ecoな発想を先取りした冷めないお風呂「魔法びん浴槽」がお風呂の常識を変えた。

2004年にTOTOから発売された「魔法びん浴槽」は
2重断熱構造で長時間お風呂の湯が冷めない
業界でも大きな話題になった革新的な新商品でした。
いまではフォロワーが次々に登場して
冷めないお風呂はTOTOだけのものではなくなりました。
eco意識を先取りした環境配慮商品として
いま、改めて注目されています。
お風呂に対する世の中の常識を鮮やかに変えた
開発者の北角俊実さんが語ります。


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北角 俊実(きたかど としみ)
浴室開発部
開発企画グループ/主席技師

1990年TOTO株式会社に入社。
入社以来20年間、ユニットバスひとすじ。
2000年には「カラリ床」を開発し大ヒット。
2004年発売の「魔法びん浴槽」は省エネ大賞を受賞。

生活を変える力がないと冷めないお風呂は意味がない。

「カラリ床」が予想外にヒットしたので
さあ、次はどんな風呂を作る、どんな切り口にする?
いろんな人に聞かれるようになりました。
そう簡単にアイデアが浮かぶものではなく、
答えられないから逃げてばかり(笑)。
これじゃいかんと自宅のお風呂につかりながら
快適なお風呂の条件を考えてみました。
まずは充分な広さと清潔な環境。
これはTOTOですでに取り組んでいて成果も出ています。
じゃあったかいお湯、これはどうだ?
とても大事なポイントのはずなのに
当時、保温性をうたった浴槽はなかった。
調べてみたら、過去にあることはあったのですが
なぜかどれも消えてしまっている。
それは性能がいまひとつだったからではないか。
たとえば20%保温性がアップ。
10度冷めるものを8度まで改善したからといっても
追い焚きが必要なことには変わりない。
これでは開発者の自己満足で終わってしまいます。
「冷めないお風呂」なら追い焚きが必要ないレベルにしないと。
だってお風呂の湯が冷めないうちに入らなきゃいけない。
この強迫観念ってすごいストレスじゃないですか。
子供の頃、ドラえもんを見ているのに
「冷めちゃうから早く入って〜」と母親に追い立てられていた。
あのときの悔しい思いが忘れられない(笑)。
人がイニシアチブを取れるお風呂なら生活が変わる。
いつでも入れる「冷めないお風呂」を作ろうと決めました。

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「冷めないお風呂」は悔しい思い出へのリベンジだった。

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めざしたのは062。目標値を最初に設定した。

まずは最初に目標の数値を設定しました。
お風呂が冷めて困るのは圧倒的に冬。
ならば、外気温0度で6時間たっても湯温が2度しか下がらない。
厳しい数字だけどこれぐらいじゃないとダメだろうと。
だって真冬の夕方6時に子供たちがお風呂に入って
夜中12時にお父さんが入るときにまだ温かくなければ
「冷めないお風呂」をいま作る意味がない。
ただ、最初に数字を出すのはやはり勇気が必要でした。
どうすれば達成できるかわからなかったから(笑)
まわりでもネガティブな意見が多かったですね。
いままで多くの人が敗れ去ってきた
トライしても花が咲かない枯れたテーマだろう、
給湯器の自動設定で保温すれば済む話じゃないかとか。
でも給湯機の自動ボタン、実は8割の人が使っていないんです。
いつ入るかわからないのに保温するのはもったいないから。
もちろんウチでも自動ボタンはすぐ切っている(笑)。
これはもう理屈じゃないんですね。
こまめに節約しないと気持ち悪い、それが日本人。
だから基本性能だけで「冷めないお風呂」が実現できれば
絶対ウケるはずだという自信だけはありました。

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構造は決まっても素材探しが難航した。

じゃ、具体的にどうするか。
まずは保温性がありそうだと目をつけていた
発泡スチロールで浴槽を作ってみました。
すると結構、いい線はいく。
でもどうしても堅牢性や耐久性が劣ってしまう。
また断熱材として浴槽に巻くだけでは目標値が達成できない。
かといって新素材を開発すると
コストがかかりすぎて製品価格が高くなってしまう。
そこで目をつけたのが防水パン。
この素材を保温性の高いものに変えれば
外気をシャットアウトする外断熱になる。
それを内断熱と組み合わせればなんとかなりそう。
ただ何を使えばいいか、それが問題でした。
さんざん試行錯誤を続けていたときに
息子がおもちゃのラジコン飛行機を買ってきた。
発泡スチロールじゃ5秒で壊れてしまうじゃないか。
あ〜いくら安いものでも、こりゃ息子が悲しむな。
そう思って飛ばしてみたらこれが全然壊れない、何度落ちてもですよ。
なんじゃこれ?と箱を見てみると
EPP(発泡ポリプロピレン)と書いてある。
この瞬間「見つけた!」と思いましたね。
柔軟性、堅牢性、薬品に対する耐性など
発泡スチロールの弱点をクリアしながら保温性もある。
まさに求めていた素材だったのです。
それからもさまざまな苦労はありましたが
あのEPPの文字を見た瞬間に
課題の062は絶対クリアできると確信しましたね。

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詳細な絵コンテを描いて、製品を実現化へ。

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商品は真似されてこそ。それでecoが広がれば。

こうして業界初の「魔法びん浴槽」が完成しました。
この魔法びんという言葉もこだわりのひとつ。
お湯が冷めないという特徴を伝えるためには
この言葉しかないだろうと。
魔法びんメーカーから「真空構造とは違う」とも言われたけど
いい加減な商品じゃないと説得して、最後にわかってもらえました。
2004年度の省エネ大賞も途中から本気で取りにいきましたよ。
だっていままでにない商品だからこそ、冠に意味があるから。
062を実際体験してもらうと、
確実にその良さ、いままでの浴槽との違いはわかってもらえました。
最初は「浴槽で省エネ?」と不審がられましたが
事実、2004年以降はフォロワーが次々に生まれて
どこの社の浴槽も格段にレベルアップしたし
062は業界の新たな基準になった。
苦労して開発したのに真似されてと言われますが
それはちょっと違うんですよ。
みんながついてくるような商品を作らないと社会は変わらない。
開発者はものを次々に作るのが仕事です。
でも、僕には買い替えてもらうことへの罪悪感がどうしてもある。
だからこそ、できれば自分たちの生産活動が
社会や環境に負荷を与えなければいいなと。
自分たちの商品がecoやCO2削減に役立てば
その罪悪感が少し減るような気がします。
ecoって、使う人にとっても本当はお金の問題じゃなく
心の平穏につながる、そういうものでしょ。
「魔法びん浴槽」はTOTOが確かに最初に作った。
覚えていてくれる人が少しでもいればいいんです。
その積み重ねが信頼感につながる。
ブランドとはそういうものだと思います。

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ラフコンテそのままの魔法びん浴槽が完成。

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魔法びん浴槽が標準搭載の「スプリノ」。

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「魔法びん浴槽」が住宅エコポイントの新たな対象に。

いまや業界では珍しくなくなった「高断熱浴槽」。その先駆者的存在がTOTOの「魔法びん浴槽」です。浴槽断熱材と断熱ふろふたで内断熱を。そして断熱防水パンで外断熱を。2重の備えで6時間たっても湯温の低下は約2度。従来品だと6時間で7度も下がっていましたから、この違いは本当に大きい。家族構成によっては光熱費を年間5000〜1万円節約できる優れものです。「もう魔法びん浴槽を選ぶのは常識になっていますね。お客様のコメントでも喜びの声が多く、本当に生活を変えた商品だなと思います」と販売部門の安部泰徳さん。とはいえ、発売当初はその良さをどう伝えるか苦労したとか。「2度の違いがどれほど大差ないか。それが体感できるデモ機を準備したり、2重の断熱構造を動く模型で解説したり。構造が目に見えない商品だけに難しかったです」。それがいまではスプリノでは標準装備。新商品・サザナではオプションとして、よりお手軽価格の「魔法びん浴槽ライト」を選択できます。ただ「やはり魔法びんじゃなきゃとおっしゃる方も多く選択率も高いですね」。今年は「高断熱浴槽」が住宅エコポイントの新たな対象に。エコリフォーム(窓の断熱改修工事など)と一緒にという条件付きではありますが、お風呂の改装を考えているなら要チェック。夜中までホカホカの快感をぜひ味わってみてください。

住宅エコポイントについて
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安部 泰徳(あべ やすのり)

システム商品営業推進部
浴室商品営業グループ/
企画主査

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よりお手軽に、魔法びん浴槽を体感できるサザナ。

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グリーンストーリーについてお聞きします。