「壇」がゆるく仕切った水まわり

ひな壇のいちばん下から森を見る。テラスと手前のバスタブ周りの床は同じウリン材

コンセプト

軽井沢に建つこの週末住宅は、外から見ても中を覗いても、独特の形をしている。床は傾斜地に沿って三つの大きなひな壇状になっており、屋根は逆に斜面を下るにつれて高くなっている(断面図参照)。側面から見ると、まるで奥の森に向かって大きく口を開けた鯨のようだ。そして、その南側の大開口に面し、かつ三つのうち最も下にある壇には、バスタブが埋め込まれている。シャワーブースは別にあるので洗い場はない。テラスとの間のガラス引き戸を開け放つと内と外の境目はなくなり、まさに露天風呂感覚のバスタイムが楽しめる。浴槽周りの床はテラスと同材の板張りにし、サッシの下枠も見えないように床下に納め、床から出っ張った蛇口などの設備を最小限にするなど、設計上のディテールが内外の一体感をいっそう高めている。

谷側から見た南側外観。巨大なガラス引き戸は3枚引きで、1枚の大きさは2×4m

土地は短冊状に分割した別荘地で、南北に細長い。奥行き140m超という自ら森の一部のような豊かさは稀有だが、いずれ両隣にも建物が建つ可能性が高い。ならば東西は閉じ、南に大きく開き、床はなるべく斜面の下まで延ばして森の風景を最大限に取り込もう──設計に当たったTNAの両氏はそう考えた。いわば、敷地を見据えた結果、生まれた形といえるだろう。こうして生まれた「壇」の高低差はそれぞれ約900mm前後。このレベル差のおかげでワンルームでありながら、バスタブに浸かっていてもリビングからの視線は気にならないし、奥のリビングからも視界を遮るものがなく、眺めが満喫できる。また、床下には表に出したくない給湯リモコンやポンプ警報装置など、水まわりに必要な設備がすべて納まった。「壇」の懐の深さが、この別荘の魅力を増している。

ダイニングから浴槽を埋め込んだサンルームとテラスを見下ろしたところ

写真一覧

サンルームからの見返し。サンルームとダイニング、ダイニングとリビングのレベル差はそれぞれ860mm、940mm

ひな壇のいちばん上にあるリビングから南の開口部を見る。中段はダイニングキッチン

DATA

壇の家

床面積

128.51m²

建築概要

所在地 長野県北佐久郡
主要用途 週末住宅
設計 武井誠 + 鍋島千恵 / TNA
TNA施工 新津組

主なTOTO設備

浴槽 PVV1420*JK#369