自然に寄り添うゲストハウス

南東にある日当たりのよい浴室。室内の床と壁、デッキを囲む壁とも、すべて厳選した天然石貼り。

コンセプト

洗面所と一体になった広い浴室の床と壁はすべて石貼りで、さらにデッキに面した2面の折れ戸を全開すると、目の前に出現するのは微妙な色合いの石の壁。さまざまな石の表情を眺めながら、大きな浴槽にゆったりと浸かって、外からの視線を気にすることなく露天風呂感覚が味わえる──これが郊外に建つ住宅の浴室というから、なんとも贅沢だ。
聞けば、建主も設計者の廣瀬大祐さんも大の風呂好き。「外」を身近に感じながら入浴したいが、家族全員が使うからにはプライバシーの確保も不可欠であり、この相反する条件を両立させるために考えたのが、「単なる目隠しではなく、見て楽しめる壁」だったと廣瀬さんは振り返る。石材選びは建主と建築家の双方が納得するまで、時間をかけて厳選したとのこと。建主によれば、青空のもと、今日一日の計画を練りながら入る朝風呂も、ライトアップされた壁を眺めながら入る夜のお風呂も、いずれも快適だという。

浴室から洗面所方向を見る。右奥には、独立したミストサウナルームも完備。

住宅街の中でもひときわ大きな邸宅は、実は世界各国でビジネスを展開する建主の仕事場と、海外の仕事相手を招くゲストハウスとしての機能も兼ねている。外国でその土地ならではのもてなしを受けた経験から、自分がもてなすならどんな場がふさわしいかを考えた末、行き着いたのは「洋」の中にも「和」が感じられ、シンプルモダンな中にも自然が感じられる空間。建主のそうした思いから廣瀬さんがイメージしたのは、現代にふさわしい「寝殿造り」だった。広い庭を包み込むように両翼を設けることで、公私の動線がうまく分けられ、どのスペースからも庭の木々や水盤を通じて自然に親しむことができる。
海外のゲスト向けに、伝統的な和だけではなく、新しい日本の姿も披露したいと考えた建主は太陽光発電や雨水利用など、環境配慮の先進技術も積極的に導入しており、保温性の高い浴槽を採用したのもその一端。広い意味で、自然に寄り添う建物が実現している。

浴室と連続した広い洗面所。一体感を出すため、内装は浴室と同じ石貼りに。鏡のフレームが照明を兼ねている。

写真一覧

夜になると、石の壁がライトアップされ、バスルームはまた違った趣を醸し出す。

庭を囲んで、左手にリビングとダイニング、正面にキッチン、その右に洗面所と浴室が続き、内と外をL 字形の広いテラスがつないでいる。右奥は水盤とバーベキュー用の炉。

ダイニング脇の洗面所。洗面ボウルがほのかに光る。

土壁と竹を組み合わせた壁が目を引く、和室脇のトイレ。硯のような洗面台も和のしつらえに馴染んでいる。

キッチンカウンターにも照明が仕込まれている。

リビングからダイニングを見る。格子状の印象的な間仕切り家具は東京の特注家具メーカーの技術を生かしたもの。

ゲストの宿泊用にも使える和室。雪見障子を開けると、外には枯山水の和庭が広がる。

DATA

Squared Cloud

床面積

450.34m²

建築概要

所在地 福島県
主要用途 事務所併用住宅
設計 廣瀬大祐 /
アーキコンプレックス
施工 常磐開発

主なTOTO設備

浴槽 PVY150BSLF
バス水栓 TEB1RX
洗面器 L520, MR730MA
洗面水栓 TLXS31A, TLXM1A1X, TEN13AL
便器 CES9683R
手洗器 MLDA
キッチン CRASSO(アイランドキッチン前のカウンターは造作)