トートー×マガジンハウス グリーンジャーナル
地球と人が癒される、屋上緑化に注目です。
第2章 屋上緑化は人と人、人と自然をつなぐ。
 
ヒルズガーデニングクラブ講師の杉井明美さん ヒルズガーデニングクラブ講師の杉井明美さん。テレビ番組をはじめ多くの園芸教室の講師を務め、ガーデニングファンから大きな支持を得ている。(写真/柿澤りか)
屋上ガーデニングの魅力とは?

都市の中の屋上緑化が、私たちにどんな影響を与えてくれるのでしょう? まるで自宅の庭を手入れするようにメインガーデンのケアをするヒルズガーデニングクラブのメンバー。聞けば80名ほどのメンバーのうち六本木近辺に住む方はほんの少数で、中には愛知県から参加する方もいると言うから驚きです。その魅力を探るべく、ヒルズガーデニングクラブを指導する園芸家、杉井明美さんにお話を伺いました。
「私があれこれ指示するわけじゃなくて、基本的には皆さんのやりたいようにやってもらいます。クラブを作った当初から私のような専門家一人で庭をつくるのではなく、街の緑を一般の方につくってもらうことを目的に会員を募りました。毎回40人前後参加してくれますが、皆さんそれぞれ楽しんでくれていますね。ここの活動以外に遠足やパーティを行うこともあるんですよ」。つまり、アークガーデンという場を通じて新しいコミュニティが生まれているのです。

都会の中で土いじりをすることの意義

「それに人は年齢など関係なく土をいじりたい!って願望を潜在的に持っているはず。でも最近はマンション暮らしの方が多いでしょう。自由に土をいじれる機会が少ない分、皆さんここを自分の庭だと思って接しているのだと思います」。(杉井さん)
実際、クラブに参加している林康幸さんはこう言います。
「ここに来ればガーデン全体のデザインを考えながら手入れしたり、グループ活動の中で他のメンバーの考え方やユニークなアイデアを知ることができるんです。もちろん杉井先生の植物についての知識を学ぶこともできますし。また自分が育てている植物の自生地を見たいとの欲求が高まり、そこから自然環境全体を考えるようになりました。最近では地球の環境変化について勉強するため、環境社会検定試験(エコ検定)を受験したんですよ」。
「もちろん、植物を育てる中では枯らしてしまうなどの失敗もあるはず。でもそこで起こる心の中の機微を感じることも含めて、すべてに意味があると思います」と杉井さんは言います。「長年続けていると、土をさわる度に植物が少しずつ変化していくのがわかるんです。そうやって大きく育ったら純粋に気持ちいいんですよ。またこうした都会の真ん中の小さな場所でも、年月を経るにつれその場所なりの自然界ができてくる。それが屋上庭園の大きな魅力ですね」。
見るだけではなく植物に直接触れることで、自然の魅力と大切さを実感できる屋上ガーデン。仲間とともに自然を身近に感じ、環境問題への関心がふくらみ、それを共有し、実際にアクションを起こす、という素晴らしい副次的な効果があったのです。
「植物と触れ合う」ことで自然を感じる。クラブに参加できなくても、自宅のベランダでできること。3章では、いま話題のベランダ緑化を紹介します。
→第3章に続く

 
クラブ活動の様子。参加者同士のコミュニティの場になっています。
クラブ活動の様子。参加者同士のコミュニティの場になっています。(写真/柿澤りか)