GREEN STORY エコの裏には物語がある 進化を続ける、TOTOの節水・エコ商品。誕生までのストーリーを、開発担当者のインタビューでご紹介します。

Vol.32

シャワーは、エコと快適のキー・デバイス。

僕らが世界に「コンフォートウエーブシャワー」を届けたい理由
<前半>

2017年春、TOTOから新たな吐水方式を搭載した「コンフォートウエーブシャワー」が登場しました。ラインアップは、手持ちで使うハンドシャワーと、天井に固定して設置するオーバーヘッドシャワーの2タイプ。エコと浴び心地を両立した画期的商品「エアインシャワー」がすっかり市場に定着した中、あえて新たなシャワーが生まれた背景とは。そして、開発者たちが目指すものとは――。最新シャワー開発の裏話を、前後半に分けてお届けします。

△と〇による神業! 独自の流体制御技術

低水圧でも刺激的な浴び心地を実現するために、技術的にはどういったポイントがあったのでしょうか。まずは「コンフォートウエーブ吐水」について教えてください。

宮崎 刺激感を確保するには、シャワー内部の抵抗を少なくして――圧力損失を抑える、つまり、水の勢いを殺さず出せるかがポイントになります。「エアインシャワー」の場合、水に空気を含ませるための機構が圧力損失になっているんです。だから今回は、空気を使って浴び心地を高めるのではなく、水の流れそのもの(流体)を制御することで低水圧と浴び心地の両立を目指しました。

具体的には、水が出る際にわざと障害物にぶつけて、流れにブレを与えます。すると高速で左右に振れる渦ができ、それが勢いとなって刺激を生む仕組みです。その障害物というのが、この三角の部分。見えますか?

写真中央、凸部分の真ん中に逆三角形が見える。ここに水が当たり、渦が発生する。
え!この小さな三角形だけで「ウエーブ吐水」が生まれるんですか??

宮崎 はい。ここから吐水された水は粒が大きく、流速も早く波状に振幅するのが特徴。だから、量感と刺激を両立できるんです。

思ったよりもシンプルな機構で驚きました……。
ちなみにこういったアイデアはどこから生まれるのでしょう?

宮崎 この機構自体は自動車のウィンドウウォッシャーに使われたことがあって、シャワーにも応用できないかと着眼していました。実は普段から研究所と一緒に、商品に関係なく様々な原理モデルを作っていて、開発ネタがストックされているんです。今回もそうした数あるネタの中から出てきたもので、卵の状態から温めていきました。

オーバーヘッドシャワーのほうも、基本的には同じ仕組みなのでしょうか。

宮崎 揺動吐水技術としては同じものを搭載しています。でも、デザインがまったく違うので、切り替えボタンの位置やウォームピラー吐水との共存といったレイアウトの制約がありましたね。そもそも想定される使用シーンが違うハンドシャワーとオーバーヘッドでは、求められる吐水の勢いも異なります。だからそのまま同じ設計にするわけにはいかず……。

なるほど。単純にハンドシャワーからオーバーヘッドに展開できるというわけではないのですね……。

宮崎 はい。吐水ノズルの配置を変えたり、流速違いのノズルを設計したり、20パターン以上は試作しましたね。最終的にはハンドシャワーよりも少し大きいノズルサイズになっています。

今回のモードでいちばん気になったのは「ウォームピラー吐水」でした。先ほど実際に肌に当ててみたら、確かに「水がまとわりつく感覚」でびっくり!あの「密着感」は、どう実現させているのでしょうか。

宮崎 あれは、水が乱れないようにすることがポイントですね。水道管を通って出てくる水の方向って、結構バラバラなんです。だから最後に出るところで一旦せき止めて、水の方向を整えてあげる。それを担っているのがこの複数層になったフィルターです。ハンドシャワーは水が身体にあたるまでの距離が短いので、この機構はそこまで複雑なものではありません。ただオーバーヘッドは……

早田 シャワーから床までの長い距離をまっすぐ吐水できるようにするために、ハンドシャワーよりも整流性を高めた機構が必要になります。フィルターの上に、さらにレンコンのような部品があって、複数の穴を通って水が出てくるのですが、実は外周と内周で穴のサイズを微妙に変えているんです。
外周は空気の抵抗を受けて流速が弱まるので、あらかじめ水が早く流れるようにしておく。内側は空気との摩擦がないので、ゆっくり流れるように。そうすると、吐水したとき同じ速度で床までまっすぐ流れてくれます。

シャワー面中央の手前にあるのが切り替えスイッチ。奥がウォームピラーの吐水口。
メッシュのように見えるフィルターが、整流の役割を担っている。

良いものでも、普及しないと意味がないから。

この「ウォームピラー吐水」ですが、実は海外では以前からオーバーヘッド商品に搭載されていたとお聞きしました。今回コンフォートウエーブシャワーに搭載したのは、やはり機能が好評だったからでしょうか?

宮崎 そうですね。もともとウォームピラー吐水は、海外向けの高価格帯オーバーヘッドシャワーに付いていた機能でした。最初に展示会に出したときは、吐水が新し過ぎて「シャワーかどうかもわからない」って言われたのですが(笑)、でも実際に試したお客さまからはとても好評で。
だからずっと、国内でも売りたいなと思っていたんです。ただ、日本ではまだオーバーヘッドが主流ではないので、なかなか試していただく機会がなくて……。そこで、まずはハンドシャワーにウォームピラー吐水をつけてみよう、ということに。

左:ウォームピラーのみをハンドシャワーに取り付けた試作機。
右:肌にまとわりつくようにお湯が当たり、これまでにない心地よさを実感できる。その温まり効果は、実験でも実証済み。
オーバーヘッドシャワーのほうでは、新たに改良を加えた点はありましたか?

早田 グローバルで展開していくためには、各国の節水規制に対応する必要があります。そのため、従来品からお湯の使用量を約40%減らせるように改良しました。スイッチ配置の制約もあったため、体積も約3分の1にコンパクト化しています。

やはりいいものは、ちゃんと普及させて、たくさんのお客様に使っていただきたいですものね。

宮崎 大きな課題でしたね。デザイン、機能、価格など商品としてのバランスが大切です。せっかく機構が決まっても、今度はそれを製品として量産できるようにしないといけない。でも、3Dプリンタでつくった試作品を製造現場に持っていくと、「いいけど、これ、どうやって作るの?」って言われてしまって(笑)。技術部や製造部と一緒に成型パターンをいくつも考え、量産に向けたハードルを1つ1つクリアしていきました。

あとは、いかにシンプルな構造にできるかですね。構成部品が多いと、不具合が起こりやすくなったり、コストが高くなったりするので、結果的にお客様にデメリットが生じてしまいます。例えば、先程のウエーブ吐水のノズルもシンプルな構成とするため、一体成型にこだわりました。そうしたハードルをなかなか越えられず、悶々とした日々を過ごしたこともありましたね。試作も何十と作りましたし、あとはひたすらそれらをテストして……。

1モードのみを搭載したシャワーヘッドなど、ずらりと並ぶ試作品。
たくさんの試作品を実際にテストしていくと、また多くの発見が生まれそうですね!

では、そこから先はまた次回。後半インタビューでは、モニターテストを経てのエピソードや今後の商品開発への抱負をお聞きしたいと思います。
どうぞお楽しみに!
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