トートー×マガジンハウス グリーンジャーナル
vol.3 ドイツにならうエコハウス。
第2章 日本のエコハウスに習う住まい方。
我孫子にあるエクセルギーハウスの内装
 我孫子にあるエクセルギーハウスの内装。南向きの大きな窓から、光と熱を取り入れる設計になっている。(写真/加藤 嘉六)


雨や風、太陽や緑、自然と共存するエクセルギーハウス。
ヴォーバン地区を取材した後、日本に戻って悩みました。ドイツのエコハウスを日本に建てても日本の風土に馴染むとは思えなかったからです。日本に合ったエコハウスとは? その疑問に応えてくれたのが、日本の風土に合った低エクセルギーの家を建てるというコンセプトの「エクセルギーハウス」でした。エクセルギーとは、いったん使ってしまうと再利用しにくいエネルギーのこと。ガソリンや灯油といった化石燃料がその代表選手です。エクセルギーハウスの設計を手がける建築事務所「エクセルギー」(旧社名アルキテクタ)の黒岩哲彦さんは、採光や家の中の温度管理といった基本的な部分を自然のエネルギーで賄ってCO2排出量を減らす技術を住宅設計に導入しています。「自然エネルギー」と言っても、太陽電池や風力発電のような“ハイテク”ではありません。その土地に吹く風や太陽の当たり方などを調べ、南向きの窓から採光をし、土蔵の屋根に利用されている二重屋根の発想を活かし夏場の風通しをよくしたり、雨水を貯める事で冷気を蓄熱する、といった自然エネルギーの直接的な利用を建築に取り入れています。今まで黒岩さんが設計したエクセルギーハウスでは、真夏でも室内の気温が30℃を越えることはないそうです。
 
暖かみのある外観
白壁と木材が組み合わされる暖かみのある外観。窓にはすだれと同じ素材を使った日よけがあり、簡単に開け閉めできる。(写真/加藤 嘉六)
床下のタンク 二重屋根
左:雨どいから回収した雨水を、床下のタンクに貯めておくことにより、夏場に建物全体を冷やす効果がある。
右:エクセルギーハウスは「二重屋根」構造になっており、屋根裏の換気窓を開けて風を通すことで室内の温度上昇を避けられる。
屋根の上に設置した杉のチップで乾燥させた空気を家の中に送る 詰まらない雨どい
左:エクセルギーハウスでは、屋根の上に設置した杉のチップで乾燥させた空気を家の中に送ることで快適な湿度を保っている。また、雨水の蒸発による冷却作用も利用して温度調整している。
右:雨水を利用するために欠かせない「詰まらない雨どい」。フィルターを通して雨を集めながら、簡易的な浄水も行なっている。
 
住宅メーカーもエコを標準設計に加える時代に。

住宅メーカーにも、エコハウスをラインナップするところが増えています。ダイワハウスでは2006年9月に新工法を開発。製品のラインナップを一新し、主力商品を「xevo(ジーヴォ)」というエコハウスにしました。ジーヴォの特徴は、室内の温度を快適に保つための「外張り断熱通気外壁」と耐久性を高める「XEコート」を標準にしていることです。住宅メーカーの製品では標準的な設計があるので、断熱材などの構造を変更することは難しいですし、たとえ壁の中に断熱材を入れることができても、建物をぐるりと断熱できる「外張り断熱工法」が使われることがあまりありませんでした。ダイワハウスのような大手住宅メーカーが外張り断熱を標準設計に採用したことは、今後、日本の住宅事情がエコ・コンシャスになることにつながります。

ただし、住人が環境に対する意識を持ち続けないと、せっかくのエコハウスが広がっていきません。なぜなら環境に配慮した暮らしは、ひとりだけではできないからです。ドイツのヴォーバン地区が成功しているのは、地域の意識と社会制度が密接に関係しているからでした。        →第3章に続く
ジーヴォE
外張り断熱、XEコートが標準で装備される「ジーヴォ」シリーズの中でも、最もエコ・コンシャスな設計を採る「ジーヴォE」。
屋上の「太陽光発電システム」 外張り断熱通気外壁
左:「ジーヴォE」では、では、屋上の「太陽光発電システム」を標準で備える。
右:ダイワハウスの「ジーヴォ」に使われている外張り断熱通気外壁では、断熱層の内側に発生する結露の対策により耐久性も高められている。