視線を通して島の自然を取り込む

海に面した浴室の北側が全面開口であるだけでなく、間仕切り壁も全面ガラスなので、手前の寝室からも海や緑が見通せる。

コンセプト

この別荘が建つ古宇利島は、沖縄北部にある小さな島。離島といっても沖縄本島とは橋でつながっているが、まださほど観光地化されておらず、珊瑚礁ならではのエメラルドグリーンの海、サトウキビ畑のあいまに点在する民家など、素朴な離島の風景が楽しめる。
敷地は島の中ほどの高台にあり、ぐるりと自然が見渡せる絶好のスポット。マリンスポーツ好きでサックスもたしなむという東京在住の建主は、ここに家族だけでなく趣味の仲間が大勢集える場をつくろうと考え、知人のインテリアデザイナー、吉田幹さんに設計を依頼。吉田さんはサポート役として建築家の畑山慶さんに声をかけ、共同で設計した。「あちこちに視線が突き抜ける空間をつくりたかった」という吉田さんの言葉どおり、北側の全面開口に面した3階の浴室もご覧の開放感。手前の間仕切り壁もすべてガラスなので、南側の寝室からも、東シナ海の青い海原や亜熱帯らしいワイルドな緑が見通せる。

浴室の外にはデッキが続き、ベンチ代わりのデイベッドが置かれている。

建築家とインテリアデザイナーの共同設計というと、建築家が建築設計を行った後に、デザイナーが内装を手がけるという分業が一般的だが、ここではまず吉田さんが建主と打ち合わせを重ね、いくつかのシーンを想定して、それにふさわしい空間を考えるところからスタートしたという。食べることが大好きな建主の要望に沿って、リビングやダイニングのみならず、多彩な飲食の場を用意。1階のピロティにはバーベキューや串焼きができるコーナー、2階のキッチン前のデッキには飲食用のカウンター、3階にも風呂上がりの一杯が楽しめるデッキを設けている。
風土も習慣も大きく異なる沖縄の職人たちとのやりとりは大変だったと振り返る二人だが、そうした彼らの腕を生かし、地元の材料をほどよくミックスさせた建物には、デザイナー住宅特有のモダンさとはひと味違うおおらかさが備わっており、土地に馴染んでいる。それもまた、この家の魅力に違いない。

闇に浮かび上がるガラス張りのバスルーム。手前は寝室。

写真一覧

1階のピロティからも海が見通せる。ピロティはパーティや楽器の練習など、多目的なスペースとして活用。左手はバーベキューの炉を備えたカウンター、正面奥は串焼き用の囲炉裏を仕込んだテーブル。

2層分が吹き抜けた大きなリビング。吹き抜けも視線を通すための装置で、正面の北側だけでなく、手前の南側も開口部なので、中庭や玄関に通じる外階段からも吹き抜け越しに北の空が見通せる。

360度の島の眺望が満喫できる屋上。

沖縄特有のコンクリートの「花ブロック」、赤瓦、琉球石灰岩の壁など、地元の材料を活用した建物は、周辺の環境に調和している。

DATA

K-VILLA

床面積

398.95m²

建築概要

所在地 沖縄県国頭郡今帰仁村古宇利
主要用途 別荘
設計 (外装、ランドスケープデザイン、インテリアデザイン)吉田幹 /
SO,U INC (建築設計デザイン、コンストラクションM)畑山 慶 /
一級建築士事務所アンドロッジ
施工 沖縄イゲトー

主なTOTO設備

浴槽 PVY160AZL1
バス水栓 TBH20
シャワーバー TMWB95EC
混合栓 TMH20-1A