、建築、文筆、政治、経済、大学といった多様な領域を侵食している。そうしてコールハースが最も激しく揺れ動かそうとする対象は、実は彼自身なのかもしれない。
この人物は一体何者か?
この本は、複数の識者が解読を試みたコールハース像であり、同時に時代を知るための最良のガイドブックである。――ジャーナリスト・瀧口範子
関連書籍
レム·コールハース
著者=瀧口範子