森に開いたバスルーム

入浴と森林浴が同時に楽しめる贅沢なスペース。黒い石貼りの床の上に浮かぶ白い浴槽は数人で入れる大きさ。右手は水風呂

コンセプト

森の中に忽然と現れた広い浴場──そんなイメージの開放感あふれるバスルームがあるのが、写真の別荘。円形のバスタブを囲むようにL字形に設けた開口部の木製ガラス戸は、コーナーから両側に引き分けることができ、開け放つと気分は露天風呂だ。
別荘を建てるにあたり建主が希望したのは、大勢で集まって楽しめる広いスペースと、複数の家族が過ごせる独立性の高いスペースがあり、なおかつ、たとえ一家族だけで訪れたとしても、がらんとした寂しさを感じない空間にしたいことだった。
そこから設計者の若松均氏が発想したのは、小さなツリーハウスが寄り集まったようなつくり。地面から離れた樹上の小屋のように、自然に近く、こぢんまりした部屋を連結させることで、一つの大きな家の中に親密で居心地のよい場所が見つけられるようにしたという。

乾燥室から見た浴室。L字形に開いた右奥の開口部は建具を両側に引き分けることができる。左奥にサウナとシャワー室がある

外から見ると、柱が林立するピロティの上に各部屋が浮かぶさまは、確かにツリーハウスの集合体のようだ。間取りは三つの「寝室+リビング」が基本だが、部屋ごとに天井の形や素材、窓の開け方が異なる。間仕切り壁の多くは引き戸で、開けると部屋どうしはつながってワンルームになる。
敷地は傾斜地で、道路に面した玄関側が最も高いため、1階から入って奥のテラスに出ると、そこはいつのまにか2階以上の高さがある眺めのよい場所になっている。 一方、テラスの下にあるバスルームは斜面の裾にあるので、地下といっても目の前に地続きで森が広がっており、木々の幹が見える風景は1階とはまた違う趣がある。
バスルームはメインの浴槽以外に、サウナ、水風呂、シャワールームも完備。1階の各部屋同様、人数や気分に応じて楽しみ方が選べる点も魅力の一つに違いない。

斜面の下から見た外観。周囲はカラマツやミズナラの林。1階を地面から持ち上げ、その下に駐車場や水まわりを納めた

写真一覧

部屋ごとに天井のデザインが異なる。梁や軒先の高さを1950mmと低めに抑えたことで、各部屋にほどよい独立性が生まれた

洗面所からも木々がよく見える。複数で同時に使えるよう、三つの洗面ボールを設置

斜面の上にある入口

DATA

森のツリーハウス

床面積

308.8m²

建築概要

所在地 長野県北佐久郡
主要用途 保養所
設計 若松均 / 若松均建築設計事務所
施工 新津組

主なTOTO設備

浴槽 PVZ1640*JK#369N