TOTO×マガジンハウス 環境と建築:Vol.9 谷尻誠さんが目指すのは  自然に環境がよくなる設計。


建築は使い始めてから徐々に完成していくもの。

白壁の印象の強い「高須の家」(2008年)、「名古屋の家」(2007年)では、
外壁にハイドロテクトを塗布しています。
実は僕、白の仕上げが好きではなかったんですよね。
白という色自体が嫌いとかいうことではないのですが、
白い外壁は必ず汚れてしまうものだから、
完成したときがその建物のピークのようになってしまうのがイヤなんです。
建物はそこに人が入って、使いながら徐々に完成に近づいていくもの。
建って数年して、汚れてしまうことで愛着を失ってしまうとしたら、
それほど悲しいことはありませんから。
「築20年だけど、どんどんよくなってきた」って言われるような建築を
つくりたいと思う。お施主さんで白い外壁がいい、という方がいらしても
なるべく避けてきたのはそのためなのですが、どうしてもと言われたら
それを断る理由も僕にはありません。それで、最善の策を探していて
ハイドロテクトに出会ったんです。
光触媒で雨によって汚れが落ちると聞いて、実は最初は半信半疑でした(笑)。
ところが実際に塗ってみてしばらく経過してみたら、確かに汚れない。
その効果にはかなり驚きましたね。
しかも壁自体が空気を浄化する効果があるというんですから、
どんどん使えばいいと思います。

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ハイドロテクトを使用した名古屋の家

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ハイドロテクトを使用した高須の家

水回りを自由に考える。

古くは水回りは家の裏側の狭いところに押し込められてきたわけですが、
僕は決められたかたちにつくらなければいけないとは全然思っていませんね。
とかく固定観念で考えがちですが
シンクとテーブルがあるとキッチン。
水がたくさんたまるところがあったらお風呂。
そういう風に、これとこれがあったらどうしてもそこはその空間だと
思ってしまう要素というのがどんな用途の空間にもあると思います。
逆に言うと、そこを守りさえすれば、もっと自由に考えていい。
だってたとえば、一般的なバスルームは
使っていない時間のほうが圧倒的に長いですよね。
その空いた時間にリビングになってもいいんじゃないのかと思うんです。
ものすごく広いバスルームのような
リビングのような場所、なんて楽しそうですよね。
湿気を心配されるけれど、
それは密閉された小さな空間にしてしまうからであって、
大きな空間にバスタブがあったら、ちょうどいい加湿器になるくらい(笑)。
水回りはもっともっと楽しくなる。そう思っています。

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Photo:Kanako Nakamura

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キッチンが床と同じレベルになっている国分寺の家

 

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