雄大な景色を最大限に生かす

2面の開口部を開け放ち、大きなバスタブにゆったり浸かれば、目の前に雄大な景色が広がり、気分は露天風呂。

コンセプト

床に埋め込まれた大きなバスタブに浸かると、眼前に広がる雄大な景色。手つかずの自然が残る原生林の間から相模湾の輝く水面がかいま見え、さらにその向こうには伊豆半島の裾野に広がる熱海や湯河原の街も見える。
ここは真鶴半島の先端近くに建つ別荘。建主は平日、横浜の自宅と東京のオフィスを往復する多忙な毎日を送っており、週末に家族でゆったり過ごしたり、仕事上のゲストも招ける場を求めた。設計に当たった下平万里夫さんは自ら湘南に自宅兼仕事場を構え、海を望む開放的なバスルームなど、ロケーションを生かした家づくりで知られる建築家。ここでもその手腕を十二分に発揮している。
浴室の設計について、下平さんはこう語る。「お風呂は単に身体を洗う場所ではなく、本を読んだりデッキで涼んだりと、くつろげる第2 のリビングとして考えています」

2階のリビング前のデッキから海を望む。相模湾越しに、熱海や湯河原の街も見える。

斜面から海に突き出した細長い建物は、2枚の屋根と、少し角度をずらした2枚のデッキが印象的。浴室と連続する下のデッキは釣魚料理やバーベキューを楽しむ「動」のスペース、上のデッキは眺望を楽しむ「静」のスペースとして活躍する。下平さんは「最初に敷地を見たとき、場所の力の強さを感じ、それに負けない建物にしたいと思いました」と振り返る。
玄関から幅の狭い階段を上って2階のLDKに到達すると、目の前に現れるのはきらめく海面。南と西の2 面が全面開口なので、特に夕景は、えもいわれぬ美しさだ。眺めを最大限に生かしたプランもさることながら、板張りの天井や無垢のフローリングなど、選び抜かれた本物の内装材が空間をより豊かにしている点も見逃せない。
また、1階のバスルームも天井は板張り、壁は陰影が美しいタイル貼りで、第2のリビングにふさわしい上質感を醸し出している。

斜面から海に向かって突き出したような外観。水平に延びる2枚の屋根と2枚のデッキが特徴的。上下階のデッキは少し角度をずらして重なっているため、夏はほどよく日射しを遮り、冬は暖かな日だまりを生み出す。

写真一覧

夕闇に伊豆半島の山並みが映える。バスルームの外には広いデッキが続く。バスタブは水中照明付き。

2階LDK。ダイニングからも抜群の眺望がよく見通せるようにと、奥のリビングより床を400mm高くしている。

日が暮れると壁面のタイルの凹凸が照明によって浮かび上がり、昼とは異なる表情を見せる。

洗面所から浴室を見通す。天井材は湿気に強く丈夫な南洋材。壁面に間接照明が仕込まれている。

DATA

真鶴の別荘

床面積

434.40m²

建築概要

所在地 神奈川県足柄下郡真鶴町
主要用途 別荘
設計 下平万里夫 吉野智恵美 /
MARIO DEL MARE 一級建築士事務所
構造設計 山内哲理 /
ティ・アンド・エイ アソシエイツ
施工 石綿建設

主なTOTO設備

浴槽 PVZ1810RJK
トイレ洗面器 L711