都市の光や風景を読み取る

浴室と洗面所の間はガラスで仕切られ、正面のトイレの扉をあけると、窓からの光が浴室や洗面所にも届く。

コンセプト

住宅密集地の一角に建つ、彫りの深い表情の建物。大きな玄関扉を開けると、眼前に予想外の光景が待ち受けている。3層吹き抜けの玄関兼階段ホールに、手前から奥まで続く天窓から神々しい光が降り注いでいるのだ。
建築家のトッサーニさんはたとえ都市住宅であっても、光や風などの自然が身近に感じられ、なおかつプライバシーも守られた住まいにしたいと考えた。そこで、全体を床のレベルが少しずつずれた複雑なスキップフロアの構成にすることで、天井が高いLDKや主寝室と、コンパクトなその他の個室を効率よく配置。これなら、隣家とは窓の高さもずれ、見たい景色や光だけを巧みに取り込める。彫刻的な独特の外観はこうした複雑な内部構成の表れともいえる。
型枠の板目を写し取ったコンクリートの壁、分厚いオークの無垢材を張った床など、素材の質感を生かした仕上げも、この家の大きな特徴。空間の奥行きを増している。

天窓から光が降り注ぐ玄関ホール兼階段室。半階上がった左手が主寝室+バスルーム、さらに半階上がるとLDKがある。

主寝室に隣接したバスルームからも自然は身近に感じられる。浴室・洗面所・トイレがガラスの間仕切り壁や引き戸でゆるやかに連続しているため、時とともにあちこちから光が入って一日じゅう明るく、お湯に浸かりながら窓越しに植栽の緑を望むこともできる。
海外のホテルや高級リゾートでは、各ベッドルームに専用のバスルームが付いた「ensuite(オンスイート)」が常識であり、ここでもそれが求められたとトッサーニさんは語る。まだ就学前の子どもたちにも専用バスルームを確保し、4人家族の家に浴室が二つ、シャワールームが一つ、トイレが四つもある贅沢さ。限られた容積にこれだけの水まわりを設けるのは至難の業だが、設計の工夫によって見事に解決している。たとえば、主寝室では中央に配した浴室が、ベッドコーナーと洗面所をゆるやかに分けているため、通路やドアや間仕切り壁は不要。引き戸によって、各スペースの連続性と独立性も自在に使い分けられる。

寝室からパウダーコーナーを見る。型枠の木目を写し取ったRCの壁、板張りの床や壁、白い造作家具の対比が美しい。正面の壁の向こうが浴室。

写真一覧

バスタブの高さに揃えた窓から、植栽の緑が見下ろせる。浴槽は限られた広さでも納まりがよい扇形を選択。

最上階はリビング、ダイニング、キッチンが一体になったスペース。奥のサンルームは引き戸で仕切って子どもの遊び場として使える。

広いルーフバルコニーには、パーティ用のキッチンを設置。

1階の客室脇にあるゲスト用の水まわり。左奥はガラスで仕切ったシャワーブース。

LDK脇のゲスト用トイレ。窓が取れない場合は照明で陰影をつけ、水まわり機器をさながら彫刻のように浮かび上がらせるなど、演出にひと工夫凝らすのがトッサーニ流。

内部の複雑なフロア構成を彷彿とさせる、現代彫刻のような外観。開口部も周辺の家々との兼ね合いを計算して周到にあけている。

DATA

Tレジデンス

床面積

412.91m²

建築概要

所在地 東京都渋谷区
主要用途 専用住宅
設計 リカルド・トッサーニ /
リカルド トッサーニ アーキテクチャー
構造設計 ストラクチャード・エンヴァイロンメント
施工 アイガー産業

主なTOTO設備

浴槽 PVS1400J
バス水栓 TBC20
シャワー水栓 TMHG40JQR
洗面器 L620
洗面水栓 TLC31
便器 CES9784