トートー×マガジンハウス グリーンジャーナル
地球と人が癒される、屋上緑化に注目です。
第3章 ベランダ緑化で意識と空気を改善
ライフスタイルに合った緑化計画を。

作ったばかりの屋上ガーデン
ランドスケープデザイン事務所〈YARD〉を主宰する梅津収一さん
上:作ったばかりの屋上ガーデンは梅津さんの施行例。風よけの手すりとテラスとのバランスを考えてデザイン。

左:ランドスケープデザイン事務所〈YARD〉を主宰する梅津収一さん。東京・千駄ヶ谷で庭をテーマにしたカフェ&ショップ〈Tas Yard〉に併設されるショップの運営に携わる。
いろいろな効果がある屋上緑化を、ぜひ個人レベルでも取り込みたい。広い屋上スペースを持つことは難しくても、ベランダなら気軽に緑化が始められます。
昔から私達はベランダ緑化として、鉢植やプランターを置くなどして自然環境を作ってきました。庭がなくても部屋から植物や花が目に入るだけで心がなごむもの。さらにその数が増え、葉が生い繁れば屋上緑化と同じような効果が生まれるはずです。今年流行ったのはゴーヤを使った「ゴーヤ・カーテン」。用意するのは園芸用の苗と土、プランター、ネットで費用もさほどかからず、成長が早くて効果がすぐ感じられるために、全国的に広がりました。
しかし、いま注目されているベランダ緑化は、ベランダを庭にしてしまうことです。マットを敷き、土を入れ、植物やタイルを配置する。深い土が必要なものはプランターを使ったりもします。そうすることで緑の量が増え、景観が向上します。ベランダからの照り返しを和らげ、建物に熱がこもるのを抑え、広い範囲に水撒きするので水打ち効果も得られます。四季折々の庭の手入れという楽しみを手に入れ、環境保護へつながるのです。
本格的にベランダを緑化するつもりなら初心者ではわからないことが多いはず。そこで造園やプランニングも含めた景観全体を作り出す「ランドスケープデザイナー」の肩書きを持ち、数多くのベランダ緑化を手がけた経験を持つ梅津収一さんにポイントを聞いてみました。
「商業施設やオフィスなどと違い、ベランダ緑化は個人の生活空間そのもの。その人の生活サイクルや、植物にどの程度手をかけるタイプなのかを考えます。つまりライフスタイルに合わせた空間作りが最も重要なんです」。たとえば「なるべく手入れのいらないベランダに」と希望された場合でも、梅津さんは「植物である以上最低限の手入れは必要ですよ」とこと細かに説明します。また、今まであまり植物を育てた経験のない人にも意欲を湧かせるようなベランダ緑化にしたい、とも。スペースは狭くても愛着が湧く空間に。梅津さんの狙いはそこにあります。


軽量土壌を使う場合はさまざまな条件が。

次は具体的なアドバイス。まずベランダに土を入れる場合、当然ながら縁と底面まである程度の深さが必要になってきます。もし深さが足りない場合はウッドデッキを使い、植物はプランターを活用するといいでしょう。この場合、プランターとデッキの上面を合わせることで空間を広く見せることができるのだとか。
「入れる土は必ず軽量土壌を。植物の安定感はやや不足しますが、通常の土の10分の1の重さですからマンションのベランダには最適です。また土を入れる前には排水工事も必須。そのあたりはやはりプロに頼むほうがいいと思います」。
またマンションのベランダ緑化で注意したいのが階数の問題。梅津さんが手がけた最高階は13階とのことですが、高層階では土の飛散を防ぐために風よけが必要になってきます。また階が上がれば地上にはない植物の発育の問題も考えられます。ベランダで普通の地面と同じ環境を作るのは結構難しいので、幅広い知識を持つ専門家に相談するのが得策なのかもしれません。
〈Tさんのベランダ緑化ができるまで(写真/クウネル2009年9月号)
1.梅津さんが緑化を手がけたTさん宅のベランダ。工事の前はやや殺風景な印象。
梅津さんが緑化を手がけたTさん宅のベランダ。工事の前はやや殺風景な印象。
2.最初に防根シートを敷く。将来植物の根が張った時に床に影響が出ないようにするため。
最初に防根シートを敷く。将来植物の根が張った時に床に影響が出ないようにするため。
3.防根シートの上に保護マットを敷く。排水口の部分はくり抜き、水が流れるようにしておく。
防根シートの上に保護マットを敷く。排水口の部分はくり抜き、水が流れるようにしておく。
真ん中に富士山を見立てた小山を築き、周囲にタイムなどを植えて樹海っぽさを演出した、梅津さんのデザイン。
真ん中に富士山を見立てた小山を築き、周囲にタイムなどを植えて樹海っぽさを演出した、梅津さんのデザイン。
4.最初に小石大の球状の軽量土壌を入れる。これはパーライトという黒曜石を焼いて砕いたもの。
最初に小石大の球状の軽量土壌を入れる。これはパーライトという黒曜石を焼いて砕いたもの。
5.ゴールデンバークと呼ばれる黒色の有機質土壌改良材を入れる。これが植物の栄養となる。
ゴールデンバークと呼ばれる黒色の有機質土壌改良材を入れる。これが植物の栄養となる。
6.土をすべて入れ終わったら、植物の準備。種類は冬場の乾燥にも強いセダム類が中心。
土をすべて入れ終わったら、植物の準備。種類は冬場の乾燥にも強いセダム類が中心。

「さまざまな制約はありますが、生活のそばに自分だけの緑の空間があればホッとしますし、気温調整ができて過ごしやすくなりますからね」。
小さな緑との触れ合いの機会を作る。その触れ合いこそ私たち自身の意識を変えるための最初の一歩。ココロとカラダのためのベランダ緑化は、地球のエコにも繋がるのです。

 


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