川岸の風景を取り込む

地面から浮いた縁側には、外から直接アプローチできる階段が設けられている

コンセプト

視線の先には、滔々と流れる川。その向こうには青々とした山々が連なる。床に埋め込んだ浴槽から、まるで切り取られた一幅の風景画のような景色が眺められるのが、写真の別荘だ。
河川敷に面した敷地ゆえのこの雄大な遠景と、こちら側の室内空間をつなぎたいと考えた設計者の二瓶渉氏は、地面から少し浮かせた大きな「床(とこ)」の上に各部屋を配した建物を考案。内から外を見ると、手前の土手は地面より一段高くなった広い縁側に遮られて視界から消え去り、浴室ばかりか、家じゅうから見たい景色だけを遠望できる。
また、主たる構造は木造だが、4カ所に突き出すように立てた鉄筋コンクリートの壁柱で強度をもたせたおかげで、川側を全面開口とすることが可能になった。

寝室から一段上がった浴室を見る。ガラス折れ戸を開放すると、室内は一気に「外」になる。右手前の大谷石を敷いた部分は洗い場

川に面した開口部はすべて建具を引き込むことができ、その外側をぐるりと縁側が囲んでおり、開け放つと内と外が完全に一体になる。浴室の開口部は2枚のガラス折れ戸だが、開けた際に室内から建具が一切視界に入らないように気を配ったと二瓶氏は語る。自然のただなかにいるような解放感が味わえるこの空間で、建主はバスタブに浸かりながら、シャンパンを楽しむこともあるという。
ちなみに、この建物は都市で暮らす建主のセカンドハウスとして用いられるだけでなく、自慢のアート・コレクションを眺めつつ仲間と酒を酌み交わしたり、ときにはギャラリーとして開放して大勢の訪問者を招き入れることも想定してつくられた。全体がゆるやかに連続した見晴らしのよい「床」は、公私どちらの場としても使い分けられる自由さと寛容さを秘めている。

写真一覧

室内のどこからも川と対岸の山々が存分に眺められる

川に面した西側外観。床は地面から1250mm上がっている

縁側から室内を見たところ。白い間仕切り壁で囲った部分はキッチン。右手に見えるのは水平力を負担するRCの壁柱

縁側から室内を見たところ。白い間仕切り壁で囲った部分はキッチン。右手に見えるのは水平力を負担するRCの壁柱

DATA

床の家

床面積

125.07m²

建築概要

所在地 栃木県
主要用途 週末住宅
設計(建築) 二瓶渉 / アーキエア
施工 成常建設

主なTOTO設備

浴槽 PVI1420*JK#369