多様な海を体感できる装置

全開になる広い窓からは海が一望できる。バスタブは海が美しく切り取られるよう、室内側の床より高く上げて埋め込まれた

コンセプト

手を伸ばせば届きそうなほど、海を間近に感じる開放的なバスルームである。ここはクルージングを楽しんだり、仲間と集うための別荘で、風呂好きの オーナーのために、バスルームは海にいちばん近いところにつくられた。設計を手がけた石原祥行氏は、海の青が映える白の空間に、必要なものだけをストイッ クにデザインしたと語る。
光るバスタブは、高揚感を高める階段の先に舞台のようにしつらえられた。少し高くなった床は腰掛けられ、ゆったりと長時間くつろげる居場所ともな る。壁一面の大きな開口部は全開でき、昼間は空と海と一体になった入浴が楽しめる。夜は、幻想的なバスタブの光だけに包まれながら浴槽に浸るのもいい。

静かな内湾に面した広い敷地に建つ建物。全面開口は海とは逆側に向けて配置されている

細長い平屋の広い間口を海側ではなく敷地内に向けているのは、この建物が高低差のある広い敷地に数棟建てられるうちの一棟として設計されているから だ。今後、岩場の近くや海を見下ろす丘の上など、それぞれの場所の特性を生かした建物が建てられる予定で、海との関わり方も各棟で変えている。この棟はあえて海との距離をとり、建築を通して海を感じるという意図に沿って配置した。部屋を横に並べて壁をくり抜き、その連続する開口部を通して海を見る。いくつ かのフレームを通して切り取られた海は、遙か彼方に感じられ、バスルームで見る海とは別の、どこか遠い海のようだ。
内部と同じ面積を取った広いテラスは、外のリビングといった趣。コンクリートのバーカウンターで魚をさばくこともできる。 この別荘はまさに、海をさまざまに体感できる装置である。

夕暮れ、周囲に何も光がない中、白い光が幻想的に浮かび上がる

写真一覧

部屋を横に並べた細長い建物は、モダンで軽やかなプロポーション

夏の日差しが強いので、テラス全体に屋根をかけ、強風対策としてトップライトを設けている。奥はコンクリートのバーカウンター

リビングからダイニング、キッチン、寝室、バスルームを通して海を見る。まるで一枚の風景画のよう

バスルーム側外観。外壁はモルタル塗りの壁の上に空気層をとって杉板を張っている

キッチンからゲストルームを見る。全長約24メートルという間口。天井はテラスへと伸びる梁が連続する

DATA

Villa・G・Makai H棟

床面積

142.17m²

建築概要

所在地 神奈川県横須賀市長井
主要用途 保養所
設計 石原祥行 / 石原設計
施工 練武建設

主なTOTO設備

浴槽 PVK180AC#CR1
バス水栓 TBH20
シャワー水栓 TMX95A
便器 CES9573R
洗面器 LS910CR
洗面水栓 TLC31