リフレッシュのための多彩な仕掛け

洗面所から間仕切りガラス越しに見たところ。トップライトからさんさんと陽光が降り注ぐ。

コンセプト

真っ白な空間の中心に据えた、大きな円形浴槽。トップライトから明るい陽光が降り注ぐさまはさながらリゾートのようだが、ここはれっきとした都下のオフィス併用住宅。建主は曲線を生かした有機的なデザインが持ち味のプロダクトデザイナー、澄川伸一さんで、実はこのバスタブも自身が10年前に手がけたもの。「左右対称のものと2パターンを試作しましたが、非対称のほうが水の流れが自然でよかったんです」と澄川さんは語る。確かに、縁のフォルムは波打ち際の砂浜を思わせ、水量によってさまざまな表情を見せてくれそうだ。
浴室の広さは約3畳。しかも、法律上の規制により、北側の斜め天井は低いところで1.6m。決して広いとはいえないスペースだが、建築家の紫冨田啓一さんは天窓と二つの窓を効果的に配することで、空や隣家の緑が見える開放的なバスルームを実現している。

北側斜線がかかった約3畳大のバスルーム。2つの窓と天窓を配し、左手の洗面所との間もガラスで仕切ることで圧迫感をなくした。

3層から成る建物は、地下が仕事場で、地上2階が4人家族のための住まい。住まいは白を基調にした明るいスペースで、特に広いバルコニーと連続する2階のLDKは何とも開放的。春には向かいの学校の桜並木が存分に観賞できるという。一方、地階の仕事場は趣の異なる、落ち着けるスペース。双方の玄関は別々だが、注目は1階の寝室と地下の仕事場をダイレクトにつなぐ通称「忍者階段」。寝ていてアイデアが浮かんだら、すぐ地下に直行できるようにと設けたものだそうだ。
建主がデザイナーだけに、この他にも床を掘り下げたピット状のゴロ寝スペースなど、見どころが満載。職と住は近いほど効率がいいがオンとオフは切り替えたい、仕事を離れて気軽にリフレッシュできる場を多彩に設けたい、という住み手の思いが随所に生かされている。一人でも親子でも楽しめるバスルームもまた、その一例といえるだろう。

ロフトからの見下ろし。外には広いバルコニーが続く。右下は床の一部を掘り込んだピット。ソファを置きたくなかったという澄川さんが考案。まるでバスタブのようだ。

写真一覧

リビングからキッチン方向を見る。ロフトは天窓付き。手前はゴロ寝用のピット。

地下にある仕事場。ストレス解消のために吊したという赤いサンドバッグが目を引く。右手に見えるのは、寝室に通じる通称「忍者階段」。

仕事場の北側にあるドライエリア。鉄棒も体を動かすのが好きな澄川さんが気分転換のために設置。

寝室から見た階段。木の椅子も澄川さんのデザイン。

DATA

澄川邸

床面積

189.77m²

建築概要

所在地 東京都小金井市
主要用途 事務所併用住宅
設計 紫冨田啓一 / リニアデザイン建築事務所
施工 本間建設

主なTOTO設備

浴槽 PVV1620K
シャワー水栓 TMJ40W3R