海を眺め家族と過ごす時間

お湯に浸かると目の前に見えるのは、海と空のみ。季節や時間帯や天候によって、異なる景色が楽しめる。

コンセプト

建主はともに専門的な仕事に就く一方、3人の子育て中という多忙を極める夫妻。仕事場に近い自宅は不可欠だが、家から車で小一時間で行ける湘南にセカンドハウスがあれば、遠方に別荘を持たずとも、家族でゆったり過ごすひとときがつくれるのではないか。そんな一家の夢を形にしたのが、写真の週末住宅である。
敷地は急斜面の中腹にあるため、手前の家々が視界を遮ることもなく、海が存分に眺められるという絶好のロケーション。2階の南側にあるバスルームからもご覧のとおり、切り取った一幅の絵のように、青い空ときらめく海がつくり出す見事な水平線が見える。
バスタブに体を沈めると、手前の家々の屋根も視界から消え去り、刻々と表情を変える風景は見飽きることがない。ゆったりお湯に浸かりたいという建主の希望に沿って選ばれた浴槽は、親子など複数で入っても十分な大きさだろう。

リビング南側のデッキから江ノ島を望む。上部に見えるのは夏の日射を遮るルーバー状の庇で、角度調節も可能。

設計者の池田勝彦さんと井手勤さんは共同で事務所を設立して満20年を迎えたというユニット。設計は担当制ではなく、あくまでも2人で互いの個性を生かし、補完しながら進めていくという。ここでは、海に向かって扇形に開いた敷地の形状をいかに生かすかが最大の課題。廊下をなくし、各部屋を放射状にダイレクトにつなぐことによって、家のどこからも海が見えるプランを生み出した。海に面した2面の開口部を囲むように、ぐるりと連続するデッキを設けた2階のリビングからの眺めは圧巻。江ノ島がすぐそこに見える。
各部屋の出入口はすべて引き戸で、開け放つと2階はもちろん、1階の個室群もすべて一体になる。リビングでは5人並んで海を眺めたりテレビが見られるようにと、横長の大型ソファを選んだという建主夫妻。家じゅうがつながってワンルームになるつくりにも、ここで家族揃って凝縮した団欒のひとときを過ごしたいという夫妻の思いが感じられる。

リビングの2面の開口部の外に、弧を描いたデッキが連続する。江ノ島が驚くほど近くに見える。

写真一覧

夕方近くなると、だんだん右手の空が赤く染まってくる。まるでバスタブと海の水面がつながっているようだ。

洗面所から見たバスルーム。浴室は奥に長く、洗い場の手前と奥をガラス扉で仕切ると、ミストサウナルームに早変わり。天井板はヒバ。

ホールから浴室とリビングダイニングを見たところ。

玄関から見た1階全景。家族が集うラウンジを中心に、和室、主寝室、子ども部屋がダイレクトにつながる。

建主が好きなミコノス島をイメージしたというまっ白な外観。突き出した2階のパティオが玄関の庇を兼ねている。

DATA

七里ガ浜の家

床面積

167.63m²

建築概要

所在地 神奈川県鎌倉市
主要用途 専用住宅
設計 池田勝彦 + 井手勤 /
イオンアーキテクツ
施工 大同工業

主なTOTO設備

浴槽 PVZ1830LJK
シャワー水栓 TMNW40CC1
便器 CES9683RJ