光のストーリーをつくる

左手のガラスと白い壁の間の細長いスペースに上から降り注いだ光が、全体を明るく照らし出す。奥は写真左の外用シャワーコーナー。中央のバーは実は手すり。浴槽も立ち上がり部分を設けるなど、バリアフリーへの配慮は万全。

コンセプト

プレーンな白い壁の内側に配された、ひと回り小さな3面ガラス張りのバスルーム。二つの箱の間に設けた細長いスペースに、上部から太陽光が射し込むと、ふんわりとやわらかな光に包まれた白い空間が出現する。
ここは海岸に近い敷地に建つセカンドハウスの浴室。ふだん多忙な暮らしを営む多世帯から成る家族が、日常から離れた時間を過ごすための別天地であり、設計者の二瓶渉さんいわく、「みんなの家」だそうだ。
風光明媚な土地ではあるが、周囲には家々が建て込み、建物の3階まで上がらないと海は望めない。3階の特等席には皆が集うリビング、1階にプライベートゾーンを配し、1階の安息を守る緩衝地帯である2階に浴室と客室を設けた。このため、浴室は海とは切り離された閉じた空間になったが、明るく広々したスペースには、年代の異なるメンバーが思い思いに楽しめる配慮が随所に見られ、ここもまた「みんなの場」であることがうかがえる。

浴室越しに洗面所を見たところ。

この家の設計に当たり、二瓶さんはまず「光のストーリー」を考えたという。光にいざなわれ、ほの暗い船底から上へ上へと上っていくと、海が見える明るい甲板に到達し、さらに階段を上って見晴らしのよい操舵室に至る──そんな「海に来たときの高揚感とリンクするような、光の景色をつくりたかった」と二瓶さんは語る。確かに、浴室だけでなく、ホール、廊下、ゲスト用の和室など、随所に吹き抜けやトップライトや高窓が巧みに設けられており、上に行くほど光量が増すばかりか、光の入り方によって時々刻々と空間の印象が変わっていく。
1階が鉄筋コンクリート造、2~3階が鉄骨造、さらに2階天井に表れた屋根を支える部材は木製といった具合に、上へ行くほど軽い材料を用いた構成も、こうしたストーリーとリンクしている。同じ白に統一しながらも多様な材料を組み合わせた各フロアは趣も異なり、それぞれに居心地のよいスペースが生まれている。

2階ホール。階段に面した壁には船の帆を思わせる白い布が掛けられ、上からの光をやわらかく拡散している。正面外にあるテラスの左手は外シャワーコーナーに通じている。

写真一覧

外階段と直結した2階テラスの突き当たりにある半戸外のシャワーコーナー。海から上がってそのまま直行できる。

3階のLDKに上がると初めて海が見える。左奥に一段上がったキッチンがある。左手前は屋上に通じるらせん階段。

玄関から両親の寝室を見る。正面の裏庭の緑が美しい。

らせん階段の上にある塔屋からルーフバルコニーを見たところ。外に出ると波音が聞こえるほど、海は近い。

北側外観。左手前のカーブした壁の内側に、2階テラスに通じる外階段がある。透けた目隠しの壁は白レンガ製。

DATA

光景(ひかりけい)の家

床面積

199.20m²

建築概要

所在地 神奈川県
主要用途 別荘
設計 二瓶渉 / アーキエア
構造設計 山内哲理 / ティ・アンド・エイ アソシエイツ
設備設計 山田浩幸 / ymo
施工 吉原健太 / 新都市建設(モダニスト)

主なTOTO設備

浴槽 PVK140BURF
シャワー水栓 TMJ40C3S, TMHG40CCR
洗面器 L700C
洗面水栓 TLHG31