トートー×マガジンハウス グリーンジャーナル
地球と人が癒される、屋上緑化に注目です。

メインイメージ
アークヒルズ内サントリーホール屋上のルーフガーデン。(写真提供/森ビル)
コンクリートに囲まれた都会のビル。
その屋上を緑で覆う動きに注目が集まっています。
植物による環境への効果はもちろん、
新しく生まれるコミュニケーションも!
わたしたちもベランダ緑化で、
植物を増やしていきませんか?



ライター 黒田創さん
雑誌『TARZAN』を中心にスポーツやカラダをテーマとした取材、原稿執筆を行う。『TARZAN』では、〈環境力調査隊〉という定例ページの執筆を担当し、環境にまつわるさまざまなトピックスを紹介してきました。
第1章 屋上緑化を進める企業が増えています。
ここ数年、「屋上緑化」を進める企業が増えています。建物の屋根や屋上に植物を植えることは、どのような効果が得られるのでしょうか?
東京都環境科学研究所が2003年夏に行った調査では、緑化していない屋上の日中の表面温度が最高62.5度を示したのに対し、緑化した部分は最低33.2度を記録、平均でも40.2度で推移したという結果が出ています。
このヒートアイランド現象の抑止だけでなく、建物の表面温度が低くなることによるエアコンの使用量の減少、そして植物による大気の浄化作用と複数の環境改善効果があると言えそうです。
また近年、自治体レベルで屋上緑化を推し進めるための条例が制定されるようになってきました。一例をあげると、東京都では1000u以上の敷地に建物を建てる場合に屋上面積の20%または30%を、5000u以上では25%または35%を緑化するよう義務づけています。
また、自治体によって条件・金額は異なりますが、屋上緑化の助成金制度も各地で充実してきました。宮城県仙台市では屋上やベランダを10u以上緑化する場合、300万円を上限に植栽面積1uあたり1〜5万円または植栽費用の6分の1〜2分の1の額を助成するといった制度が設けられています。
企業は社会的責任を果たすために環境問題に着手する場合が多く、屋上緑化もその一部です。一個人の屋上緑化より規模が大きくできるし、関係する人間や組織も多くなります。その結果多くの人間に環境問題を提起することにもなり、企業の宣伝にもつながるわけです。その会社で働く人たちにとっても憩いとなり、誇りとなる、すばらしい社会貢献です。
以上のような背景もあり、屋上緑化はいまや環境を考える上での重要なキーワードになっています。次はその具体例を見てみましょう。

屋上緑化で生まれるリラックス空間。

東京都港区のアークヒルズ。ここでは1986年のオープン当初から敷地内に約40,000本の樹木を植え、大小7つの庭、通称アークガーデンを設けています。これらは低層建物の屋上に位置し、階段状になっていることもあり、人工的になりがちなオフィス街に広い緑の空間を作り出しているのです。
「ヒルズガーデニングクラブ」の活動日には、40人ほどのメンバーが集まります。このクラブはアークヒルズと六本木ヒルズをメインに、「ガーデニングを通じて都市の緑を育てる」ことがコンセプトの参加型コミュニティ。園芸家の杉井明美さんを講師に、ある人は通路を掃き、ある人は花壇の雑草を取る、といった具合に皆さんまるで自宅のように庭の世話をしています。そのせいか、このメインガーデンはより人の温もりが感じられる屋上庭園となっています。
アークヒルズを運営する森ビル営業本部商業施設事業部の名取万理子さんは「当社の都市開発は、街と自然の共生が大きなテーマです。ただビルを建てるのではなく、そこに緑を増やすことで四季の風景を作る。それは地球温暖化を防ぐとともに、地域の方たちやここで働く方、訪れる方とのコミュニケーションを生み出しています。ガーデニングクラブはその象徴かもしれませんね」。
エスエス製薬本社ビル。屋上にはウッドデッキが敷かれ、テーブルセットに黄色いパラソル。奥はプランターと床の植栽、そしてビルの壁面を利用した緑の壁で見事な屋上ガーデンが形作られています。その一角からはチョロチョロと心地よい水の音も。より五感で自然を感じられる場所になっているのです。
オフィスで働く人にとってもここは自慢の場所。同社広報部の町田智恵子さんは、「限られたスペースですがそれを感じない緑の豊かさですし、水流の音色にも癒されます。昼休みはここでランチを楽しんだり、ミーティングやちょっとしたパーティを行うことも。この場所が出来てから部署同士のコミュニケーションが活発になった気がしますね」と言います。
リニューアルやビルの竣工を機会に屋上を緑化する企業として環境対策に取り組むことを始めると、思わぬ二次的効果が生まれることが2つの例から見えてきます。それは屋上緑化・ガーデニングを通じての他人とのコミュニケーション効果。さらに植物と触れ合うこと、植物を通じて人と触れ合うことで、どんな効果が現れるのか? 2章では、専門家に聞いてみました。
→第2章に続く
アークヒルズの奥まった場所にあるメインガーデン。四季折々の表情を見せる大小さまざまな日本古来の植物が育てられており、屋上庭園ながら森の中にいるような雰囲気。写真左/サントリーホール屋上。
写真上・右/アークヒルズの奥まった場所にあるメインガーデン。四季折々の表情を見せる大小さまざまな日本古来の植物が育てられており、屋上庭園ながら森の中にいるような雰囲気。写真左/サントリーホール屋上。(写真上・右/柿澤りか、左・写真提供/森ビル)
太い梁と高い壁で覆われた屋上が、緑化によって皆が集うオアシスに変貌。ミーティングも和やかに進みます。また喫煙スペースも竹のスクリーンのおかげで圧迫感がありません。
太い梁と高い壁で覆われた屋上が、緑化によって皆が集うオアシスに変貌。ミーティングも和やかに進みます。また喫煙スペースも竹のスクリーンのおかげで圧迫感がありません。(写真/柿澤りか)