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第2回 「伝統工芸」×「カワイイ」 筆の里・熊野町から生まれた化粧筆

ハートやフラワー、お菓子のマカロン…。こんなユニークな形の化粧筆があることをご存知でしたか?
これらの商品が生まれたのは、筆づくり180年の歴史を持ち、そこで製造される書道筆は全国約8割のシェアを占めるという筆の里・熊野町。伝統工芸の技術を駆使してつくり出される「カワイイ」の秘密を探りに、編集部員K子が広島県安芸郡熊野町にある株式会社晃祐堂を訪ねました。

お話をうかがったのは・・・

株式会社晃祐堂 代表取締役社長 植松藤盛さん
株式会社晃祐堂 営業係長 林宏至さん

株式会社晃祐堂

「筆の里・熊野町」こと広島県安芸郡熊野町で、書道筆や化粧筆を製造する熊野筆メーカー。熊野筆づくりの伝統技術を生かしたユニークなデザインの化粧筆は国内外からの注目を集めている。

「カワイイ」が生まれたきっかけは、機能性の追求と熊野筆の伝統の技術

ハート型の化粧筆が生まれたワケ

K子熊野町で製造されたものだけが、「熊野筆」というブランドを使用できるんですよね。熊野筆の製造会社はどのぐらいあるのですか?

林さん100社ほどです。問屋や職人、軸を作る会社など、それぞれ工程ごとに専門化していて、町内で分業しているんです。

K子そうやって町全体で熊野筆を作っているんですね。

植松さんこの辺りは盆地で、昔からあまり産業が発展しなかったようなんですね。江戸時代に和歌山の方へ出稼ぎに行った人が、そこで仕入れた筆を行商しながら、筆づくりの技術も学んで帰ってきたことをきっかけに、筆づくりが栄えたそうです。

K子もともとは書道筆を製造されていたんですよね。熊野町で化粧筆が製造され始めたのはいつ頃なんですか?

植松さん30年、40年くらい前ですね。

K子そんなに前からなんですね。各社が化粧筆を製造されていますが、晃祐堂の化粧筆はデザインが特徴的です。単なるメイクをする道具としてだけでなく、洗面空間に置いてあるだけでワクワクするようなかわいらしさがあります。

林さん洗顔やお化粧は女性にとって毎日のことですからね。ちょっとでも朝の気分が上がるような商品をと心掛けています。

K子ハート型やフラワー型の化粧筆など、こうしたデザインの化粧筆が生まれたきっかけはなんだったんですか?

林さんもともとはハート型の化粧筆を作ろうと思っていたわけではなくて、洗顔ブラシを作ろうと思っていたんです。でも、思い通りに泡が立たなかった。そこで、空気を含みやすい形にしたらどうだろうと、毛の部分の真ん中にくぼみをつくってみたんです。
そうしたら、思い通りのきめ細やかな泡立ちが得られた。「ハート型に見えるよね」という声が挙って、ハート型になるように整えていったんです。

植松さん機能を求めて生まれた形だったんです。1本の筆で2本分の泡が立てられるようにしようと思ったんですよ。だからハート型に。最初はおしり型にも見えました(笑)。ハートと言えばピンクだろうと色も付けて、今の形になるまで2年ぐらい掛かりました。

林さん毛を切って形を作っていると思われる方が多いのですが、毛を切るのではなく、毛本来の毛先を使ってこの形を作っています。毛先を残して形を作る技術は、熊野筆の特長でもあります。なので、やわらかく滑らかな使い心地になるんです。そうやってクオリティには徹底してこだわったことで、見た目だけでなく、使い心地も熊野筆として申し分ないと、周囲に評価を頂けるようになりました。

毎日のメイクタイムを楽しくするデザイン

K子ハート型以外にもいろいろな形の化粧筆がありますが、それらのデザインは?

林さん社長の植松が考えるんです。実は植松は書道筆の職人でもあるんですよ。

植松さんハート型の化粧筆をピンク色にしようと思ったのも、書道筆には毛を染色する加工技術があって、そこからの発想でした。それまでは色の付いた化粧筆なんて世間にありませんでしたから。今では香りをつけた化粧筆も出していますよ。

K子特産品の「広島レモン」とコラボレーションしたチークブラシですね。

植松さん猫の肉球の形をした「にゃんこブラシ」は、毛先部分にいくつもの山があるので、空気が入って泡立ちがいいです。フラワーシリーズには「バラ型パウダー」という商品もあります。そのほか、ほほの窪みにフィットさせたり、チークを乗せやすいようにしたり、さまざまな形状のものがあります。欧米の化粧ブラシの作り方では、こういう形はできない。

K子熊野筆の技術だからこそできるんですね。

植松さんあちらは二次元のデザインですが、こっちは三次元デザインです。

K子三次元、かっこいい(笑)。技術に裏打ちされているデザインなんですね。

植松さん海外製のブラシとは作る時の工程数が全然違いますからね。こちらは化粧筆で30工程ほど、書道筆だと70工程くらいあります。

K子「くまモン」や「ドコモダケ」のブラシも展開されていますね。

植松さん「くまモンパウダーブラシ」は植毛の技術を使っています。書道筆も、植毛に近い作り方をするんですよ。手間が掛かるから、一日に5本しか作れません。

K子この「くまモンパウダーブラシ」が取材に来たいと思ったきっかけだったんです。

植松さんこのブラシ、使っていくと顔が変わるんですよ。毛の動きで、泣いたり笑ったり。

K子えっ! 本当ですね、ブラシを触ったらちょっと情けない顔になりました(笑)。その日の気分で表情が変わるんですね。

K子女性好みのかわいらしい商品ばかりなので、女性がデザインしているものだと思っていましたが、植松さんの閃きから生まれたものなんですね。

植松さん閃きというより、イメージしたものが形にできるかどうかがわかるんです。

林さんただ何か新しい形を作ろうと考えているわけではなくて、根本的には女性に楽しくメイクをしてほしいという気持ちから。なるべく多くの女性に使ってもらいたいから、価格も熊野筆にしては低めに設定しているんです。

植松さん今、広島県の観光課と一緒に、工場の見学ツアーを企画しているんです。工場で実際に化粧筆を作って、持ち帰り頂けるツアーです。持ち手の部分に名前も入れられるんですよ。2015年の3月からスタートする予定です。

K子自分で化粧筆を作れるって、楽しそうです。

アンケートは最後のページにございます

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