バスタブからイメージした日本らしさ

浮かび上がる白い光と間接照明の温かみのある光、バスタブのやわらかなフォルムと障子のシャープなラインが美しく対比する(209号室)

コンセプト

窓には障子を思わせるアルミ製の建具。床・壁は、石の中でも日本的なやわらかさを感じさせる十和田石。そこに半透明の素材を通して行灯のように発光するバスタブが横たわり、間接照明が天井に温かい光を放つ。
ここは2010年春に新装オープンしたリゾートホテル「竹泉荘 Mt.Zao Onsen Resort & Spa」の一室。全館のインテリアデザインを手がけた橋本夕紀夫氏は、このバスタブを初めて見たとき、日本の自然観を強く感じたと振り返る。ニュートラルだが未来的、有機的なやわらかさを持つフォルムや質感に触発され、そこからイメージを膨らませて客室全体をデザインしたという。
バスタブのアールに障子のシャープなライン、白い光と赤い光。美しいコントラストを描き出す緊張感の中にも、日本的な自然を感じさせ、人をやさしく包み込む寛ぎの空間である。

凜とした和のインテリア。十和田石の素朴な質感に、バスタブの透明感ある白が映える(209号室)

同ホテルの前身は400年の歴史を持つ遠刈田温泉の中でも、蔵王国定公園内にある広大な敷地を有する温泉旅館・竹泉荘。リノベーションに当たり、橋本氏はあくまで日本らしい空間を目指したと語る。海外からの集客も視野に入れると、インターナショナルであるためにはむしろ日本らしさを表現すべきであり、温泉から日本文化を発信していきたいと考えたからである。
そこで、大浴場はもちろん、各室の内風呂まで浴室の充実を図った。浴槽はバリエーションも豊富で、日本らしさの表現として、前ページの光るバスタブを採用しただけでなく、漆、檜、焼き物の浴槽もオリジナルでデザインしている。室内のレイウアトも「風呂」を見せるデザインに徹したという。かくして、伝統を誇る老舗温泉旅館は、ホスピタリティあふれる新たなリゾートホテルとして生まれ変わった。

バスルーム全景。緊張感の中にも十和田石が醸し出すやわらかさが感じられる(208号室)

写真一覧

バスルームまで連続する障子が圧巻。寝室との仕切りをガラスにして、より広がりを出している(209号室)

ベッドの高さを低く抑えて布団のような雰囲気に。間接照明の温かい光が安らぎを与える(209号室)

日本を象徴するインパクトのあるオブジェとして、囲炉裏の上に釣り鐘が吊られたロビー

木々の合間を縫うように、3つの浴槽が設けられた女性用露天風呂。約2万坪という広大な敷地には、蔵王山麓の手つかずの自然が残る

洗面には、内蔵のLEDで光の輪のように外周が浮かび上がる洗面ボールを採用。潔いデザインと橋本氏

DATA

竹泉荘 Mt.ZaoOnsen Resort&Spa 208・209号室

床面積

208号室47.00m²・209号室53.00m²

建築概要

所在地 宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉字上ノ原88-11
TEL 0224-34-1188
URL http://www.mtzaoresort.com/
主要用途 ホテル(客室数32)
建築主 オズベルトホテルズ株式会社
設計(建築) 阿部仁史アトリエ
設計(インテリアデザイン) 橋本夕紀夫/橋本夕紀夫デザインスタジオ
施工 鹿島建設東北支店

主なTOTO設備

浴槽 PVK180AC#CR1
バス水栓 TBX20A
シャワー水栓 TBXS41, TBXS1, TBXS19
ボール一体カウンター MLDE PA6
自動水栓 アクアオートTEN12LX