トートー×マガジンハウス グリーンジャーナル
vol.5 壁が、ただいま空気の浄化中。
第2章 光触媒の外壁「ハイドロテクト」、驚きの実力。
 
下吹越光秀さん
光触媒技術の研究を行う下吹越光秀さん。
(写真/柿澤りか)

発見、そしてまた発見。真の力が次々と明らかに。


ハイドロテクトの実力を見る前に、ひとつお話を。ハイドロテクトの核である光触媒作用にまつわる発見についてです。光触媒のさまざまな性質は、長い年月の中で少しずつ発見されました。特に「水を馴染ませる」親水性は、実は全く逆の性質である「水を弾く」研究の中で発見されたものなのです。
光触媒作用の基本原理は、水の中で酸化チタンに光を当てると、水が酸素と水素に分解するというもの。長い間研究を続けて、光触媒作用を抗菌効果として使い、抗菌タイルとして製品化しました。
その後、汚れが付かないようにするため「水を弾く」性質を光触媒に加えようとしました。汚れは水と一緒に表面につきやすいため、水を弾くことで汚れが付かないようにする、という発想です。
ところが、その研究のさなか、追い求めていた「水を弾く」性質とは真逆の「水と馴染む」性質が光触媒そのものにあることがわかったのです。
汚れを付けないよう水を弾かせるのではなく、反対に汚れを水に浮かせて流すほうが、よりきれいになることを発見した研究開発陣。「それまでの研究とは正反対の性質でしたが、技術者としてワクワクしましたね」と語るのは、現在も光触媒技術の研究を進めるTOTOの技術担当、下吹越光秀さん。
この発想を転換させる発見が1995年。これをタイル、塗料として製品化する研究を続けるうちに、今度は先に述べた空気浄化効果が発見されました。ということで、この空気浄化機能をさらに高める研究を続け、現在では、最初の製品に比べると、6倍以上の空気浄化効果を持たせ、それを大きくうたえるようにまでなったのです。
二つの実験で、光触媒の力を確かめよう。

では、光触媒の実力を、実際に確かめてみることにしましょう。実験1は、光触媒の分解作用。ハイドロテクトタイルにインクを塗って、太陽の代わりに紫外線を当ててみます。……10秒、20秒、だんだんと色が薄くなっていきます。30秒。すっかり白くなりました。タイルの表面から発生した活性酸素がインクの色素を分解したため、消えたように見えるのです。もちろん汚れそのものが消え去ったわけではなく、見えないだけでまだその場にあるので、次の実験の出番です。
実験2。今度は黒い汚れを油に溶かし、それを紫外線を十分に当てた塗料に付けます。ここに霧吹きで水を吹きかけます。シュッシュッと。……光触媒作用のない塗料の場合、水は油で弾かれますが、ハイドロテクトでは、油汚れの下に水が入り込みます。光が作った親水性のおかげで、塗料の表面つまり油の下に水の膜ができ、油汚れを浮かせ、流れ落ちやすくしています。これが水と馴染む性質です。
この二つの実験結果と同じことが、ハイドロテクトタイル、塗料に触れた大気中のNOx、SOxにも起こっています。光がこれら大気汚染物質を分解して無害にし、雨が洗い流していくのです。いまもハイドロテクトの壁は、空気を洗っています。その浄化力は、かなり大きい森と同じぐらいの量になります。
→第3章に続く
〈実験 1〉光できれい イメージ 〈実験 2〉水できれい イメージ